’17年9月に生産終了となったヤマハSR400が、平成28年度排ガス規制に対応してラインナップに復活。昭和53年に誕生した名車が新元号・令和になっても継続して販売される。同じく排ガス規制対応のため1年の休止期間を経て復活したセロー250が諸元上で2ps増えたのに対し、同じプロセスを経たSR400は2psダウンの24ps。そのわずかな差を体感するべく新旧比較を実施した。
YAMAHA SR400 [2019]
新旧のSRを見比べると…?
(○)振動がややマイルドに。2ps減はほぼ分からず
キックによる始動
走ってみての印象も新型の方がいい。全域で体に伝わる振動が少なくなっており、躊躇なくスロットルを開けられる。結果、2psダウンどころか、むしろ街中ならスムーズで速いと感じるほどだ。その理由については単にスロットルを開けやすいからだと思っていたが、諸元表でそれらしき要因を発見した。最大トルク値は新旧で同じだが、発生回転数が5000rpmから3000rpmへと大幅に下がっているのだ。これが出足の良さにつながり、速いと感じさせている可能性は大だろう。
ただし、高速道路での追い越し加速などの高回転域では、従来型の方に分があると感じるシーンが多かった。とはいえ、その差は直接比較して分かるレベルであり、総じて動力性能は同等と言っていいだろう。
なお、SRのエンジンはパリダカで勝ったこともあるXT500というオフロード車がベースになっており、鼓動感や味わいといったものは希薄で、パワーカーブやレスポンスはあくまでも実用的。だからこそ扱いきれる楽しさがあり、SRが長く愛される理由ではないかと思う。
車重の軽さやタイヤの細さから生まれる軽快なハンドリングは従来型から変わらず、バンク角の少なさをうらめしく思うほどスポーティに走れる。ブレーキの絶対制動力が少なく、またシャーシも柔軟なために限界性能は決して高くないが、エンジンと同様に扱いきれる楽しさがそこにある。SRは4スト単気筒のロードスポーツとして誕生した機種であり、その本質は今も不変なのだ。
【限定車はサンバースト塗装:40th アニバーサリーエディション】11万8800円高で用意される500台限定モデル。真鍮音叉エンブレムや本革調のシートサイド表皮、ゴールドアルマイトのリム、40 周年のロゴ入りタコメーターなどを採用する(価格:69万1200円)
(△)”あるべき姿”が足かせに。そこにジレンマがある
制動力を強化したい、高速での直進安定性を高めたいなど、いくつか要望はあるが、1か所だけ改良すると全体のバランスを崩すのは目に見えている。モデルチェンジのたびに”SRらしさ”が議論されるが、それが足かせになっているような気がする。
結論:排ガス規制対応の影響は少なく。買うなら新型だ
賛否両論あるキャニスターの追加だが、乗車位置からは全く見えないので、途中から存在を忘れてしまった。CVキャブ&前後ドラムブレーキ時代の四半世紀前からたびたび試乗しているが、いつ乗ってもSRらしさの継承に感心させられる。
●写真:真弓 悟史
※取材協力:ヤマハ発動機
※ヤングマシン2019年3月号掲載記事をベースに再構成
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