世界最古にして最長の距離を誇る、バイクの公道レースがマン島TTだ。そのコースを完全再現したPS4用のゲームが登場。かつて実際にマン島TTに挑んだ伊丹孝裕がそのリアルさを体験してみた!(※ヤングマシン2018年6月号より)
テスターはマン島TTライダー・伊丹
7538円であの島へ行けるという贅沢
思い起こせば8年前(掲載当時)のちょうど今頃。来る日も来る日もなにをしていたかと言えば、家でも外出先でも食事中でもトイレの中でもひたすら飽きることなくDVDを見ていた。もちろん中身はマン島TTのオンボード映像を収録したものだ。なぜならその年の5月にマン島TTに初参戦することが決まっていたからで、少しでもコースや周りの風景を覚える努力をしていたのである。
今だから言えるが、ぶっちゃけそれはたいして役に立たなかった。一般的に入手できる映像はいきなり全力全開で、しかも超トップライダーのものばかり。流れる景色が速過ぎる上に、自分で操作できるわけでもないから現実味がなかったのだ。だから実際に現地入りした時、「へ? なんかDVDと全然違うやん……」とぼう然したことを覚えている。
とはいえ、泣きながら帰るわけにもいかないので島に着いてからはこれまた来る日も来る日もクルマでコースを走り、右左だけでなく、上下のイメージ(ギャップでジャンプする箇所がたくさんあるのだ)を作ろうとしたものの、これもやっぱりたいして役に立たなかった。
なぜかと言えば、通常は一般公道なので車線をまたいで走ることはできず、制限速度にも超絶厳しいため、ますます「DVDと違うやん」と思うばかり。だからといって、マン島TTにはスポーツ走行や練習走行の時間が設けられているわけではない。島民の日常生活ありきなので、そんなもののためにいちいち生活道路を封鎖するわけにはいかないのだ。
決勝までには一応「プラクティス」と呼ばれる時間が何度かあるものの、れが事実上の予選になる。初参戦のルーキーにとって、これは相当恐ろしい。なにせそれまで時速40km程度で、しかも左側車線だけを走りながら、なんとなくコースを覚えていただけなのに、いきなりレーシングスピードで走ることを要求されるからだ。知らない峠を前にして平均時速200kmで走ってこい! っ言われたらイヤでしょ? でもマン島TTはそういうレースだ。
だから「もしもあの時このゲームがあったら」って心底思う。それほどリアルに再現された最高のレーシングシミュレーターと言える。
というわけで、OTA 堀口 と TT伊丹がガチ対決!!
「ゲームは一切買ったことがないがTTはよく知る伊丹」と「ゲームにしか生きる意味を見つけられないがTTは初見の堀口」がいざ対決!
[結論]TTに出たことなくても勝てる。
【勝】21分34秒…………23分41秒【負】
もちろんマン島は初見。2分差でしたっけ? 終わって馬力差だの、何だのって仰ってましたが、単純に指が「動いちゃった」それだけですね。(OTA 堀口)
俺は堀口に負けたわけじゃない。誇りを懸けてTTレースへ再び挑み、華々しく散っただけのこと。そのスピリッツを笑うヤツは許さねぇ!!(TT伊丹)
……数日後、怒りに震えながらアマゾンでなにかをポチる伊丹を見たとか見ないとか。
ゲームには実車&実名が収録される
’16〜’17のTTレースに実際に参戦した23名のトップライダーとそのマシンを収録。カラーリングも忠実に再現され、お気に入りのライダーを選べる。マシンのパワーや挙動もそれぞれ異なるなど、ファンにはたまらないはずだ
CBR1000RR×John McGuiness
S1000RR×Michael Dunlop
MMX500×Ian Lougher
1190RS×Mark Miller
ZX-10R×Ryan Kneen
キャリアモードで成り上れ!
初心者に優しいアシストモードあり
マルチプレイで熱くなれ!
300km/h超で視界ブレまくり!
マン島TTレース ●税込価格:通常版7538円/DL版6800円/デラックスパッケージ1万454円 ●プレイステーション4用 ●プレイ人数:オフライン1-8 オンライン2-8
●文:伊丹孝裕 ●写真:飛澤慎
後編ではTT伊丹が実際の体験エピソードを交えてマン島TTコースを紹介!(つづく)
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