
●文:根本健(ライドハイ編集部)
一般公道は乗りやすさ最優先、そのコンセプトを後方排気でピュアレーシーへ
ヤマハは、1980年にレーサーレプリカ時代の幕開けともいうべきRZ250を発売。一躍250ccをビッグバイクを凌ぐパフォーマンスマシンへ押し上げ、多くのファンの心を掴んだ。
その人気を支えていたひとつが乗りやすさ。一般公道では前輪がやや遅れて追従する、そんなバランスのハンドリングが誰にとっても安心ベースで、この一貫したつくり込みに対し、いつしか「ヤマハハンドリング」と謳われるようになっていたのだ。
それは続くRZ250Rでも踏襲され、さらに初のフルカウルTZR250では、なんと250ccクラスのハンドリングではなく、より大きなYZR500のレプリカがコンセプトに。当時の500cc世界GPでも、クイックなハンドリングより人間の感性に馴染みやすい穏やかさが大事という結論へ辿りついた開発陣が、自ら一般公道向けのスーパースポーツ開発に乗り出し、まさにそのままをカタチにしていた。
そんなヤマハのコンセプトに感銘したユーザーも多く、TZR250は大ヒット作となったが、ライバルのホンダ、そしてスズキも2ストレプリカの開発に心血を注いでいた。そのライバルたちは、より250ccレーシングマシンに近い、クイックで鋭いハンドリングで対抗してきた。
この流れに逆らえなくなってきたヤマハは、ついに1989年に世界GPも闘える250cc市販レーサー・TZ250との同時開発へと舵を切ったのだ。YZRワークスマシンからのフィードバックを注ぎ込んだTZレーサー、その頂点テクノロジーを反映させたなんと後方排気をそのまま採用するという大英断だった。
後方排気は公道仕様で超ハイテク2ストに!
同時開発ということで、前方を向いたキャブレターへの吸気はダクトを介したり、ミッションもエンジンを分解せずに変速比が変えられるカセット式とするなど、レーシングマシンそのままは、従来の公道走行を前提としたスポーツバイクにはなかったさまざまなテクノロジーで構成されていた……
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