
●記事提供:モーサイ編集部 ●まとめ:モーサイ編集部(阪本) ●写真:ヤマハ/八重洲出版
2ストレプリカの原点にして、TZRへの橋渡し役だったRZシリーズ
最後の2ストロードスポーツを作るという情熱が込められ、1980年に登場したRZ250。同車が「最後」と言われたのは、環境問題も絡めて今後は4ストロークエンジンが時代の主流になると予想されたからだが、それは21世紀を越えて間もなく、国産2ストロークモデルの多くが生産中止となったことが証明している。
だが、1980年からの10数年、ヤマハ以外の国内メーカーも追随して、最後の華としての2ストモデルの開発に精力を傾けることとなる。そうした中から、スズキはRG250Γ→RGV250Γ→RGV-Γ250を、ホンダはMVX250F→NS250R/F、NSR250Rと開発を進め、カワサキもKR250→KR250S→KR-1と2ストレプリカ路線にモデルを投入していった。
RZ250(1980年)
そしてRZで火を付けたヤマハも、よりレーサーのレプリカ的なモデルへとシフトしていった。RZ250に続き、1983年にはフルモデルチェンジでRZ250Rを発売。翌1984年にはさらにパワーアップして250cc自主規制値上限45ps(当時)のRZ250RRまで上り詰めた。しかし、従来の鋼管ダブルクレードルフレームとパラツイン(並列2気筒)の組み合わせではライバル各車に対抗できないと判断して、1985年にはTZR250を発売。
この間、ほぼ1年おきにニューモデルを投入していたヤマハは、アルミデルタボックスフレーム+新型クランクケースリードバルブのパラレルツインを採用したこのTZR以降も、1989年に後方排気型パラツインのTZR250、1991年にはVツインのTZR250Rと進化していった。
そうした流れの中、ボア・ストローク54mmスクエアのRZ250シリーズは、徐々に先鋭化していく2ストスポーツの流れから外れ、スタンダードなロードモデルの位置づけで存続することとなった。1986年以降はネイキッドスタイルのモデルに一本化され、マイナーチェンジを経て1988年に最終モデルを発売した後、徐々に市場からフェードアウトしていったのだ。
ヤマハ RZ250(4L3)1980年
市販レーサーTZと同じ54mmスクエアのボア・ストロークを持つ、新設計水冷パラレルツイン(並列2気筒)を、軽量かつ堅牢なダブルクレードルフレームに搭載の初代RZ。リヤのモノクロスサスペンションも市販ロードモデル初採用。スピード感を演出したデザインも含め、新たな時代の2ストロードスポーツを感じさせて高い人気を獲得した。
【主要諸元】
■エンジン 水冷2ストローク並列2気筒ピストンリードバルブ ボア×ストローク54×54mm 総排気量247cc 圧縮比6.2:1 燃料供給装置ミクニVM26 点火方式CDI 始動方式プライマリーキック
■性能 最高出力35ps/8500rpm 最大トルク3.0kg-m/8000rpm
■変速機 6段リターン式 変速比 1速2.571 2速1.777 3速1.318 4速1.083 5速0.961 6速0.888 一次減速比2.869 二次減速比2.562
■寸法・重量 全長2080 全幅740 全高1085 軸距1355 シート高790(各mm) キャスター26.5度 トレール101mm タイヤF3.00-18 R3.50-18 乾燥重量139kg
■容量 燃料タンク16.5L オイルタンク1.6L
■価格 35万4000円(1980年当時)
RZ250(1980年)ニューパールホワイト
RZ250(1980年)ニューヤマハブラック
ヤマハ RZ250(4L3)1982年
1981年の上級モデルRZ350の国内発売を経て、1982年にマイナーチェンジされたRZ250は、初代モデルからタンクラインとカラーリングを変更。RZ350と同様のタンク上下にわたるグラフィックを色違いで踏襲したが、性能諸元は初代から変更なし。また、同年チャピイレッドを基調とするカラーリングのRZ250YSP仕様も追加発売。同色のビキニカウルとアンダーカウルもオプションで用意された
RZ250(1982年)ホワイト
RZ250(1982年)ニューヤマハブラック
RZ250 YSP(1982年)チャピイレッド
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
キーロック付きタンクキャップ:スズキGT380(1972) バイクの燃料キャップは、そもそもは転倒時の漏れ防止の安全対策からキーロック式が採用されるようになったが、その最初は1972年のスズキGT38[…]
「令和4年改正道路交通法(マイナンバーカードと運転免許証の一体化・オンライン更新時講習)ポスター」から抜粋 免許情報が記載された「マイナ免許証」は便利に使える? 運転免許証とマイナンバーカードが一体化[…]
ベースはCB750Four!新時代のスポーツ車を目指した「ホンダマチック」搭載モデル 1970年代の半ば、今回の主役「ホンダ・エアラ」のベースとなったCB750Aの紹介記事で「アメリカ人はオートマ車し[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA] | 名車/旧車/絶版車)
スポーティ&ファッショナブルなブルー系が登場 ヤマハのスポーツ・ヘリテイジ(伝統・遺産)を標榜するXSRシリーズ。スーパースポーツやネイキッド」といった従来のカテゴリーを越え、レトロな外観やその背景の[…]
インパクト大なシリーズ初カラー 現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロに仕上げられた1台であるXSR900。3種のパワーモ[…]
カワサキ500SSマッハⅢに並ぶほどの動力性能 「ナナハンキラー」なる言葉を耳にしたことがありますか? 若い世代では「なんだそれ?」となるかもしれません。 1980年登場のヤマハRZ250/RZ350[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
2ストエンジンの新時代を切り開いた名車 1980年代中頃、スズキのガンマ、ホンダのNSと、高性能レプリカが矢継ぎ早に出揃い、大ヒットを記録していた。 この潮流をみたヤマハはRZ250Rにカウルを装着し[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
スポーティ&ファッショナブルなブルー系が登場 ヤマハのスポーツ・ヘリテイジ(伝統・遺産)を標榜するXSRシリーズ。スーパースポーツやネイキッド」といった従来のカテゴリーを越え、レトロな外観やその背景の[…]
250A1、350A7に続く最速チャレンジャー真打ち登場!! 1966年に250ccA1サムライで、先行していたホンダCB72、ヤマハYDS3、スズキT20の性能を上回り、次いでボアアップした338c[…]
2019年モデル概要:WのDNAを今に伝えるモデルが再始動 1966年当時、カワサキブランド初の大排気量4ストロークマシンとして登場したW1が背負った最速という使命は、今なお続くニンジャやZシリーズが[…]
オモチャの延長から生まれたミニ&レジャーバイク 自分がバイクに乗り始めた1970年代前半の日本は、ちょうど戦後の高度成長期が真っ盛りの頃。バイクが働く乗り物から楽しむ乗り物へと移り変わった時代で、そこ[…]
コロナ禍を経て戦線復帰 愛らしいスタイリングとスポーティーな走りで人気のレジャーバイク「モンキー125」は、2022年7月より一時受注を停止していた。というのも当時、コロナ禍によるロックダウンや世界的[…]
人気記事ランキング(全体)
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル 直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ[…]
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
最新の投稿記事(全体)
日本を含むアジア圏で人気のSUVスクーター 水冷4バルブのeSP+エンジンを搭載するアドベンチャー系SUVスクーター「ADV160」シリーズに新色が登場した。新たなカラーラインナップが発表されたのはマ[…]
エンジンはホーネットより低速寄り?! 152psを発生するスーパースポーツ譲りの直列4気筒+鋼管ダイヤモンドフレームというホーネットの基本構成を受け継ぐCB1000Fコンセプト。エンジンの詳細は不明だ[…]
上質な栃木レザーのハンドメイドキーケース このキーケースは、革職人が上質なレザーを用いてハンドメイドで製作。素材には、国産最高峰とされる栃木レザーが使用されており、使い込むほどに手に馴染み、美しい経年[…]
交換するだけで愛車がスポーツバイクにもツーリングバイクにもなる タイヤは、すごい。バイクのパーツで唯一路面に接しており、その接地面積は、たったクレジットカード1枚分と言われる。たったこれだけでバイクを[…]
2ストレプリカの原点にして、TZRへの橋渡し役だったRZシリーズ 最後の2ストロードスポーツを作るという情熱が込められ、1980年に登場したRZ250。同車が「最後」と言われたのは、環境問題も絡めて今[…]
- 1
- 2