前モデルまで、エンジン&車体はもちろん、ホイールやサスペンションまで共通だったホンダのミドル兄弟車、CBR400Rと400X。今回のモデルチェンジで成長期を迎え、それぞれの目指すキャラクターへの進化の道を歩きはじめた!
●テスター:丸山 浩 ●まとめ:谷田貝洋暁 ●写真:岡 拓
2車の違いとは?:同じ出身のモデルがそれぞれの道を歩み始めた
399cc並列2気筒エンジンを搭載し、2013年に登場したCBR400Rと400Xは、いわゆるプラットフォーム戦略車。フルカウル、ネイキッド、クロスオーバーの3種類(当時は国内モデルにCB400Fもあった)の異なる外装をまといながら、その中身は同一コンポーネント。スチール製ダイヤモンドフレームに17インチラジアルタイヤ、同一軸距という内容だった。わずかに400Xだけキャスター&トレールが異なっていたが、ロードスポーツという基本的なキャラクターは一緒だったのだ。
それがである。今回のモデルチェンジでは、ベース車体の熟成とともに、それぞれの個性を伸ばされることになった。一番わかりやすいのは400Xのフロントホイール19インチ化。キャスター&トレールはもちろんのこと、ハンドルポジションもそれぞれのキャラクターに合わせて再設定。FIマップも別々のものが与えられているという。
このラウンド2ではそれぞれにどういうキャラクターが与えられることになったのかを検証していくことにしよう。
CBR400Rは“RRルック”で個性を伸ばす
[丸山 浩]CBR400R試乗:過激なデザインに隠された意外な優しさに包まれる
試乗は、ワインディングセクションからスタート。“RR”とみまごう過激なスタイリングに期待に胸を膨らませて走り出してみる。……が、ちょっと期待を持ちすぎた。最初にことわっておきたいのは、このCBR400Rはどちらかというとまったり走る感じの車体で、エンジンもワインディングはトルクを使って楽しむタイプ。だから“RR”のようにがギャンギャンいわすバイクじゃない。
サスペンションも、倒立ではなく正立フォークを採用していることからもわかるように、なるべくコストを含め初心者にも優しい安定感のあるキャラクターが与えられている印象だ。
しかし、これこそがこのマシンの持ち味なのだ。峠から、街乗り、高速を走ってみてそれが確信に変わる。実に汎用性の高いキャラクターが与えられていることがわかったからだ。エンジンのフィーリングにはパラレルツインならではの優しさがあり、2000~4000回転ぐらいの間で、アクセル操作だけで街中を走り抜けてくれる。硬くしすぎない、ダンパーも効かせすぎない足まわりに関しても、街中での乗り心地や疲労を軽減を鑑みてのことなのだ。
オートバイに乗り始めたら、その先、どう楽しむか? そこにはたくさんの可能性がある。サーキットを走るのもいいし、街乗りもよし、またファッションとして乗るのもいい。もちろん旅に出るのもアリだ。でも、そんな入り口で、“これにしか使えない”モデルを選んでしまうと、可能性が狭まってしまう。それが言ってみれば“RR”系。旅だってできなくはないけど、絶対的に速く走る方がキャラクターに合っているから、自然とそれにしか目がいかなくなるものなのだ。
僕がこのCBR400Rというオートバイから感じたことは、その汎用性から、これからのバイクライフがいかようにでも広がるだろうということ。免許を取って、CBR400Rに乗ればいろんな世界が見えてくる。旅が気に入れば旅をすればいいし、ワインディングを走ってみてスポーツ走行が好きになったなら、そちらの道に進めばいい。
バイクのキャラクターでバイクライフの可能性が限定しない。そういうオールマイティさを持ったモデル。それがCBR400Rなのだ。
[谷田貝洋暁]一般ライダー目線インプレッション
スポーティなスタイリングに、“けっこうライディングポジションがキツそうだ”と予想してまたがってみると、意外に拍子抜けのラクチンポジション。シートも厚めのコンフォートなもので居住性も◎。見掛け倒しのおっとりキャラかと思えば、低めのギヤで6000回転以上をキープすれば、峠もかなりスポーティに遊べるるし、音もいい。やっぱりパワーに余裕のある400ccクラスは、いろんな場面でゆとりを感じる。
ライディングポジション[身長168cm/体重61kg]
ホンダ CBR400Rの車両&ディテール解説
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