0-1000m全開加速対決に続き、ここでは4気筒CBR250RR(MC22)&2気筒CBR250RR(MC51)で街中やワインディング、高速道路といった一般公道での使い勝手やハンドリングを検証した。“低中速トルクに勝る”とされる2気筒が優位かと思いきや、4気筒が大健闘! ふたりのテスターがその性能を総括した。
●まとめ:伊丹孝裕 ●写真:真弓悟史
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再び来る!? ニーゴー4気筒時代
丸山――さて、JARIのテストコースを出て、街中、ワインディング、高速道路といった、いわゆる一般公道でもたっぷり試乗してみました。車両はホンダの2台ですが、どうでした?
伊丹――正直、MC22は厳しいだろうなと思っていました。ピークパワーはある一方、トルクは明らかに不利。 若い頃ならそれも気にならなかったでしょうが、今の感覚で乗るとピーキーに感じられてガッカリするんじゃないかなと。ところがですね……。
丸山――そう、全然普通(笑)。もちろん、2気筒と比較するとスタートに気は使うんだけど、それはクラッチの問題であって、トルク自体はちゃんとある。スロットルの動きに対して、ビュンと回転が上がるからなんとなく神経質な気がしてしまうだけなんだよね。
伊丹――慣れるとアイドリングからでもスッとスタートできるほどフレキシブル。反面、1万数千rpmでミートすることも許容してくれるわけで、使える範囲はめちゃくちゃワイドです。
丸山――問題があるとすれば、低回転もそれなりに使えると分かっていても、ついつい高回転まで回してしまうところ。なにせ楽しいから仕方がない。特に1万rpm付近を境に音質とスロットルレスポンスが一気に高まるから、それに釣られてテンションまで上がるんだよね。昔とは時代も環境も違うから、いろいろと気をつけなきゃいけないことが増えた。でも、どうしても4気筒の魅力にあらがえない自分もいて、ワインディングで自制心を保つのは本当に大変(笑)。こんな素晴らしいエンジンがなぜなくなったのか、今にして思えば不思議だよね。
伊丹――2ストロークの250ccと4ストロークの400ccが盛り上がり過ぎて、当時のこのクラスはその狭間に埋もれていたことは否めません。ニーゴー4気筒でレースをしても世界GPはもちろん、全日本ロードレースにも繋がらなかったため、ちょっと中途半端でしたよね。
丸山――昔は2ストロークがスポーツの象徴だったけれど、ニーゴー4気筒を回し切った時に分泌されるアドレナリンも相当なもの。みんな、いつの間にか2気筒のドコドコ感に慣れて、それが基準になっていると思うんだけど、若いライダーもぜひ4気筒を体験してほしいな。“こんな楽しい乗り物を隠してやがったのか!”って驚くんじゃないかな。
伊丹――もちろん2気筒にもいいところがあって、操作が簡単で静かで燃費もよく、明確に伝わってくるトラクションは安心感の塊。日常的に乗る場合はもちろん、長距離性能にも秀でています。その意味で高速道路は2気筒の独壇場かと思いきや、ここでも意外に4気筒がよかったという(笑)。
丸山――街中にも通じることなんだけど、MC22はライポジが超安楽。足着きはベタベタで、前傾も少なく、走行中の振動も少ないから、実はツアラーとしても優れた資質を持っている。6速・100km/h巡航時のエンジン回転は9000rpmを指していて、それだけ聞くと高い印象なんだけど、対するMC51も7000rpmと驚くほどの差はない。カウルが大きく、ウインドプロテクションに優れていることもあって、MC22も充分実用的。
伊丹――なんだかニーゴー4気筒が非の打ちどころがない理想のバイクに思えてきましたね。
丸山――MC22とMC51のスペックを比較していくと、あながち否定もできないんだよね。軽くてパワーがあって、オールラウンドに使えて、なにより乗っていて楽しい。現代のバイクは、ABSが標準装備されていたり、サスペンションがしっかりしていたりと安全性では確実に優れているでしょ。だからこそ、今の技術で新しいニーゴー4気筒を開発してくれたなら。そう思わずにはいられないよね。コストだけの問題ではないのだろうけど、MC22には手間ひまが掛かっていて、それがちゃんとフィーリングに反映されている。“昔はよかった”と振り返るだけでは、あまりにもったいない技術だと思う。
伊丹――時代は繰り返されるものですから、その先陣を切ってくれるメーカーの登場に期待したいです。
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