
欧州ヤマハレーシングは、「R1(日本名:YZF-R1)」によるスーパーバイク世界選手権や世界耐久選手権などグローバルでのレース活動を続けることを宣言するとともに、2025年以降の『ユーロ5+』ホモロゲーションを鑑みて公道バージョンの販売を終了すると明らかにした。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:YAMAHA RACING
ジョナサン・レイを迎え、レーシングマシン開発プログラムは継続
欧州の一部メディアが英国ヤマハの関係者の証言として『ヤマハは欧州におけるR1(日本名:YZF-R1)の公道バージョンの販売を終了する』と報じたことを受け、欧州ヤマハレーシングは以下のように声明を発表した。
ヤマハはFIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)や世界耐久選手権(EWC)など、世界各国で開催されるプレミアプロダクションレースにおいてR1でレースをすることに全力で取り組み続けます。この取り組みは、ヤマハのフラッグシップスーパースポーツモデルでレース活動を続けるチームやユーザーへのサポートにも及びます。
“R1の生産は今後も継続され、WSBKとEWCの両方で世界タイトルを獲得してきた開発プログラムも継続する。R1は、競争力がありコスト効率の高いレースパッケージを確保したいチームや、レーストラックで腕を磨きたいユーザーにとって依然として人気のある選択肢です。このため、『ユーロ5+』ホモロゲーション要件を満たすという課題を考慮し、2025年以降はR6と同様にサーキット仕様のR1を発売する予定です。(※一部意訳)
YAMAHA RACING
つまり、欧州においては2025年以降、次期排出ガス規制であるユーロ5+に対応する公道バージョンのR1は市販しないということ。現在ラインナップされている「R6 RACE」と同じようにレースベース車の「R1 RACE」を発売するか、現在すでにラインナップされているキットパーツ組み込み車の「R1 GYTR」をアップデートして販売、あるいはその両方という形になるだろうか。
R1は、2023年のEWCでYART YAMAHAの手によりチャンピオンマシンになっているだけでなく、WSBKにおいても2021年にトプラック・ラズガットリオグルがチャンピオン獲得、さらに2024年シーズンはWSBKで6連覇の記録を持つジョナサン・レイがヤマハへ移籍してR1を走らせるなど、話題を提供し続けているスーパースポーツだ。世界的に1000ccのスーパースポーツがプレミアム&少数生産になっていく流れの中で、さらにターゲットを絞った販売形態をとることになる。
ただし、今回の話はあくまでも欧州に限った話であり、日本や北米、オセアニアといった市場でのR1の行方については未発表。日本ではユーロ5に相当する令和2年度排出ガス規制が施行されており、次期規制について今のところ目立った発表はない。また、北米では今もユーロ4以前の規制に相当する二輪車が継続販売されている。
2023年シーズンのEWCでチャンピオンを獲得したYART YAMAHA。
2024年シーズンからヤマハで戦うことになったジョナサン・レイ。写真は開幕前のフィリップアイランドテストのときのものだ。
欧州における事実上のフラッグシップスーパースポーツはR9になる?
ここで気になるのは、ヤマハがすでに商標登録を済ませている「YZF-R9(国内)」あるいは「R9(欧州)」の存在だ。888ccの並列3気筒エンジンをデルタボックススタイルのアルミフレームに搭載する、MT-09シリーズの新バリエーションモデルになることはほぼ確実で、トレーサー9GT+やXSR900、XSR900GPに続く兄弟車として2025年の発売が噂されている。
ヤングマシンがつかんでいる情報では、YZF-R6に匹敵するかなりの本気系になることや、ヤマハ初のウイングレット装備、さらには新世代のYZF-Rデザインを採用する可能性が高い。また、MT-09に対するSP、YZF-R1に対するR1Mのような、走りに特化した上級モデルも存在するのではとの説もある。
欧州におけるR1の販売終了が、はからずもR9登場の噂を後押しする形になった。続報が入り次第お伝えしていきたい。
【YZF-R9[IMAGE CG] 】“ヤマハの新世代デザイン”ということで、さすがに編集部では予測不能。CGはYZF-R1をベースにウイングを装着し、新型MT-09やXSR900GPが装備する超小型ヘッドライトを仕込んでみたが…。革新的なシンYZF-R系デザインに期待大!! ●予想登場時期:2024年秋 ●予想価格帯:150〜160万円前後(CG製作:SRD)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
新型スーパースポーツ「YZF-R9」の国内導入を2025年春以降に発表 欧州および北米ではすでに正式発表されている新型スーパースポーツモデル「YZF-R9」。日本国内にも2025年春以降に導入されると[…]
2ストエンジンの新時代を切り開いた名車 1980年代中頃、スズキのガンマ、ホンダのNSと、高性能レプリカが矢継ぎ早に出揃い、大ヒットを記録していた。 この潮流をみたヤマハはRZ250Rにカウルを装着し[…]
都市型イベント「My Yamaha Motorcycle Exhibition」開催へ ヤマハは、2025年9月20日に桜木町駅前(神奈川県横浜市)にて「My Yamaha Motorcycle Ex[…]
ケニー・ロバーツが駆るYZR500のフルレプリカ 400レプリカが隆盛を極める1984年、ヤマハから究極のレーサーレプリカが送り込まれた。当時最高峰のWGP500王者に輝いたYZR500のフルレプリカ[…]
最新の関連記事(レース)
全日本、そしてMotoGPライダーとの違いとは 前回は鈴鹿8耐のお話をしましたが、先日、鈴鹿サーキットで行われた鈴鹿サンデーロードレース第1戦に顔を出してきました。このレースは、鈴鹿8耐の参戦権を懸け[…]
昨年の最終戦から連勝を続けた水野涼 2025年の全日本ロードレース選手権がようやく4月19日・20日に栃木県・モビリティリゾートもてぎで開幕しました。4月9日・10日には、PRE-TEST “Roun[…]
7年のブランクを感じさせない”74歳”! “チームイワキ”や”K’s Garage”の名前で知られた岩城滉一さんが率いるチームは、昨シーズンから”51ガレージ”と名乗って、7年ぶりに活動を再開しました[…]
スタンドの重量はわずか2.5kg! 「チタニウムリヤスタンド TYPE-T11」は、ひとつひとつ職人が手作業で仕上げています。湾曲する部分はチタンパイプを溶接してつなぎ合わせて制作。細部にクラフトマン[…]
走り続けるため、戦い続けるためのエンジンカバーセット 「F.C.C./TSR エンジンカバーセット CBR1000RR-R(SC82)」は、世界耐久選手権(EWC)で戦い続けてきたTSRならではの製品[…]
人気記事ランキング(全体)
トレッドのグルーブ(溝)は、ウエットでタイヤと接地面の間の水幕を防ぐだけでなく、ドライでも路面追従性で柔軟性を高める大きな役割が! タイヤのトレッドにあるグルーブと呼ばれる溝は、雨が降ったウエット路面[…]
新型スーパースポーツ「YZF-R9」の国内導入を2025年春以降に発表 欧州および北米ではすでに正式発表されている新型スーパースポーツモデル「YZF-R9」。日本国内にも2025年春以降に導入されると[…]
実は大型二輪の408cc! 初代はコンチハンのみで37馬力 ご存じ初代モデルは全車408ccのために発売翌年に導入された中型免許では乗車不可。そのため’90年代前半頃まで中古市場で398cc版の方が人[…]
北米にもあるイエローグラフィック! スズキ イエローマジックといえば、モトクロスやスーパークロスで長年にわたって活躍してきた競技用マシン「RMシリーズ」を思い浮かべる方も少なくないだろう。少なくとも一[…]
アルミだらけで個性が薄くなったスーパースポーツに、スチールパイプの逞しい懐かしさを耐久レーサーに重ねる…… ン? GSX-Rに1200? それにSSって?……濃いスズキファンなら知っているGS1200[…]
最新の投稿記事(全体)
公道モデルにも持ち込まれた「ホンダとヤマハの争い」 1980年代中頃、ホンダNS250Rはヒットしたが、ヤマハTZRの人気は爆発的で、SPレースがTZRのワンメイク状態になるほどだった。 しかしホンダ[…]
全日本、そしてMotoGPライダーとの違いとは 前回は鈴鹿8耐のお話をしましたが、先日、鈴鹿サーキットで行われた鈴鹿サンデーロードレース第1戦に顔を出してきました。このレースは、鈴鹿8耐の参戦権を懸け[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」、今回は大ヒット街道まっしぐら、女性人気も高いホンダ「レブル250(S[…]
どの製品を選択するべきかで大いに悩む 少し前に当サイトでお伝えした通り、最近の僕はツーリングで重宝する積載系アイテムとして、タナックスがMOTOFIZZブランドとして販売する、ミニフィールドシートバッ[…]
長島哲太×ダンロップ×CBR1000RR-R、2年目の戦いへ 2025年の全日本ロードレースの第1戦が4月20日にモビリティリゾートもてぎで幕を開けた。 ダンロップタイヤを3年計画でチャンピオンの座に[…]
- 1
- 2