第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

見た目はブロックタイヤでもオンロード性能はバッチリ

ミシュラン『アナキー アドベンチャー』は軽快さが光る!

  • 2018/12/23

ますます人気の高まるアドベンチャーカテゴリーに向け、ミシュランから新作タイヤが登場した。ブロックタイヤ然としたトレッドアパターンは、オフロード寄りの性格が強まっているように見えるが……。

トレール向けタイヤは3機種が揃う

ミシュランの新作、アナキーアドベンチャーは、多くのツーリングライダーに支持されたアナキー3の後継モデル。オンロード向けラジアルタイヤのロード5がトレールバイク向けのサイズを揃えたことにより、オフロードに強いアナキーワイルドと、このアナキーアドベンチャーを加えた3機種ラインナップで、全てのライダーをカバーすることになる。

【左】ロード5トレールはオンロード100%。【中央】アナキーアドベンチャーはオン80%/オフ20%を想定。【右】アナキーワイルドはオン/オフが50%ずつ。

【〇】レスポンスがよく軽快なコーナリング

走り出してすぐに気付くのは、アナキー3に比べてトレッド剛性が高まっていること。いかにも『オフロード』なブロックパターンを好むライダーは多く、記者もそのひとりではあるが、実際の使用状況はオンロードが8~9割以上というライダーが大多数だろう。そんな状況を踏まえ、低μ路でのグリップやオンロードでのしっかり感を向上させたのがアナキーアドベンチャーだ。

剛性があることに加えてトレッド形状は尖り気味になっているため、浅いバンク角から操舵へのレスポンスはクイック。接地感も軽快だ。よくたわみ、豊富な接地感とゆったりした反応のアナキー3とは対照的といっていいだろう。こうした特性から、アナキーアドベンチャーは狙った走行ラインを保つのが楽だ。アナキー3はやや曖昧かつ大らかで、個人的にはゆったり感に任せて走れるところが好みではあるが、様々な状況下で考えれば狙ったところを正確に走りやすく、確実な走りを約束してくれるのはアナキーアドベンチャーということになろう。

特にテストコースで高速レーンチェンジを想定したスラロームを繰り返すと、次第にテンポが遅れていくアナキー3に対し、アナキーアドベンチャーは最後まで帳尻が合ってくれる。また、ラインが少しズレた際に元のラインに戻しやすく、リカバリーが利くという意味でも安心感は大きかった。

ワイディング想定のコースでは、R1200GSやアフリカツインでステップが接地するくらいまで寝かしても不安がなかった。

高速バンクに入ると、アナキーアドベンチャーは走行ラインの細かな修正が利く安心感からアウト側に寄っていけるのだが、アナキー3だともう少しマージンを取っておきたくなる。

ウエットグリップは想像以上。ブレーキングでABSが作動するまでには、レバーをかなり握り込まなければならないし、ABSが利いてからもスムーズに止まる。スラロームでも普通に走っているぶんには滑る気配がない。

オフロードでは、無理しなければ問題なし

オフロードではアナキーワイルドを装着した車両と比較した。まずアナキーアドベンチャーだが、普通に走るぶんには不安もなく、フラットな林道をツーリングするなら何も問題ないと思えた。ただ、オンロードで感じたレスポンスのよさは、ここでは路面の凹凸に対する敏感さとして感じられる場面もあった。気になるようだったら少し空気圧を落とすなどしてもいいかもしれない。

一方で、アナキーワイルドはものすごい安心感。極低速から路面をしっかり捉えているのが感じられ、トコトコ走りからスロットルワイドオープンまで、明らかにオフロードがメインステージという感じだった。ただし、やはりオンロードではあまり寝かさないなど気を遣う必要があるのと、アナキーアドベンチャーに比べればタイヤ寿命もだいぶ短い。そこを割り切って考えるライダーにだけすすめられるタイヤだ。

【左】アナキーアドベンチャーはスロットルを大きく開けると後輪が横へ流れ出す。不安を感じさせるほどではないが、無理はしないほうがよさそうだ。【右】アナキーワイルドは、同じようにスロットルを開けても何事もなかったようにまっすぐ加速する。

【×】車種によっては軽快すぎると感じるかも?

レスポンスのいいタイヤだけに、元々が軽快でサスペンションもよく動くアフリカツインのようなバイクだと、その反応のよさゆえに乗り手がラフな操作をすると挙動がやや乱れることも。特に低速コーナーでバイクが寝ているときには丁寧に扱ったほうがいいだろう。R1200GSのようにスタビリティの強いバイクの場合は、安定性に軽快性をプラスした感じになるので、ベストマッチといえる。

【結論】街乗りからツーリングまで、ガチオフ系以外なら誰にでも〇

オンロードにおいては、まさしくオールマイティ。気を遣わずに走ることも、スポーティに走ることも、そして様々な状況に対応することも、全てを不安なくこなしてくれる。オフロードをガチで走りたいという少数派を除けば、全てのライダーにおすすめできるタイヤだった。ブロックタイヤらしい見た目が好きだけど走るのはオンロードがもっぱら……というライダーも、パターンデザインだけで選んだとしても後悔しないはずだ。

原田哲也さんも、その印象を教えてくれた!

試乗会で案内人を務めてくれたのは原田哲也さん。軽快なアナキーアドベンチャーとゆったりしたアナキー3のどちらにもよさはあるが、アドベンチャーの軽快さが好みだという。グリップ力は想像以上で、、特にウエットでのグリップが高いことも高評価だった。また、ブレーキングスタビリティの高さとそこからの寝かし込みが狙い通りのラインをトレースしやすいことも、アナキー3からの進化を感じさせると語ってくれた。

ミシュラン主催の試乗会で案内人を務めた原田哲也さん。1993年のWGP250ccクラス世界チャンピオンで、現在はバイク文化の普及に力を注いでいる。

ミシュランのビッグオフ向けタイヤの中央に位置するアナキーアドベンチャーは、従来のアナキー3の後継モデル。特に低μ路でのグリップを向上したほか、ややオフロード寄りの性格づけとなっている。

ボイドレシオ(トレッド面における溝の割合)は、アナキー3と反対にバンク角が増えると溝も増える設定。それでもブロックがヨレないのにはワケがある。

①トレッドショルダー付近のブロック同士を結合するブリッジブロックを採用し、ブロック剛性を確保。②センターはフルグルーブ。ブロックの大きさを不均等にすることで共鳴音を低減した。③溝の幅を広げて高い排水性を確保している。

【ミシュラン アナキー アドベンチャー】
サイズラインナップ/発売時期
F 90/90-21 2019年春
  100/90-19 2019年発売予定
  110/80R19 2019年春
  120/70R19 2019年春
R 130/80R17 2019年発売予定
  140/80R17 2019年発売予定
  150/70R17 2019年春
  170/60R17 2019年春
  150/70R18 2019年春

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)