
2021年から日本でも本格展開をスタートしたバイクウエアブランドのイクソン。まだ聞きなれない方もいるかもしれないが、MotoGPで中上貴晶が着ているレーシングスーツブランドと言うと、ピンとくる方も多いかもしれない。2023年からはMFJ公認・アジアンフィットのレーシングスーツの販売も開始。日本でもファンが増えているイクソンをより知るべく、CEOのティエリ・マニゲ氏にオンラインで話を伺った。
Thierry Maniguet(ティエリ・マニゲ)/1972年生まれ。イクソン 最高経営責任者。1996年にイクソンを創設し、現在では世界70カ国以上で愛される国際的なブランドに成長。プライベートではヤマハのWR250Rやテネレが愛車。ハスクバーナやドゥカティでレースにチャレンジしたこともある。
●文:ミリオーレ編集部(村田奈緒子) ●外部リンク:IXON Japan
ブランド立ち上げから14年後にはMotoGPへ参入
MotoGPでは中上貴晶やアレイシ・エスパルガロ、ブラット・ビンダー、ミゲル・オリベイラが着用しているイクソンのレーシングスーツ。MotoGPではスーツだけでなくチームウエアになっているチームも多く、ブランドのロゴとなっている『X』マークが印象に残っているファンも多いはずだ。
イクソンは、日本では2021年から販売を開始したフランスのブランド。まずはテキスタイルやブーツ、グローブなどを導入し、2023年からはレーシングスーツの取り扱いも開始。そんなイクソンをもっと知るために、社長のティエリ・マニゲ氏にオンラインでインタビューをお願いした。
──1996年にイクソンをスタートし、2010年にはMotoGPに参入していますね。そのスピード感に驚きますが、ブランド立ち上げ時からMotoGPは見据えていたのですか?
マニゲ氏「イクソンを始めたときから、『最高のライディングエクスペリエンスの提供を最優先に』という哲学がありました。一般的なライダーからのフィードバックももちろんですが、トップライダーから得た情報を基に開発することで、より革新とテクノロジーを享受できるプロダクトを作り出すことができるのです。
革新とテクノロジー、この2つが私たちの製品開発に対してのパッションを駆り立てています。世界最高峰のモーターサイクルレースを研究・開発の特別なフィールドとして活用し、私たちはレーサーのために生み出された革新とテクノロジーを一般のライダーのためのコレクションに活かしているのです」
──すべてのライダーのために……常に高みを目指したプロダクト開発を行なっているのですね。そもそもイクソンを立ち上げようと思ったのはきっかけがあったのですか?
マニゲ氏「幼い頃に実父が亡くなり、のちに母が再婚。そのパートナーがモトクロスをやっていたことが、私がバイクに乗るようになったきっかけです。
母とパートナーはそれぞれが起業していて、常にビジネスの話題を聞いて育ちました。だから自分は何を仕事にするのかと熟考してきたのですが、大好きなバイクとファッションを事業にしたいと思い至ったのです。両親の影響からか、最初から将来は起業することが前提でした。その情熱に火が灯ったのは、24歳の時。こうしてイクソンが生まれたのです」
MotoGPに参戦する唯一の日本人ライダー・中上貴晶は2021年からイクソンのレーシングギアを着用している。IXON INNOVATIVE RACING LABはMotoGPグランプリ日程のすべてに赴き、個々のライダーからの細かな調整や修理に対応している。 [写真タップで拡大]
MFJ公認アジアンフィット・レーシングスーツ「VENDETTA EVO A(ベンデッタ エボ エー)」が2023年より発売。サイズは M、L、XL、2XLの計4サイズ展開。カラーラインナップはBLACK/RED/WHITE(黒/赤/白)とBLACK/ANTHRACITE/BRIGHT YELLOW(黒/灰/黄)。各21万7800円。 [写真タップで拡大]
ブランド名に意味をもたせない、その理由とは?
──イクソンというブランド名の由来を教えてください?
マニゲ氏「イクソンという言葉に意味はないんですよ(笑)。立ち上げ時より、ワールドワイドなブランドにすることが目標でした。そのため世界中のあらゆる言語をリサーチしたんです。どの国でも特別な意味を持たない言葉であり、かつロゴや語感がよいことからイクソンと名付けました」
──プロダクトを開発するうえで大切にしていることは?
マニゲ氏「すべてのライダーを守ることが、何よりも最優先。しかしプロテクションやデザインなどがよくても、多くのライダーが手にすることができない高級品では意味がないと思っています。素材がよく、しっかりとしたテクノロジーが入っていて、それでいて誰もが手にすることができるリアルな価格、このバランスは重視しています。
だからこそ私たちはデザインや素材開発、縫製などすべての工程を自社工場でまかなっているのです。この一気通貫の体制はバイクウエアブランドとしては珍しく、私たちの強みでもあると考えています」
デザインはそのままに、アジアンフィットは型紙から調整
──ファッションの国、フランス発のブランドですが、アジアンフィットはどのようにアプローチしていますか?
マニゲ氏「メインマーケットはヨーロッパですが、先ほどもお話したように私たちはすべてのライダーにとって必要とされるブランドになりたいのです。
ヨーロッパとアジアでは手足の長さや腕の太さといった体形だけでなく、使用する環境や求められる仕様も大きく異なります。アジアのライダーにもヨーロッパデザインのアパレルを提供したいという想いがあるため、アジアンフィットは着丈や身幅、各プロテクターの位置などすべてのサイズとディテールを再検討し、型紙から作り直しています。
また湿度の高い環境も考慮し、透湿防水性能をより高くするなど、プロダクトによって素材も調整しています」
──日本のイクソンファンに一言お願いします!
マニゲ氏「テキスタイルだけでなく、MFJ公認・アジアンフィットのレーシングスーツの販売もスタートします。日本の方にも広く愛されるブランドになるべく、より商品開発に尽力していきます。ぜひ一度、イクソンのウエアを試してみてくださいね」
「イクソンのレーシングスーツはタイトだけれど、本当に動きやすい! レースのときはIXON INNOVATIVE RACING LABのスタッフが何度も微調整をして、ベストのスーツを用意してくれます」と、中上選手は以前語っていた。日本での展開が楽しみだ。 [写真タップで拡大]
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