日本国内の’18年400cc市場において上半期トップセールスとなったNinja400は海外でも大好評。その実力は最強と謳われた往年の400レプリカと比べるとどうなのか。そんな疑問に答えるためドイツのモトラッド誌が直接対決でインプレを敢行。その模様をお伝えしよう。後編は数値データから両車の違いを探る。
↓【中編〈インプレッション〉を読む】↓
日本国内の'18年400cc市場において上半期トップセールスとなったNinja400は海外でも大好評。その実力は最強と謳われた往年の400レプリカと比べるとどうなのか。そんな疑問に答えるためドイツのモ[…]
データで見ても2台の違いは明らか
最後にニンジャとZXRの2台のパワーグラフを比較して、実際の数値データからも違いを見てみよう。測定値はダイノジェットシャーシダイナモメータ250で計測されたクランクシャフト動力値で、95/1/EG規格で補正されて最大偏差は+5%。パッと見ただけでもそのキャラクターの違いは浮き彫りになっている。
2気筒のニンジャは市街地走行を中心とした日常的なところを目指しているのは一目瞭然。極低速域からリニアなアウトプット特性が素晴らしく、パワーカーブの途中に目立つ谷もない。トルクも下から十分に発生しており、これなら確かに発進もラクだ。これは24年前のZXRには実現できなかった脅威的な部分で、ZXRの方は6000rpm以下では何もパフォーマンスを見せてくれない。一概に2気筒は4気筒よりパワーがないと言われているが、それは上まで回したときの話であって、下ではニンジャの方が勝っているのだ。0→100km/h加速では互角の勝負となっているが、これはこの手のテストの常でロケットスタートを決めるためエンジン回転を上げてからクラッチをつないでいるためであって、スロットル全閉状態からのスタートでは、また違った結果になることだろう。
ただ、低中回転で負けていたZXRは8000rpmから集合マフラーが目覚めたような爆音を奏で、1万1000rpmからは文字通り炸裂するようなパワー感。製造から24年経った今でも当時と変わらぬ最高出力を叩き出すのは素晴らしい。下は厳しいが上はすごいというこの極端な特性から市街地走行はまったくもって不利だが、ことサーキットにおいては、これが最高でパーフェクト。まさに当時のレースで勝つために作られたZXRの存在理由そのものを表していると言えよう。
ニンジャとZXR、この2台はどちらも川崎重工で生産され約400㏄のエンジンを搭載している……、類似点はそれだけだった。ニンジャは合理的な設計と快適性で、ユーザーとメーカーの価格対性能比が有利に作られているのだが、ZXRはそれらを考慮せずやりたいように構築されていた。当時6197ユーロ相当(約79万7000円)で発売されていたZXRは、今やドイツだと1万4000ユーロのヤマハYZF‐R6より安くなることはほとんどない。ユーザーは、当時の400ccレーサー文化を伝えるためにも十分にコンディションを維持して乗り続けていってほしい。
●取材・文:Ralf Schneider(MOTORRAD)
【MOTORRAD誌】ドイツのナンバー1バイク雑誌で月2回発行。新車のガチンコテストからツーリング、用品、それに今回のような往年モデルの紹介まで総合的な内容を扱っている。
ヤングマシン的考察:ZXR登場時、日本ではネイキッド時代が始まっていた
あらためてサーキットに向けた当時の本気具合が伝わってくる今回のZXR。とにかく「回してナンボ、速くてナンボ、そのためには他は割り切ってOKが許される時代だった。とは言え、レプリカ最後発のZXR400は分が悪かった。登場したのは、なんと初代ゼファーとほぼ同タイミング。そこから先に何が起こったかはご存じのとおり。テスト車が作られた’94では既にCB400SFも発売されており、日本では完全にネイキッドが市場を席捲していた。確かに速さは魅力だったが、それ以上にいつも付き合える、乗り続けていけるフレンドリーさもバイクには重要だと時代は変わっていった。そう考えると、レプリカのカッコよさとネイキッドが残した扱いやすさを融合した先に生まれたのが、現代のニンジャ400と言えるかもしれない。読者も機会があれば乗り比べると時代の移り変わりを体験できるかも。
●まとめ:宮田 健一
※ヤングマシン2019年2月号掲載記事をベースに再構成
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