突如発表されたホンダ新型アフリカツインとともに、2018年型からラインナップに加わっている“アドベンチャースポーツ”もモデルチェンジ。変更内容はSTDよりも多く、ロングツーリング適性をさらに高めた“旅仕様”としての完成度を増している。
電子制御サスペンションやチューブレスタイヤがトピック
当記事では、スタンダードモデル(↓関連記事参照↓)をベースとしたロングツーリング仕様であるCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツに焦点を当て、アドベンチャースポーツならではの変更点に絞ってお伝えしたい。
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24.8Lのビッグタンクやコーナリングライトを採用
CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツのスタイリング上の特徴として、まず目につくのは大型スクリーン、そしてビッグタンクだろう。
ウインドプロテクションを高めたスクリーンは、新たに5段階の高さ調整が可能になった。また、ビッグタンクは従来の24.2L(欧州仕様表記。日本仕様は24L)から24.8Lへとわずかに大容量化している。スタンダードモデル同様に40mmスリム化されたシートに合わせ、燃料タンクも後半部分が大きく絞られているのも見て取れる。
シートは従来のフラットなものから段付きタイプへと改められ、シート高は920/900mm(欧州仕様)から870/850mmに。これはスタンダードモデルと同じ数値となる。また、パッセンジャーシートはアドベンチャースポーツ独自のコブ付きタイプとなり、タンデムライダーの快適性を向上した。
ヘッドライトはメイン部分をスタンダードモデル同様としながら、コーナリングライトを新設。カーブでバイクが傾くとIMUが検知し、曲がっていく先の道を照らすもので、バンク角に応じて3ステージの照射範囲を持ち、利便性と安全性を高めている。
また、スタンダードモデルではオプション設定となるグリップヒーターやACC給電ソケットを装備するのも、ツーリング仕様のアドベンチャースポーツならではだ。
電子制御サスペンションはオプション設定
IMUとストロークセンサーが連動し、車体のロール/ヨー/ピッチを検知しながら、速度や路面の凹凸に合わせてサスペンションのセッティングを瞬時に調整するSHOWA製電子制御サスペンション“EERA”をオプション設定する。これは、いずれ登場するであろう日本仕様でもオプション扱いになるかは不明だが、いずれにせよ新世代のアフリカツインを象徴する装備と言えそうだ。
通常のサスペンションを含め、ストローク量がスタンダードモデルと同じ設定になったことも見逃せない。従来型のホイールトラベルはフロント252mm、リヤ240mmとロングストローク設定だったが、フロント230mm/リヤ220mmに改められた。これは、シート高を下げて扱いやすくする狙いのほか、電子制御サスペンションがあれば短めのストロークでもオンロード/オフロードともに対応できる、といった理由もありそうだ。
SHOWA製EERAは、オンロード向けセッティングにソフト/ミディアム/ハードの3種類のセッティングを持つほか、オフロード専用セッティングも。また、リヤのスプリングプリロードはサスペンションのモード設定とは別に調整することができ、1人乗り/1人+荷物/2人乗り/2人+荷物の4種類に加え、ユーザー設定も可能だ。また、ダンピング特性も前後それぞれ24段階に調整することができる。EERAを装備することによる重量増は2kgとされる。ちなみにキャスター/トレールなどのディメンションはスタンダードモデルと同じ。
電子制御まわりはSTDと同様、ユーザー設定では電サスも連動
搭載する電子制御の項目はスタンダードモデルと同様だ。トラコン、ウイリーコントロールのほかコーナリングABSを備えている。また、走行モードもツアー/アーバン/グラベル/オフロード/ユーザー設定1&2でスタンダードモデルと同じ項目数だが、ユーザー設定では電子制御サスペンションも含めて自分好みに調整できる。
ホンダCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツ Specifications
【HONDA CRF1100L AFRICA TWIN ADVENTURE SPORTS】主要諸元■全長2330 全幅960 全高1560 軸距1575 シート高850/870(各mm) 車重238kg[DCT=248kg]■水冷4ストローク並列2気筒 SOHC4バルブ 1084cc 102ps/7500rpm 10.7kg-m/6250rpm 変速機6段 燃料タンク容量24.8L■タイヤサイズF=90/90-21 R=150/70R18 ※諸元は欧州仕様 ●価格:未発表
オプションラインナップはSTDよりも豊富?
CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツ用にラインナップされるアクセサリーは、STD同様のアルミ製42Lトップボックスやローシート(825-845mm)/ハイシート(870-895mm)などのほか、スクリーン延長&ディフレクターセット、4.5L容量のタンクバッグ、サイドタンクパッド、エンジンガード、サイドパイプ、LEDフォグライト、そしてセンタースタンドがある。ただし、なかにはスタンダードモデルに装着可能と思えるものもあるので、すべてがアドベンチャースポーツ専用というわけでもなさそうだ。このあたりは、いずれ発表されるであろう日本仕様が出たときに詳しく調べてみたい。
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