[バイクのメカニズムQ&A] サスペンションの減衰に、伸び側と圧側があるのはなぜ?

サスペンションの減衰

●ライドハイ編集部(根本健) ●写真:藤原らんか

路面追従性を良くするために、フワつかないよう押さえる減衰性能は必要不可欠

サスペンションとは、装着されているスプリングが路面からの衝撃を吸収する、つまり“乗り心地を快適にするための装置”というのが、基本機能なのはご存じの通り。

しかし、スポーツバイクのように、バンクしてコーナリングを楽しむなどの操る面白さを求めると、この乗り心地が最優先ではなくなってくる。そして、このサスペンション機能を左右するのが、“ダンパー”とも呼ばれる「減衰力装置」。

それでは、なぜ減衰力が必要になるのか、順を追って説明しよう。

まず、路面からの突き上げでサスペンションのスプリングが縮んで(たわんで)、その衝撃を吸収する。次に、縮んだスプリングは、伸びて元に戻ろうとする。ところが、スプリングはこの縮んだ後に伸びる動きだけでなく、また縮もうとする動きを伴う性質があるのだ。

たとえば、柔らかいベッドの上で勢いよく飛び跳ねると、中のコイルスプリングの反発で何度か跳ね返る、あの動きと同じ理屈。

この何度か伸び縮みを繰り返す動きは、安定性を妨げるのでなんとか抑え込みたい、ということで開発されたのが、筒の中に往復するピストンを入れ、オイルで密閉して設けた弁で動作にブレーキをかける、ダンパーと呼ばれる装置。

これが“伸び側減衰”。この仕組みのおかげで、サスペンションはフワフワと落ち着かない動きをせず、安定した走行が得られるようになっている。

そして、スポーツ性の高いバイクには、伸び側減衰の調整機構も装備されているのが一般的だ……

※本記事は2022年4月8日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。