24年の刻を越えて夢の対決実現
カワサキ400タイムスリップバトル〈前編〉’18ニンジャ400 vs ’94ZXR400
- 2019/2/16
![KAWASAKI ZXR400[1994] vs Ninja400[2018]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img00-17.jpg)
日本国内の’18年400cc市場において上半期トップセールスとなったNinja400は海外でも大好評。その実力は最強と謳われた往年の400レプリカと比べるとどうなのか。そんな疑問に答えるためドイツのモトラッド誌が直接対決でインプレを敢行。その模様をお伝えしよう。まずは両車のメカニズム/スペック比較から。

【MOTORRAD誌】ドイツのナンバー1バイク雑誌で月2回発行。新車のガチンコテストからツーリング、用品、それに今回のような往年モデルの紹介まで総合的な内容を扱っている。
レプリカ時代の最終兵器:KAWASAKI ZXR400
400レプリカ最後発としてライバルを凌ぐ装備を誇り、初代は’89にデビュー。さらに’91のモデルチェンジで戦闘力が大きく高められた。日本では’93の馬力規制変更で59→53psになったが、海外では65psで販売された。
![KAWASAKI ZXR400[1994]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img08-5.jpg)
KAWASAKI ZXR400:水冷並列4気筒 DOHC4バルブ 398cc 65ps/13000rpm 3.7kg-m/12000rpm ※写真は’91国内仕様
直列4気筒とアルミ製のツインスパーフレームを核とするZXRは、登場から四半世紀以上過ぎた現代においても通用する戦闘力を見せる贅沢さが印象的だ。エンジンにはバックトルクリミッターを持つなど本気でレースで勝つことを狙っていたことがうかがえる。蛇腹ダクトのK‐CAS(カワサキ・クール・エア・システム)はエンジンヘッドに冷却風を吹き付けるものだが、レース用にラムエア化しようとするライダーも多かった。
現代の400cc No.1:KAWASAKI Ninja400
’18モデルでフルモデルチェンジ。従来の650譲りから250との共通設計という大胆な方針変更で、扱いやすさとパワフルさを兼ね備えたライトウェイトスポーツとして国内400cc市場の王者CB400SF/SBを凌ぐセールスを記録している。
![KAWASAKI Ninja400[2018]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img06-11.jpg)
KAWASAKI Ninja400:水冷並列2気筒 DOHC4バルブ 399cc 45ps/10000rpm 3.9kg-m/8000rpm※写真は’18国内仕様
ニンジャは最新の技術をふんだんにフィードバック。当時であれば材質的に物足りなく思えた鋼管フレームも、今では剛性と軽量化を両立させる絶好のものになった。そしてFIが全域での扱いやすさを実現する時代に。乗りやすさではZXRはかなわない。
スタイリング
![KAWASAKI ZXR400[1991]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img19-3.jpg)
ZXR400:SPレースで勝つために生まれたZXR。初代の’89はクラス初の倒立フォークを標準装備とした。K-BATL=バックトルクリミッターまで装備する。 写真は国内’91モデル。このときのモデルチェンジでフレームは新設計となり、2灯ライトは1レンズ式になった。
![KAWASAKI Ninja400[2018]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img21-2.jpg)
Ninja400:2気筒の強みであるスリムで扱いやすいボディを活かしつつ、Ninja1000や650、ZX-6Rなど最新のニンジャシリーズと同系フォルムでまとめられたNinja400。セパハンながら適度な高さに設定。ヘッドライト&テールランプはLEDだ。
エンジン:ZXRは本気のレース指向
両車の違いを決定づけるエンジン形式。ニンジャは現代のエントリークラスにおけるオールラウンダーな性格を求めて誕生。最新のFI制御で下から上までスムーズな特性を実現し、環境性能も考慮されている。片やZXRの直4はZX-4のZX400GEユニットをベースにさらに高回転型へと尖った方向へ進化。24年以上も前にスリッパークラッチの走りであるバックトルクリミッターまで装備しているのは400では贅沢としか言いようがない。上級版のRでは、負圧キャブの代わりに強制開閉のフラットバルブキャブが奢られており、さらにライダーにテクニックを要求するようになっていた。
![KAWASAKI ZXR400[1991] vs Ninja400[2018]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img10-3.jpg)
(左)ZXR400:サイドカムチェーンで吸気経路ストレート化とコンパクト化を図った並列4気筒。CVKDキャブは当初φ32mmだったが’93から国内はφ30mmとなった。(右)Ninja400:250と共同で完全新設計。φ32mmスロットルボディを持つFIシステムを採用。楕円スロットルバルブで開け始めから鋭敏なレスポンスを実現している。
フレーム:バランス型vs高荷重型
ニンジャは鋼管トレリスのダイヤモンドフレーム。Ninja H2と同じくエンジン背面にスイングアームマウントプレートを結合しピボットシャフトをここに貫通。効果的にエンジンをストレスメンバーとして利用することで剛性確保と軽量化を両立している。一方のZXRは現代のSSに通じるエンジンを囲むツインスパーフレームをアルミプレス材で構成し、剛性を重視。φ41mm倒立フォークやスイングアームもKIS-ARMと名付けられた応力のかかる部分を太くしたものとするなど、とにかく高荷重に応える車体作りを旨としている。
![KAWASAKI ZXR400[1991] vs Ninja400[2018]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img12-6.jpg)
(左)ZXR400:現代の1000&600㏄スーパースポーツと比べるとエンジンヘッドのハンガーまわりが細いが、それでも剛性の高さを感じさせるアルミ製ツインスパーフレーム。スイングアームも現代ほど長くはない。(右)Ninja400:ZXRから四半世紀以上経った現代の設計技術で軽快性と安定性、剛性などが高い次元でまとめられた軽量トレリスフレーム。オールラウンダーなニンジャだがディメンジョン設定にはSSの理論も反映されている。
装備:豪華なZXR。今ではコスト的に無理?
レース優先かオールマイティか、ダンパー調整機構付きの倒立サスや対向4ポットキャリパーなど、2台の装備の違いは大きい。ちなみにZXRが使っている3連メーターは速度計は取り外せるようにしているのが当時のレーサーレプリカのセオリーだった。また中央にタコメーターを配置するのはレースで見やすいからというのが当時の理由。ニンジャのタコメーターレイアウトにもその頃に根付いた文化が受け継がれている。
![KAWASAKI ZXR400[1994] vs Ninja400[2018]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img11-6.jpg)
ニンジャ(右)は指針式のタコメーターとデジタル表示のスピードメーターのほか、ギヤポジションインジケーターや時計、燃料計など表示は充実。一方、ZXR(左)は、スピードメーターを外して即サーキット仕様にできる当時標準の作り。レースに必要ない燃料計や時計などは一切なしだ。完全アナログ時代なので、トリップメーターもひとつだけ。
![KAWASAKI ZXR400[1994] vs Ninja400[2018]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img13-5.jpg)
ニンジャ(右)のFブレーキは片押し2ポットキャリパー+φ310mmセミフローティングディスクをシングルで装着。ZXR(左)は対向4ポットキャリパー+φ310mmディスクをダブルと豪華だ。
![KAWASAKI ZXR400[1994] vs Ninja400[2018]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img14-6.jpg)
セパレートのハンドルバーをニンジャ(右)はトップブリッジ上にマウントするが、ZXR(左)は下とレーシー。さらにZXRはプリロードやダンパー調整も可能式になっており実に贅沢だ。
![KAWASAKI ZXR400[1994] vs Ninja400[2018]](https://young-machine.com/wp-content/uploads/2019/02/img15-6.jpg)
ニンジャ(右)のタンク容量は14Lで、ZXRは16L。ともにダウントラフト吸気でタンク前方にエアクリーナーボックスを持つが、ZXR(左)の蛇腹ホースはラムエアではなくエンジン冷却用だ。
欧州仕様と日本仕様、今では馬力が逆転
ともに日本仕様と輸出仕様が存在するニンジャとZXR。ZXRの日本仕様は当時の馬力規制のために’92までは59ps、’93から最終型の’99まで53psとなっていた。一方、馬力規制も撤廃され世界統一基準時代の最新ニンジャは欧州仕様の45ps/10000rpmに対し、日本仕様の方が48ps/10000rpmと逆転することに。ちなみに最大トルクは3.9kg-m/8000rpmで同じだ。
主要諸元比較
車名 | Ninja400 | ZXR400 |
全長×全幅×全高(mm) | 1990×710×1120 | 1995×700×1080 |
軸距(mm) | 1370 | 1385 |
シート高(mm) | 785 | 760 |
車両重量(kg) | 170 | 186 |
エンジン型式 | 水冷並列2気筒DOHC4バルブ | 水冷並列4気筒DOHC4バルブ |
総排気量 (cc) | 399 | 398 |
内径×行程(mm) | 70×51.8 | 57×39 |
圧縮比 | 11.5 | 12.1 |
最高出力(ps/rpm) | 45/10000 | 65/13000 |
最大トルク(kgf・m/rpm) | 3.9/8000 | 3.7/12000 |
燃料タンク容量(L) | 14 | 15 |
キャスター角(度)/トレール量(mm) | 65.3°/92 | 66.5°/82 |
ブレーキ前 | 2ポット+φ310mm ディスク | 4ポット+φ310mm ディスク×2 |
ブレーキ後 | 1ポット+φ220mm ディスク | 2ポット+φ240mm ディスク |
タイヤサイズ前 | 110/70R17 | 120/60VR17 |
タイヤサイズ後 | 150/60R17 | 160/60VR17 |
車両本体価格 | 6195ユーロ | 1万2120マルク(6197ユーロ) |
※諸元はどちらも欧州仕様。ZXRの価格は当時価格となる。なお、車重は MOTORRAD誌測定によるものでカタログ値ではNinjaが168kg(装備重量)、ZXRが159kg(乾燥重量)となっている。またZXRの燃料タンク容量は公称値だと16Lで細かい仕向け地の違いか。
●取材・文:Ralf Schneider(MOTORRAD) ●まとめ:宮田 健一
※ヤングマシン2019年2月号掲載記事をベースに再構成
↓【中編〈インプレッション〉に続く】↓
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カワサキ ニンジャ400の価格情報

カワサキ ニンジャ400
※ 価格は全国平均値(税込)です。
新車 40台 | 価格種別 | 中古車 91台 |
---|---|---|
本体 71.19万円 価格帯 65~72.6万円 |
本体価格 |
本体 54.29万円 価格帯 34.99~74.8万円 |
諸費用 5.65万円 価格帯 6~7.89万円 |
諸費用 |
諸費用 1.39万円 価格帯 ―万円 |
乗り出し価格 76.85万円 価格帯 71~80.49万円 |
乗り出し価格 |
乗り出し価格 55.69万円 価格帯 45.8~74.73万円 |
カワサキ ZXR400の価格情報

カワサキ ZXR400
※ 価格は全国平均値(税込)です。
新車 0台 | 価格種別 | 中古車 3台 |
---|---|---|
本体 ―万円 価格帯 ―万円 |
本体価格 |
本体 76.66万円 価格帯 62.8~88万円 |
諸費用 ―万円 価格帯 ―万円 |
諸費用 |
諸費用 10.37万円 価格帯 3.98~13.56万円 |
乗り出し価格 ―万円 価格帯 ―万円 |
乗り出し価格 |
乗り出し価格 87.03万円 価格帯 66.78~101.56万円 |