世界初&国産初のエポック車を一挙掲載 #06

「世界初インジェクション・アンチノーズダイブほか」編~時代を切り拓いた革新のマシンたち~[1965-1984]

暗闇に遠くから幾多の光芒が射す。あるものは一際強い光を放って過ぎ去り、あるものは留まり今も輝き続ける。――過去半世紀に及ぶ二輪史において、数々の革新的な技術と機構が生み出された。定着せず消えていった技術もあれば、以降の時代を一変させ、現代にまで残る技術もある。しかし、その全てが、エンジニアのひらめきと情熱と努力の結晶であることに疑いはない。二輪車の「初」を切り拓き、偉大なる足跡を残した車両を年代順に紐解いていく。

※本稿で取り挙げる「初」は、“公道走行可能な量産二輪市販車”としての「初」を意味します。また、「初」の定義には諸説ある場合があります。

世界初FI「燃料噴射を電子制御! 見事な先見性だ」KAWASAKI Z1000H[1980]

幅広い現行モデルに普及している電子制御燃料噴射システムのFI(フューエルインジェクション)。出力を得やすく、燃費も優秀なFIを初導入したのが本作だ。Z1000Mk.IIをベースに、4輪のボッシュ製FIを2輪用に調整して搭載。エンジンへの空気流入量からコンピュータで最適な比率の燃料を噴射した。応答性は今一つながら、実に先進的だった。

KAWASAKI Z1000H 1980
【KAWASAKI Z1000H[1980]】■車重245kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC2バルブ 1016cc 96ps/8000rpm 9.1kg-m/7000rpm F=3.25-V19 R=4.00-V18■輸出車

公道向けはFIを採用

KAWASAKI Z1100GP 1981
【KAWASAKI Z1100GP[1981]】遅れてWGPに参戦したカワサキ。1978~1981年に250クラスで連覇を成し遂げた。その技術を還元したのがZ-GPシリーズだ。肝煎りのFIだったが、電気の消費量が激しいなどのネガもあり、1984年の750ターボを最後に1999年まで採用されることはなかった。
KAWASAKI Z750GP 1982
国内初FI【KAWASAKI Z750GP[1982]】次世代の公道向けZとして開発されたGPは、さらに進化したDFIを搭載。750版は国内初のFI車となった。Z1000Hに比べ、センサー数を5か所に増加。8ビットのマイコンで処理速度を高め、レスポンスが向上した。

レース向けの後継機はキャブを継続

KAWASAKI Z1000J 1981
【KAWASAKI Z1000J[1981]】さすがのZ1も1970年代末にはレースで劣勢に。そこで市販車レース用の公認取得モデル「J」が開発された。998cc+キャブレターを採用しつつ、軽量クランクやピストン変更などでMk.IIから9ps増の102psを発揮した。
KAWASAKI KZ1000R 1982
【KAWASAKI KZ1000R[1982]】1981年のAMAスーパーバイクでエディ・ローソンの駆るJ改が王座を獲得した。これを記念したレプリカがKZ1000Rだ。1982年のZ1100GPと同様のビキニカウルのほか、専用シートやリヤサス、ワークスカラーのライムグリーンを与えた。

世界初フルドレスツアラー「名実ともに最強グランドクルーザーに」HONDA GL1100 INTERSTATE[1980]

フルカウルにサイドバッグ&トップケースを組み合わせた「フルドレス」を標準装備した初のモデル。GL第2世代のGL1100は1980年に登場し、水平対向4気筒を999→1085ccにボアアップ。フルドレスのインターステートを追加し、グランドツアラーの資質を高めた。

【HONDA GL1100 INTERSTATE[1980]】■車重285kg(乾) 水冷4ストローク水平対向4気筒 SOHC2バルブ 1058cc 80.5ps/7500rpm 9.0kg-m/5500rpm■輸出車
【HONDA GL1000[1974]】国産初のリッターマシンとなった初代ゴールドウイング。シート下に燃料タンクを配置し、低重心化を促進。同社初のシャフトドライブも備える。
KAWASAKI Voyager 1983
【KAWASAKI Voyager[1983]】直列6気筒を積むZ1300をベースに、ラグジュアリー系ツアラーに仕立てた北米向けのモデル。心臓にFIを採用したほか、オーディオや無線、電子コンパスなどの豪華装備を奢った。■車重381kg (乾) 水冷4ストローク並列6気筒 DOHC2バルブ 1286cc 117ps/7500rpm 13.2kg-m/6000rpm■輸出車
YAMAHA Venture Royale 1983
【YAMAHA Venture Royale[1983]】ヤマハ初のV4ユニットを新開発。エンジンを囲むカウルは熱気からライダーを守り、個性的なルックスも演出した。乗り心地をコンピュータ制御する先進的なエアサスも特徴。■車重325kg(乾) 水冷4ストロークV型4気筒 DOHC4バルブ 1198cc 97ps/7000rpm 11.0kg-m/5000rpm■輸出車

世界初アンチノーズダイブ「ケニーのインを刺す武器」SUZUKI GSX750E[1980]

スズキのWGPレーサー=RGB500は、ブレーキ油圧を利用してフロントフォーク内のオイル流量を変化させ、前方への沈み込みを抑えるANDF(アンチノーズダイブフォーク)を採用していた。これを市販車に初搭載したのがGSX750Eだ。本来「ケニー・ロバーツのインを刺す」ために開発されたと言われ、各社のスポーツ車がこぞって採用したが、不自然な動きを嫌う者も多く、1980年代後半には廃れた。

SUZUKI GSX750E 1980
【SUZUKI GSX750E[1980]】■車重229kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 747cc 69ps/8500rpm 6.2kg-m/7000rpm F=3.25-19 R=4.00-18■当時価格:52万円
GS750の後継機としてデビュー。DOHC4バルブをはじめ、燃焼速度を早めて出力を向上させる独自のTSCCを導入。国内初の角型ハロゲンヘッドライトも与えた。角形&大柄な車体から愛称はベコ(牛)。

「兄貴分にはANDFナシ」SUZUKI GSX1100E[1980]

750と共同開発された旗艦。当初1000ccで試作したが、ヤマハがXS1100を発表したため、1100ccに方針を変更。1980年に発売された。CBXと同格の105psを発生し、高剛性なダブルクレードルフレームを採用。ANDFは非採用で調整機構付きの前後サスを備える。アルミボックス製スイングアームも独自の装備だ。

SUZUKI GSX1100E 1980
【SUZUKI GSX1100E[1980]】■車重243kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 1075cc 105ps/8700rpm 8.7kg-m/6500rpm■輸出車

「発展形の刀にはANDFアリ」SUZUKI GSX1100S KATANA[1981]

性能は抜群ながら、デザインが不評だったGSX1100E。その反省から外部の独ターゲットデザイン社にスタイリングを依頼した。BMWから独立したハンス・ムートらスタッフが、日本刀や武士道をモチーフとしたコンセプトを提案。これを元にGSX1100Eベースで製作したのがカタナである。斬新な造形美とスポーティな走りで瞬く間に大ヒット。国内には認証の関係でスクリーンレス&大アップハンの750が登場した。ともにANDFを装備。

SUZUKI GSX1100S KATANA 1981
【SUZUKI GSX1100S KATANA[1981]】■車重232kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 1074cc 111ps/8500rpm 9.8kg-m/6500rpm F=3.50-19 R=4.50-17■輸出車
SUZUKI GSX750S 1982
【SUZUKI GSX750S[1982]】
SUZUKI GSX1100S KATANA 1981
【SUZUKI GSX1100S KATANA[1981]】カムシャフトや吸排気系の変更でベース車から6ps増。当時最強の111psで最高速237km/hをマークした。フレームは部位ごとに6種の鉄製丸パイプを使い分けたダブルクレードル式。これにアルミアームを組み合わせる。1993年型までANDFも採用した。
【SUZUKI GSX1100S KATANA[1981]】左サイドカバーには、デザインと一体化したチョーク用ダイヤルを装備。その下は電源用スイッチで、オプションのヒーターなどに使う。
【SUZUKI GSX1100S KATANA[1981]】専用設計されたメーターは、当時では珍しいコンビネーション式。デザインも見事だ。1100はセパハンとバックステップも採用。

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