第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

電動バイク普及を加速

東京MCショー発表のホンダ新EVに迫る【国産4メーカーの統一規格に先駆け?】

  • 2019/4/3

ホンダが東京モーターサイクルショー初日(3月22日)に行ったプレスカンファレンスで発表されたベンリィ・エレクトリックは、昨年発表されたPCXエレクトリックに続く電動バイクの第2弾。しかし、カンファレンスでの発表後には早々に片づけられ、詳細についても多くは語られていない。これが意味するものとは……?

ハイブリッドを含めた電動化をさらに加速!

東京モーターサイクルショー初日のホンダブースでアンベールされたのは、PCXエレクトリックに続く電動二輪車の第2弾、ベンリィエレクトリックだ。まずはホンダモーターサイクルジャパン(HMJ)の代表取締役社長、加藤千明氏のスピーチから紹介しよう。

「世界的に厳しい排出ガス規制の対応を始めまして、次世代の化石燃料の代替として、ハイブリッドを含めました電動化への動きをさらに加速させていきます」

「昨年、環境対応と走る喜びを両立させましたPCX HYBRIDとPCX ELECTRICを世に出しました。PCX ELECTRICにつきましては、今後の本格的な電動化に対応し、より良い電動二輪車が進出するため都市部におけるモニタリングを行いまして、今月より宮古島でのレンタルサービスを開始し、さらに年内をめどに首都圏でのシェアリングにトライをしていく予定でございます」

「そのPCX ELECTRICに続く電動二輪車の第二弾としまして、よりハードな使用条件化にも対応できるビジネスEV、BENLY ELECTRIC(ベンリィ エレクトリック)のプロトタイプをワールドプレミアとして本日皆様に初公開したいと思います」

「発表、発売日や価格、販売方法の詳細につきましては正式発表までお待ちいただきますが、発売に向けまして、現在鋭意開発中であることを皆様にご報告申し上げたいと思います」

2019年3月22日の東京モーターサイクルショーに発表されたベンリィ エレクトリック(BENLY ELECTRIC)。パワーユニットやバッテリー規格はPCXエレクトリックと同様と見られる。

「また、今回電動二輪車にとってより過酷なフィールドであるモトクロスを想定し、電動モトクロス車両、CR ELECTRICプロトタイプを用意しました。このCR ELECTRICプロトタイプから得られる技術ノウハウを蓄積し、今後もオフロードのみならずオンロードも含め、スポーツ性能の開発、研究を継続して行っていきます。今後、ガソリンエンジンとは異なる、電動車の様々な課題に対しまして真摯に取り組み、将来の市販電動二輪車の開発にも応用することを目標にチャレンジして参りたいと考えております」

電動モトクロス車両のCRエレクトリック プロトタイプ。過酷なフィールドで得られるノウハウを蓄積するのが目的だという。パワーユニットはM-TEC(無限)が開発したものを共有している。

ちなみに無限のプレスカンファレンスではマン島TTのTT-ZEROクラスに参戦する2019年版、神電8が発表された(右)。左は電動モトクロッサーのE-REXで、初出は2017年の東京モーターサイクルショーだ。

PCXエレクトリックの方式を統一規格のスタンダードに?

HMJの加藤社長によるスピーチでは、ビジネス向けの電動バイクを新たに発表し、これによってEVのラインナップが拡充されること、そしてCRエレクトリックプロトタイプによる技術開発を進めていくことが語られたわけだが、詳細については特に触れられず、しかも発表直後にベンリィエレクトリックの車両は片付けられてしまった。

これについて、我々としては微かに不思議な感じを受けながらも、深く考えることなくショーの取材を進めてしまっていた。ところが4月2日になって、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国産バイクメーカー4社が、電動バイクの普及に向けてバッテリーや充電設備の規格を統一するための協議体を共同で作るということが通信社やNHKのニュースで明らかになったのだ。

改めてベンリィエレクトリックを思い返すと、明言はされていないもののPCXエレクトリックのバッテリーシステムを使用することはほぼ確実。そこから考えられるのは、ホンダが先行して同規格を使った車両を増やしておくことで、4社による規格統一のイニシアチブを取る狙いがあるのではないか、ということだ。

台湾ではGogoroがバッテリーと充電設備のインフラで事実上のスタンダードと言えるところまでシェアを伸ばし、これに対抗するKYMCOは、ionexシステムでインフラそのものを輸出していく構えを見せている。いずれも充電ステーションに設置された交換用バッテリーパックを共有して利用することで、従来の電動バイクでは難しかった長距離走行を簡便に実現できるトータルソリューションシステムであり、これはPCXエレクトリックが採用するシステムが目指すところとも合致する。

こうした台湾勢の台頭に対抗し、国際的な規格作りでスタンダードの地位を獲得していくためには、オールジャパン体制でのスピーディな規格統一とシステム開発が不可欠だ。となれば、すでに自前の規格を持っているホンダが他社にも採用をうながし、インフラ作りを牽引していくためにも、あの場でニューモデルを発表して存在感を強めておくことに意味があったのではないか……。

4メーカーの連携については、近くなんらかの発表が行われそうな動きもあるようだ。電動バイクでも国際的に強い競争力を発揮していけるのか。引き続き注視していきたい。

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ヨ

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)