第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

世界初&国産初のエポック車を一挙掲載 #04

「世界初フルカウル・鈴鹿8耐初優勝車など」編~時代を切り拓いた革新のマシンたち~[1965-1984]

  • 2019/11/20

暗闇に遠くから幾多の光芒が射す。あるものは一際強い光を放って過ぎ去り、あるものは留まり今も輝き続ける。――過去半世紀に及ぶ二輪史において、数々の革新的な技術と機構が生み出された。定着せず消えていった技術もあれば、以降の時代を一変させ、現代にまで残る技術もある。しかし、その全てが、エンジニアのひらめきと情熱と努力の結晶であることに疑いはない。二輪車の「初」を切り拓き、偉大なる足跡を残した車両を年代順に紐解いていく。

※本稿で取り挙げる「初」は、“公道走行可能な量産二輪市販車”としての「初」を意味します。また、「初」の定義には諸説ある場合があります。

鈴鹿8耐初優勝「最後発から一挙に宿敵を凌駕」SUZUKI GS1000[1978]

1976年末、4ストローク最後発のスズキが巻き返しを計るGS750を投入。さらに1978年、「Z1越え」を目指した決定版、GS1000を市販化した。空冷直4は、750からボア×ストロークともに拡大するとともに、徹底的な軽量化によりエンジン単体で4.5kg減。全体では11kg増に留め、ナナハン並みの車重を実現する。フレームもライバルより高剛性で、豪華なエアサスも与えた。優秀な素性を活かし、1978年の第1回鈴鹿8耐で見事優勝に輝いた。

SUZUKI GS1000 1978

SUZUKI GS1000[1978]■車重234kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC2バルブ 997cc 87ps/8000rpm 8.5kg-m/6500rpm タイヤサイズF=3.50-19 R=4.50-17■輸出車

【伝説のチューナーPOP】ヨシムラ創始者にしてチューナーの神様と呼ばれた吉村秀雄。耐久テストを徹底したGS は、高度なチューンに応える潜在能力を有していた。

【YOSHIMURA GS1000】スズキとヨシムラがタッグを組み、1977年からGS750改944ccでAMAに参戦。勝ち星を挙げた翌年、ヨシムラ+GS1000で初の鈴鹿8耐を制覇した。最速Z1と無敵のホンダRCBを見事蹴散らしたのだ。

【YOSHIMURA GS1000[REPLICA]】

ビキニカウルの“クーリーレプリカ”

1979~1980年、AMAスーパーバイクレースでヨシムラチューンのGS1000を駆り、2年続で王者に輝いたウエス・クーリー車のレプリカ仕様市販車。ワークスレーサーと同様、ハンドルマウントのビキニカウルと青×白カラーが施された。ベースとなるSTDは1979年型でキャブレターを変更し、馬力を3ps高めている。

SUZUKI GS1000S 1979

【SUZUKI GS1000S[1979]】■車重238kg (乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC2バルブ 997cc  90ps/8000rpm 8.75kg-m/6500rpm■輸出車

SUZUKI GS750 1977

【SUZUKI GS750[1977]】実質的なスズキの4ストローク初号機が本作。ライバルよりショートストローク設定の空冷直4をはじめ、カワサキZ以上のトータルバランスを実現した。チューニングの許容量も抜群に高いと評判に。

世界初フルカウル「驚嘆、スポーツツアラーの元祖」BMW R100RS[1976]

BMWの最速旗艦として1976年にデビューしたR100RSは、量産車初のフルカウルに身を包み、センセーションを巻き起こした。大型のカウルは風洞実験を繰り返して設計。200km/h巡航でもライダーを風雨からガードする革新的な装備だった。まさにスポーツツアラーの祖と言える存在である。

【BMW R100RS[1976]】■車重230kg(装備) 空冷4ストローク水平対向2気筒 OHV2バルブ 980cc  70ps/7250rpm 7.7kg-m/5500rpm■海外モデル

BMW R100RS 1976

名車R90Sの後継で、排気量を82cc拡大。後年のカタナで有名となるハンス・ムートがデザインを手掛けた。

BMW R100RS 1976

カウルに包まれた広大なコックピットには、右上にアナログ時計、左上に電圧計まで装備。まるでクルマのようだ。

国産初オートマスポーツ「現代のDCTに通じる意欲作」HONDA EARA[1977]

海外では1950年代から一部のバイクにオートマを採用していた。国産車ではホンダのEARA(エアラ)が初。CB750フォア-Kをベースに、シビックなどで実績のあるスターレンジ式の変速機=ホンダマチックを融合した。ホンダは当時からオートマに熱心で、その情熱は現代のDCTにも現れている。

HONDA EARA 1977

【HONDA EARA[1977]】■車重262kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 SOHC2バルブ 736cc  47ps/7500rpm 5.0kg-m/6000rpm■当時価格:53万8000円

HONDA EARA 1977

クラッチレバーは非装備。トルクコンバーター付きの2段変速式で、足元のペダルによってレンジを変更できる。

国産初シングルスポーツ「今なお健在の超ロングセラー」YAMAHASR400/500[1978]

現在も走り続ける「単車遺産」と言うべき存在のSR。その初代は1978年、国産初のオンロード向け大型シングルとしてデビューした。500は、オフ車XT500の空冷ユニットベースに吸気バルブや冷却フィンを拡大。これを高剛性の専用フレームに搭載した。400はストロークダウンした日本向け仕様となる。

YAMAHA SR400 SR500 1978

【YAMAHA SR400/500[1978]】■車重158kg(乾) 空冷4ストローク単気筒 SOHC2バルブ 399cc 27ps/7000rpm  3.0kg-m/6500rpm■当時価格:31万円

YAMAHA XT500 1976

【YAMAHA XT500[1976]】SRの源流はビッグシングルのオフロードマシン。黎明期のパリダカールラリー連覇などレースで大活躍した。さらに1977年の鈴鹿6耐ではXT500改“ロードボンバー”が好走。SRの誕生に影響を与えた。

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ヌマ王

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ヤングマシン編集部出身の敏腕フリーライター。特にバイクの社会&時事ネタに詳しく、20年以上にわたって特ダネを追い続けている。趣味はユーラシア大陸横断。