フツーのオフ車では刺激が足りない方へ

【動画あり】KTM 790 ADVENTURE R試乗インプレッション【KTMならスライドも思いのままに!?】

  • 2019/8/11
KTM 790 ADVENTURE R

’19年7月号で790アドベンチャーの試乗記をお伝えしたが、今回紹介するのは、さらにダート性能を突き詰めた“R” 付きの790アドベンチャーRだ! ベテランにはさらなる高みを、初心者には最新の電子制御で安心の走りを提供するこのマシン。KTMが用意したモトクロスコースでの試乗インプレッションを詳細にリポートする。

最新のトラコンは後輪のドリフト具合を選べる!

スタンダードの790アドベンチャーが装備するストリート、レイン、オフロードにライディングモードに加え、R”にはラリーモードが追加装備されている。このラリーモードは、STDのオフロードモードの上位モードにあたり、さらにきめ細やかなトラコン介入が9段階で設定可能。「9はストリートモードと同様、7がオフロードモードと同様、それ以下はさらに段階的にリヤタイヤの空転を許容するようになる。最低の1を選択するとトラクションコントロールはほぼオフの状態」になり、かなりの奥の方までスライドを許容するようになった。

KTM 790 ADVENTURE R

写真はラリーモード“1”でアクセルをガバ開けした状態。派手にルーストが上がり後輪がスリップしているが、やがてトラクションコントロールが介入しスライドが収まる。

KTM 790 ADVENTURE R

ラリーモードへの切り替え、介入レベルの設定は左スイッチボックスのボタンで操作する。走行中でも、スロットルオフにさえすれば各種設定変更が可能だ。

(◯)コースも攻められるできのいい車体

KTMが用意した試乗会場が完全なモトクロスコースであることに驚かされた。さすがに30m級のジャンプセクションはないものの、テーブルトップジャンプに、とにかくサスペンションに負荷がかかるウォッシュボードまである。このコースをまともに走るアドベンチャーツアラーがまず少ない。思いつくのは21インチホイールを備えた新型F850GSとアフリカツインなどだが、それにしたって“周回はできる”ものの、積極的に攻め込むのは難しい。

なぜか? 車重のあるアドベンチャーツアラーでウォッシュボードを走れば、ちょっと速度をあげただけで、重さが何倍もの負荷となってサスにのしかかり、よれたり、底突きしたりして足まわりが破綻するからだ。ところがである。この790アドベンチャーRは、コースを走っても、足まわりが破綻する気配がないのだ。

KTM 790 ADVENTURE R

モトクロスコースでジャンプしても破綻しない強力な足まわりは、間違いなく現行アドベンチャーツアラー最強のオフロード性能である。

KTM 790 ADVENTURE R

【KTM 790ADVENTURE R[2019]】主要諸元■全長- 全幅- 全高- 軸距1528 シート高880(各mm)車重189kg(半乾燥) ■水冷4スト並列2気筒 799cc 95ps/8000rpm 8.98kg-m/6600rpm 変速機6段リターン ●価格:155万円 ●色:白

KTM 790 ADVENTURE R

スタンダードの790アドベンチャーとの外見上の違いは、長めのサスペンションストロークにアップフェンダー、ショートスクリーン、一体型シート、丸型ミラーといったところ。

KTM 790 ADVENTURE R

上が790アドベンチャーRで、下が既存の1190アドベンチャーR。見た目の足着き性的にはほとんど変わらないのだが、走り比べてみると790アドベンチャーには数値に現れないコンパクトさがあり、ダートでもロードでも、ものすごく扱いやすく感じる(身長175cm 体重69kg)。

異様にコンパクトに感じる車体もペースアップに拍車をかける。前後長の短いパラレルツインエンジン採用によるホイールベースの短縮化が大きいのだろう。ほぼ同サイズの1190アドベンチャーRにも同時に試乗してみたが、体感的に790アドベンチャーRはひとまわり車格がコンパクトに感じる。もう、この車体をもって、ダートセクションでは現行最強だと言い切ってしまえる。

車体だけでも驚きだが、コイツには、さらに段階的にトラコンの介入レベルを変更できる機能まである(上表参照)。コーナーでアクセルを開けながら内足に体重をかけると、当然後輪が滑りだして、アウト側へと流れだすのだが、それがある程度スライドしたところで収束して戻ってくる。そのフィーリングも変にエンジン出力をカットされたり、ハイサイドを予感させるような唐突なものではなく、自然とリヤタイヤがグリップする感じで怖さがない。おかげでコーナリング中にも、アクセルを安心してあけられる開けられるというワケ。スタンディングのまま、テールスライドが楽しめてしまうのだから、楽しくないワケがない(笑)。

KTM 790 ADVENTURE R

ジャンプやステアケース時に邪魔になるスクリーンは短めに設定。40mm幅で調整が可能(左)。前後240mmと大きくホイールトラベルを確保。フロントは21インチサイズのスポークホイールを装備している(右)。

KTM 790 ADVENTURE R

エンジン下側まで伸びた黒いパーツは、容量20Lの燃料タンク。450kmの航続距離を確保しているという(左)。エンデューロレース用に開発されたφ48mmWP・XPORフォーク。左側で圧縮、右側をリバウンドと減衰を分割(右)。

KTM 790 ADVENTURE R

“R”はオフ走行がしやすい一体型シートだが、より低いSTDの分割タイプにも換装可能。

(△)ダート最強ゆえのジレンマを抱える

現行最強のオフロード性能。しかし、その長所をどこで発揮したらいいのかと思う。そう、日本の狭い林道ではコイツの性能を味わえるような速度が出せないのだ。BMWのGSトロフィーのような戦う場があればいいのだが、ダート最強とはいえ国内ではその性能をフルに活かせるシチュエーションに恵まれていない。

(結論)こんな人におすすめ:フツーのオフ車では刺激が足りない方へ!

ベテランにはさらなる高みを、初心者には最新の電子制御で安心の走りを提供するこのマシン。林道ツーリングに出かければ、誰もが尋常じゃない速度を“ 出せてしまう”。ビビリリミッターは常にオンに!

●写真:山内 潤
※取材協力:KTM JAPAN

※ヤングマシン2019年8月号掲載記事をベースに再構成

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