「寒くてもバイクに乗りたい!」有効な寒さ対策や凍結路面の走り方って? 元白バイ警官の冬ツーリング術

「冬でもバイクに乗りたい!」という気合の入ったライダーにとって、毎年悩みの種となるのが、有効な寒さ対策と安全な走り方。そんな悩みに、元白バイ警官の宅島奈津子さんが自身の経験を元に答える。
●文:[クリエイターチャンネル] 宅島奈津子
寒い時期のツーリング
冬はライダーにとって、本当に過酷な季節です。急激に気温が下がったりしてきましたが、オートバイに乗られているみなさんは、どういった寒さ対策をしていますか。
とにかく着込む、重ね着するといった方も多いかと思いますが、最近はシートヒーター付きのオートバイも珍しくなくなってきました。「寒さに強いバイク」「冬に強いバイク」等と呼ばれるオートバイも出てきており、今後さらなる普及が期待されています。
こうした冬仕様のオートバイを所有していない限り、冬はなんらかの寒さ対策が必要になってきます。ただでさえ寒いのに、オートバイに乗車することで、気温以上の寒さを体感することになります。そのため、防寒対策は本当に重要です。
たくさん着込むは逆効果
私自身、生まれも育ちも九州で、大学卒業後18年間程、沖縄に居住していたこともあり、寒さには強くありません。南国のイメージが強い九州であっても、氷点下になることはあります。そんなとき、一般的によく言われる寒さ対策を私も参考にしていますが、これはオートバイに乗るときも効果的です。
そんな寒さ対策をいくつかご紹介いたします。身体の「3つの首」と言われる首、手首、足首を温めることで防寒効果があることはよく知られていますね。「3つの首」を温めることで、主要な動脈が温められ、血流がよくなり全身で温かさを感じられる、というわけです。
たくさん着込む、重ね着する、というのも効果的な防寒対策ではありますが、そうすることでかえって体を冷やすことにもなりかねません。1日中外にいるわけではないので、屋内に入ることも頭においておきましょう。
中に着込みすぎると、屋内に入ったときに汗をかいたり、暑さで苦しくなったりします。汗は気化熱となるため、水分や塩分が体外へ流出し、体を冷やすことになってしまいます。こうなっては、せっかくの寒さ対策も台なしですね。
ではどうしたらいいのかといえば、ライダースジャケットの活用が有効です。当たり前といえば当たり前ですが、ジャケットであれば、簡単に着脱も可能ですし、防風性の高い冬用ジャケットが、今はよりどりみどりですからね。白バイ隊員も青い制服以外に、寒さ対策用に黒色の革のジャケットが用意されていたりします。
筆者が白バイ警官だった10年以上前と比べれば、電熱ウェアもどんどん充実しています。防風性の高いジャケットに、自ら発熱してくれる電熱ウェアを取り入れれば鬼に金棒です。私も現役時代にほしかったですね。
寒い日の運転5つのポイント
冬のオートバイで防寒対策が大切なのは、寒さから身を守るためだけでなく、事故防止という面もあります。寒くなると体が冷えて、手足が思うように動かなくなったり、筋肉がかたくなったりして、手元、足元の操作ミスを起こしてしまう可能性が出てくるからです。また、寒さによって脳への血流が低下し、集中力が鈍って、判断力まで落ちてしまうことすらあります。
寒さ対策をじゅうぶんに行っているからといって、安心してはいけません。路面の状況にも、配慮する必要があります。路面凍結している場合は自動車でさえ、スリップのおそれがあるのに、2輪しかないオートバイの危険性は言うまでもありません。転倒のリスクが高いうえに、もし転倒した場合は、怪我だって負いかねません。
それでも路面凍結の可能性があっても、バイク便や新聞配達等、オートバイに乗らなければならないときもありますよね。そんなときは、下記のポイントを意識してみて下さい。
- タイヤのグリップが保ちにくくなるので、車体をふだんよりも傾けないようにする
- 急発進、急ブレーキ、急ハンドルは絶対にしない
- フロントブレーキはできる限り使わず、リアブレーキで制動できるぐらいの低速で走行する
- 明らかに凍結しているところでは、降りてから押して歩く
これらを守れば、多少は事故の危険性を抑えることができます。冬ならではの、冬にしか味わえないツーリングの魅力もありますが、ムリは絶対に禁物ですよ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(宅島奈津子)
オートバイのメンテナンスは大切 オートバイや乗用車に限らず、どんな乗り物でもメンテナンスは必要不可欠です。定期的にメンテナンスを行うことで、長く乗り続けることができるだけでなく、事故を防ぐことにもつな[…]
基本的なライディングフォーム バイクファンであれば一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、時に白バイ隊員は公道を走るスペシャリスト集団とも言われています。ですが、走行中はライディングフォームを意識す[…]
みなさんは、トライクという乗り物をご存知でしょうか。ライダーであればほとんどの方が、目にしたことがあるかと思います。なかには乗ったことがある方も、いらっしゃることでしょう。 このトライク、語源はトライ[…]
交通取締りが行われている場所 安全運転を心がけていても、パトカーや白バイの姿を目にすると、必要以上にドキッとしたり、速度メーターを確認したりするといった経験がある、ドライバーやライダーは少なくないので[…]
ヘルメット着脱の煩わしさ みなさんはバイクに乗る際、どんな種類のヘルメットを着用していますか。ヘルメットと一言で言ってもいろんなタイプのヘルメットがあり、着脱の手間や煩わしさも大きく変わってきます。わ[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
原付の排気量区分は? 原付には、50ccまでの原付一種と51ccから124ccまでの原付二種があり、一般的に原付と言うと50ccまでを指すことがほとんど。今回の記事でも特に表記がないがきり原付一種を原[…]
白バイ隊員の主な装備 オートバイが好きな方であれば一度は、白バイの装備や白バイ隊員の制服ってどうなっているんだろうって思ったことがあるのではないかと思います。私も警察官になる前は興味津々で、走っている[…]
空想をも現実化するリアルなライドフィーリング しげの秀一氏により1983年から1991年にかけて週刊少年マガジンで連載され、当時のオートバイブームの火付け役となった伝説の漫画「バリバリ伝説」。そこで描[…]
軽量ハイパワー400cc「DR-Z4S/DR-Z4SM」が最新装備で復活 スズキが新型デュアルパーパスモデル「DR-Z4S」と、スーパーモトモデル「DR-Z4SM」の日本導入を正式発表。2025年10[…]
人気記事ランキング(全体)
空冷エンジンのノウハウを結集【カワサキ GPz1100[ZX1100A]】 航空機技術から生まれたハーフカウルとレース譲りのユニトラックサスを装備。デジタルフューエルインジェクション効果を高めるために[…]
月内発売:SHOEI 「GT-Air 3 AGILITY」 優れた空力特性とインナーバイザーを兼ね備えたSHOEIのフルフェイスヘルメット「GT-Air3(ジーティーエア スリー)」に、新たなグラフィ[…]
背中が出にくい設計とストレッチ素材で快適性を確保 このインナーのポイントは、ハーフジップ/長めの着丈/背面ストレッチ素材」という3点だ。防風性能に特化した前面と、可動性を損なわない背面ストレッチにより[…]
「特殊ボルト」で困ったこと、ありませんか? 今回は「でかい六角穴のボルト」を特殊工具なしで外してみようというお話。 バイクを整備していると時々変なボルトに出会うことがあります。今回は古い原付オフロード[…]
点火トラブルって多いよね 昔から「良い混合気」「良い圧縮」「良い火花」の三大要素が調子の良いエンジンの条件として言われておりますが、それはそのまま調子が悪くなったバイクのチェック項目でもあります。その[…]
最新の投稿記事(全体)
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年6月に発売された[…]
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
軽さと剛性を両立する“TECCELL”構造を採用 TRV067の最大の特徴は、採用されている素材と構造にある。使用されているのは、ポリプロピレン樹脂を特殊な連続成形技術で成型したハニカム構造のコア材・[…]
Eクラッチと電子制御スロットルが初めて連携する750シリーズ ホンダが欧州2026年モデルの5車にEクラッチを新搭載。これまでにミドル4気筒の「CBR650R」「CB650R」、250cc単気筒の「レ[…]
マイノリティ好きにはたまらない2スト250で3気筒、走りに刺激はなかったけれど海外でもファンが少なくなかった! カワサキが世界進出の勝負球として、500ccで2ストローク3気筒のマッハIIIをリリース[…]
- 1
- 2
































