激しさを増す250SSウォーズ。ヤマハは次なる一手としてYZF-R25のスタイルを一新し、倒立フォークを投入した。’15年に登場、’18年に新排ガス規制対応により36→35psとなった本モデル。今回はマイナーチェンジが施された’19年モデルと’18年モデルを用意して新旧比較を実施。その実力をチェックした!
(◯)スタイリング一新で上質感を手に入れる
フロント&サイドカウルやタンクカバーの変更により、モトGPマシンのYZR‐M1やシリーズ最高峰のYZF‐R1を彷彿させるスタイリングを手に入れた新型YZF-R25。基本骨格となる鋼管ダイヤモンドフレームや、’18年モデルで新排ガス規制対応により1psダウンした249cc水冷並列2気筒エンジンなど、主たる部分には変更がない。このことからメーカーでは’19年モデルをマイナーチェンジと位置付けているが、肉抜きデザインのトップブリッジやフル液晶メーター、そして倒立式フロントフォークの採用により、見た目の上質感は飛躍的に高まっている。
まずはエンジンから。ライバルであるCBR250RRの38ps、ニンジャ250の37psに対して、YZF-R25は35psを公称。この3車の中では最もロングストロークではあるが、吹け上がりは軽快であり、スロットルを大きく開ければレッドゾーンの始まる1万4000rpmまで勢い良く伸びる。一段と元気が増すのは7000rpm付近からで、峠道ではここから上の回転域をキープしていればキビキビと走れる。レスポンスは適度であり、不快な微振動もほとんどなし。優良なエンジンである。
続いてハンドリング。倒立化されたフロントフォークはカートリッジ式となり、動き始めからジワッと減衰力が発生する。これも上質さを感じさせる要因の一つだ。ライダーの操作に対してナチュラルに反応するハンドリングは継承するが、正立式フォークを採用する従来型の方がスロットル操作だけでピッチングが発生しやすかった分、イージーさはわずかに減った感あり。新型は強めのブレーキングからコーナー進入でのトレース性が高まっており、路面がきれいな峠道での旋回力および旋回速度は明らかにアップしている。
その一方で、荒れた路面では旧型よりもわずかにタイヤが跳ねやすかったことから、今回のフォーク倒立化およびそれに伴うリヤショックの設定変更は、サーキット走行を意識したものだと分かる。とはいえ、これは新旧で比べた場合の話であり、軸足は間違いなくストリートにある。
(△)旧型もバランスは良好。ブレーキは強化したい
新旧比較では特に路面の状態で優劣が逆転した。従来型もバランスは良好であり、外観も含め気に入っているなら慌てて買い換えなくてもいいだろう。倒立化でフロント周辺の剛性が上がった分、ブレーキももう少し制動力を高めたいところだ。
【結論】日常性と運動性が高次元で同居。価格上昇も納得
倒立化に伴い足回りはやや高荷重設定になったものの、一般公道での扱いやすさは犠牲にしていない。街乗りからツーリング、サーキット走行まで楽しめるバイクであり、新旧ともラジアルにすればさらに走りは上質になるはずだ。
スタイリングを大幅刷新で魅力度アップ
STD、ABSとも3万2400円高に。5シーズン目の大マイナーチェンジ
【従来型はブリッジ上にハンドルを設置】またいだ瞬間に変化を感じるコックピット。写真の’18年モデルはハンドルが高い分だけリラックスできる。
【φ41mm正立式→φ37mm倒立式へ】新たにカートリッジ式を採用し、同時に減衰力とバネレートを最適化。前後ブレーキやホイール、タイヤについては先代から不変。
セルボタンとキルスイッチが一体式の小型スイッチボックスを新採用。ハザードランプが追加されている。
●写真:松井 慎
※取材協力:ヤマハ発動機
※ヤングマシン2019年6月号掲載記事をベースに再構成
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