世界初&国産初のエポック車を一挙掲載 #05

「世界初100馬力オーバー・国産初6気筒」編~時代を切り拓いた革新のマシンたち~[1965-1984]

暗闇に遠くから幾多の光芒が射す。あるものは一際強い光を放って過ぎ去り、あるものは留まり今も輝き続ける。――過去半世紀に及ぶ二輪史において、数々の革新的な技術と機構が生み出された。定着せず消えていった技術もあれば、以降の時代を一変させ、現代にまで残る技術もある。しかし、その全てが、エンジニアのひらめきと情熱と努力の結晶であることに疑いはない。二輪車の「初」を切り拓き、偉大なる足跡を残した車両を年代順に紐解いていく。

※本稿で取り挙げる「初」は、“公道走行可能な量産二輪市販車”としての「初」を意味します。また、「初」の定義には諸説ある場合があります。

世界初100ps超/国産初6気筒「超弩級、24バルブのモンスター」HONDA CBX[1978]

1970年代後半になると、リッター4気筒が当然の時代に突入。ホンダはこれに代わる旗艦の模索をしていた。その結論の一つが空冷6気筒1000ccのCBXだ。6気筒は既に先達がいたが、ハイテクのDOHC4バルブはCBXが世界初となる。また、100psの大台を初めて突破した公道モデルとなった。モチーフは、ホンダが1960年代のWGPで連戦連勝を果たした6気筒250ccのRC166。排気量こそ4倍だが、カムシャフトの熱歪みや振動対策など細かい手法までRCに準じた。コムスターホイールや高額なジュラルミン鍛造パーツなども話題を呼んだが、何より6発による美しい外観がライダーを魅了。大ヒットこそしなかったが、歴史に偉大な足跡を残した。

HONDA CBX 1978
【HONDA CBX[1978]】■車重247kg(乾) 空冷4ストローク並列6気筒 DOHC4バルブ 1047cc 105ps/9000rpm 8.6kg-m/8000rpm F=3.50-V19 R=4.25-V18■輸出車 ※諸元は欧州仕様
HONDA CBX 1978
威風堂々たる直6とエキパイ。6連CVキャブはニーグリップ幅を狭めるためV字型配置とした。フレームはバックボーン式ダイヤモンドで、美観と剛性を両立。
HONDA CBX 1978
戦闘機をイメージしたコックピットは後の900Fも踏襲。速度計は240km/hまで刻む。ハンドルは鍛造ジュラルミン製。
HONDA CBX 1978
エンジンが圧巻ながら、シート幅はスリム。軸距も1000cc直4と同等の1495mmだった。
BENELLI 750 Sei
世界初の量産6気筒は、1973年に登場した伊ベネリの750sei(セイ)。CB500フォアを模倣した設計で76psを発生。

「重厚長大、120psのプレミアムツアラー」KAWASAKI Z1300[1979]

CBXからやや遅れて、同じく直6を搭載するZ1300が世に送り出された。空冷1047ccのCBXに対し、水冷を採用。国産最大の1286ccという大排気量を与え、装備重量300kg超、最高出力は120psを誇る。ただし、スポーツ車のCBXと性格は異なり、シャフトドライブを与えるなど高級ロングツアラーとして開発。短命だったCBXの一方で、10年以上生産される息の長いモデルとなった。

KAWASAKI Z1300 1979
【KAWASAKI Z1300[1979]】■車重297kg(乾) 水冷4ストローク並列6気筒 DOHC2バルブ 1286cc 120ps/8000rpm 11.8kg-m/6500rpm■輸出車
KAWASAKI Z1300 1979
横幅を抑えるため、ボア62×ストローク71mmとし、ボアピッチを狭めた。スムーズにトルクが湧き出る特性で低振動も美点。

’70年代ビッグバイクは百花繚乱

CB750フォア、Z1の大ヒットを経て、1970年代後半になると次世代機の1000ccモデルが続々投入された。Z1の改良強化型であるZ1000Mk.IIをはじめ、国内最大の1110ccに到達したXS1100らが話題に。中でもDOHC4バルブの先進メカと流麗なスタイルで登場したCB900F/750Fは当時最大のヒット作となった。

「徹底改良したZ1系の集大成」KAWASAKI Z1000Mk.II[1979]

1977年、Z1が全面変更を受け、903→1015ccにスケールアップしたZ1000に進化。これにさらなる改良を加えたのがマークIIだ。動弁系パーツやキャブの変更で馬力をアップしたほか、二重構造のダウンチューブで骨格も強化。Z1の集大成と言える存在だ。角型に一新した硬派なデザインも好評を博した。

KAWASAKI Z1000Mk.II 1979
【KAWASAKI Z1000Mk.II[1979]】■車重245kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC2バルブ 1015cc 93ps/8000rpm 9.1kg-m/6500rpm F=3.25-19 R=4.00-18■輸出車
KAWASAKI Z1000Mk.II
【KAWASAKI Z1000Mk.II】

「ビキニカウル装着、仮面の騎士」KAWASAKI Z1R[1978]

Z1000をベースに、流行のカフェスタイルを採用。角形基調ながらマークIIとも一線を画す流麗な外装が際立つ。集合マフラーや同社初のキャストホイールも目玉。

KAWASAKI Z1R 1978
【KAWASAKI Z1R[1978]】■車重246kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC2バルブ 1015cc 90ps/8000rpm 8.7kg-m/7000rpm F=3.50-18 R=4.00-18■輸出車
KAWASAKI Z1R 1978
【KAWASAKI Z1R[1978]】
KAWASAKI Z1R-II 1979
【KAWASAKI Z1R-II[1979]】登場2年目はベース車をマークIIに変更。フロントを18→19インチ化し、直進安定性が向上したほか、燃料タンク容量もアップ。4in2マフラーなどにより最高出力は4ps増となった。

「待望のDOHC4バルブ獲得」HONDA CB900F[1979]

CB750フォアを継ぐ次世代スーパースポーツとして1979年、CB-Fが投入された。軽量なシャーシにホンダ初のDOHC4バルブ直4を搭載。さらにコムスターホイールやトリブルディスクブレーキ、可変減衰力のFVQダンパーなど、欧州の耐久選手権で無敵艦隊と呼ばれたRCBのノウハウを随所に反映した。

HONDA CB900F 1979
【HONDA CB900F[1979]】■車重232kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 901.8cc  95ps/9000rpm 7.9kg-m/8000rpm F=3.25-19 R=4.00-18■輸出車
HONDA CB750F 1979
【HONDA CB750F[1979]】国内には750を投入。性能はもちろん、流れるようなヨーロピアンデザインで人気を呼び、1981年までトップセールスを記録した。

「衝撃を与えた、ヤマハ初の4気筒」YAMAHA XS1100[1978]

大排気量&多気筒化の時代に、独自路線を歩んでいたヤマハが初の4気筒かつオーバー750モデルとして投入。当時の国産最大となる1101ccで強烈なインパクトを与えた。95psは、CBXが登場するまで世界最強。一方でシャフトドライブを採用し、ツアラー的な性格も有していた。

YAMAHA XS1100 1978
【YAMAHA XS1100[1978]】■車重255kg(乾) 空冷4ストローク並列4気筒 DOHC2バルブ 1101cc 95ps/8000rpm 9.2kg-m/6500rpm F=3.50-19 R=4.50-17■輸出車
YAMAHA XS1100S 1981
【YAMAHA XS1100S[1981]XS1100をベースに、丸眼1灯+ビキニカウルと火炎ホイールを与えたカフェ仕様。黒×金のワルなカラーも好評だった。

関連する記事/リンク

関連記事

暗闇に遠くから幾多の光芒が射す。あるものは一際強い光を放って過ぎ去り、あるものは留まり今も輝き続ける。――過去半世紀に及ぶ二輪史において、数々の革新的な技術と機構が生み出された。定着せず消えていった技[…]

関連記事

暗闇に遠くから幾多の光芒が射す。あるものは一際強い光を放って過ぎ去り、あるものは留まり今も輝き続ける。――過去半世紀に及ぶ二輪史において、数々の革新的な技術と機構が生み出された。定着せず消えていった技[…]

関連記事

暗闇に遠くから幾多の光芒が射す。あるものは一際強い光を放って過ぎ去り、あるものは留まり今も輝き続ける。――過去半世紀に及ぶ二輪史において、数々の革新的な技術と機構が生み出された。定着せず消えていった技[…]

関連記事

暗闇に遠くから幾多の光芒が射す。あるものは一際強い光を放って過ぎ去り、あるものは留まり今も輝き続ける。――過去半世紀に及ぶ二輪史において、数々の革新的な技術と機構が生み出された。定着せず消えていった技[…]