第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

600ccクラススーパースポーツ人気車対決

Ninja ZX-6R vs YZF-R6 一騎打ち〈前編〉【公道インプレ編/映像あり】

  • 2019/1/13

Ninja ZX-6R vs YZF-R6

’19でユーロ4対応とともにスタイルを一新するモデルチェンジを受けたカワサキNinja ZX-6R。600スーパースポーツの中にあってレースレギュレーションに縛られないプラス37ccの636ccを設定し、独自のポジションを築いてきたネオ600SSとも言えるこのバイクは、一体どんな実力があるのか。今回の比較対象は、あくまで600SSレース最強を目指すヤマハYZF-R6。まずは公道を走り比べてみた。

600SSの火は消さない! 装備充実で所有感も満足の両車

ホンダCBR600RRとスズキGSX-R600が見送っているユーロ4にもしっかり対応して”600SSの火は消さない!”との熱い思いが伝わってくるZX-6R&ヤマハYZF-R6。ともにDOHC4バルブの直4エンジンを頑強なアルミツインスパーフレームの車体に搭載。サスペンションにもグレードの高いものを使用する。電子制御面でも、6軸車体姿勢センサーのIMUこそ備えてはいないものの、パワーセレクトやトラクションコントロール、クイックシフターといった1000ccSSでおなじみの装備は完備。また、ヘッドライトも最新流行のLEDとなった。またこのほかにも、ヤマハYZF-R6は電子制御スロットルのYCC-Tを、ZX-6Rは国内仕様にETC2.0車載器を標準装備とするなど充実した内容で完成度は高い。なお、日本で販売される車両は、どちらもABS装着車となる。

KAWASAKI Ninja ZX-6R:レースに縛られないネオ600SS

KAWASAKI Ninja ZX-6R

【スタイリング】車体とエンジンを’13に登場した先代のものを踏襲しながらもデザインをNinjaシリーズとひと目で分かるものに一新。精悍さを増した。新しく採用されたツインLEDヘッドライトは左右それぞれにハイビーム、ロービーム、ポジションランプが装備されている。シート形状は見直され、前部を絞って足着き性向上を図るとともに、前後長を短くしてライダーがシートストッパーに身体を当てやすいようになっている。

【エンジン】DOHC4バルブの水冷並列4気筒636cc。ボア径67.0mmで、ストロークアップで+37ccを実現。ロングストロークには、トルクを出しやすい利点がある。アシスト&スリッパ—クラッチ内蔵。電子制御はパワーセレクトがF/Lの2段階。LはFから65%の出力に抑えられる。トラコンは3段階+オフ。モード1・2をある程度のスリップを許容しながら最大加速を優先する仕様とし、モード3を悪路など用に介入度最高とした設定となっている。

KAWASAKI Ninja ZX-6R

【KAWASAKI Ninja ZX-6R(日本仕様)】全長2025×全幅710×全高1100mm、軸距1400mm、シート高830mm、車重197kg、水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ636cc、最高出力126/13500ps/rpm)、最大トルク7.1/11000kg-m/rpm、燃料タンク17L、税込車両価格132万8400円

YAMAHA YZF-R6:あくまでレーサーらしく

YAMAHA YZF-R6

【スタイリング】ベースはネコ目ライトの先代モデル。これに’17で現行YZF-R1と同系イメージの新外装を装着したほか、R1と同型のフロントフォークやフロントブレーキで強化された。。R6ならではの意匠として、ヘッドライトの上に設けられたライン状のLEDポジションランプが猛禽類のような鋭い印象を与えている。

【エンジン】こちらも同じくDOHC4バルブの水冷並列4気筒。599cc。アシスト&スリッパ—クラッチ内蔵。電子制御はD-MODEと称し、A/STD/Bの3段階。STDを軸に、Aはよりシャープなレスポンスでスポーツ向け、Bは悪コンディション向けに穏やかなレスポンスとしている。電子制御スロットルでモーターがスロットルバルブのバタフライを開閉していることによる味付けが大きいのが特徴だ。トラコンは6段階+オフ。

YAMAHA YZF-R6

【YAMAHA YZF-R6(南ア/豪州仕様)】全長2040×全幅695×全高1150mm、軸距1375mm、シート高850mm、車重190kg、水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ599cc、最高出力118.4/14500ps/rpm)、最大トルク6.3/10500kg-m/rpm、燃料タンク17L、税込車両価格156万6000円

ZX-6R:この乗りやすさは最近のカワサキトレンドだ

【TESTER:丸山 浩】ご存じWITH MEプロフェッショナルレーシング会長にして本誌メインテスターの丸山浩。カワサキ2019モデルへの試乗としては、兄弟車のZX-10RRに続いて今回が2台目だ。

一時期リッタースポーツを追い落とすかのようだったのに、ここしばらくは元気がなくなっていた感じの600スーパースポーツ。だが、’17でM1風になったヤマハYZF-R6が、まだまだ頑張るぞと存在感を誇示。それに呼応するかのようにカワサキも’19でZX-6Rをモデルチェンジさせた。カワサキZX-6Rの面白いところは、600SSでありながらレースレギュレーションにこだわらない636ccに設定しているところ。これは’02から始まって途中休止はしたものの先代の’13から再び復活している。+37ccの狙いは、レースは599ccの専用版に任せて636ccにすることで、SSの楽しさをストリートも含めてより味わおうというところにある。一方、ヤマハYZF-R6は600レーサーそのままをサーキットでも街中でも味わってもらおうというコンセプト。その違いは跨った感じでも顕著だった。

カワサキZX-6Rは、クッション性の高いシートでサスも柔らかめ。足着き性も指の腹あたりとサイドスタンドをはらうのにも苦労しない。ハンドルバーは意外とタレ角や絞り角があってSSらしいが握りやすく、上半身はストリートでも扱いやすい軽い前傾姿勢となる。一方、ヤマハYZF-R6はデザインと同様にトンがった方向だ。がっつり前傾させるライポジで長時間の街中は厳しいが、いかにもレーサーといった気分にさせてくれる。このモデルになってから足着き性は改善されたが、やはりカワサキZX-6Rの方がフレンドリー。これは20mm高いシート高のためというより、エラが張ったシート幅の影響が大きい。ハングオフのしやすさを優先しているためだ。

そんな2台のオートバイだが、走り出すとポジション的に楽なカワサキZX-6Rはもちろん、ヤマハYZF-R6も意外と市街地をこなすのは驚き。ブレーキタッチはどちらもガツンと効くタイプではなく、低速域からでもコントロールしやすい。パワーの出方もスムーズだ。パワーモードは、ヤマハYZF-R6のA/STD/Bの3段階に対してカワサキZX-6RはF/Lの2段階。Fは文字通りFullパワーで、Lは最大65%に落としたLoパワーという設定。FもLもスロットルレスポンス的にはほとんど同じで、低中回転で走っている場合、違いは感じられない。だが高回転まで回していくと、しっかりパワーの違いが出てくる。Lは上でバサッとパワーを切り落とすのではなく上手に終息していくよう仕上げており丁寧だ。ヤマハYZF-R6はパワーに加えて明確なレスポンス差を出しているのが特徴だが、Aは機敏すぎ、Bは逆に鈍くさせすぎといった印象で、市街地に限らず公道では結局STDが一番しっくり来た。

Ninja ZX-6R vs YZF-R6

「高速道路で長距離ツーリングするなら前傾度がヤマハより緩いカワサキの方が疲れない。伏せたポジションがしっくり来るヤマハは、レーサー気分にひたって一気に短距離をトリップする楽しみ方のほうが似合っている」(丸山)

さて、高速道路でスロットルをガバっと開けるとヤマハYZF-R6は排気音が爽快なのだが途中でトルクに薄い部分があるのが分かってきた。カワサキZX-6Rはそこを+37ccでカバー。下から上までキレイに回ってトルク不足を感じさせない。カワサキと言えば、私は2018年9月に’19年型のZX-10RRにも乗った。そのとき驚いたのが、SBK4連覇のベース車なのに、高回転のみに頼らず低回転から使えて非常にフレンドリーだったこと。全体的な扱いやすさが最終的なタイムにつながるという設計思想によるものだった。この6Rについても、その片鱗がサーキットに着くまでに感じとれるのだ。そして実際にサーキットを走ってみるとその通り。これが今のカワサキのSSバイク作りのトレンドなのだろう。まぁサーキットの話は次回として、市街地&高速道路を普通に走る分にはほぼ互角の走行性能と言っていい。ただ、ライディングポジションの関係から長時間乗車が続くとカワサキZX-6Rが楽なのは確実。普段から気軽に乗る気にさせてくれた。

ZX-6Rの市街地走行インプレッションは映像で

●まとめ:宮田健一 ●撮影:山内潤也
※ヤングマシン2019年2月号掲載記事をベースに再構成

↓後編はこちら↓

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カサ

カサ いわゆる"Web担"的黒子

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研二くんのゼッツーに憧れるも手が届かずZ400GPで卒輪(そつりん)した"自二車は中型二輪に限る"世代。あれから30余年を経てまさか再び二輪の世界に触れることになろうとは人生何が起こるかわからんもんだ(笑)