GB350のご先祖様! GB250クラブマンとホンダのロマンあふれるカフェレーサーGBシリーズ

●文:[クリエイターチャンネル] 88サイクルズ@てんちょー
ホンダの英国車風シリーズ「GB」
ミドルクラスで大人気のバイクのひとつといえば、ホンダのGB350だよね! じつは、このGBという名前、かつてのホンダ、英国風カフェレーサーシリーズから引き継がれているんです。
カフェレーサーというのは、バイクのカスタムスタイルのひとつ。1960年代、イギリス各地のカフェに夜な夜な集まっていたライダー達は、ジュークボックスにコインを入れて、一曲が終わるまでカスタムした自慢のバイクでカフェのまわりを走り回るという、超ワイルドなレースを行っていました。
そんな彼らのバイクは、当時のレーサーを模した、低く構えたハンドルやシングルシートといったスタイルにカスタムされていました。後に、このスタイルはカスタム界だけでなく、純正バイクのデザインにも少なからず影響を与えていくほどの、定番となっていきました。
ホンダのカフェレーサーGBの源流
さて、そんなホンダのカフェレーサーである、初代GBシリーズの源流となるのが、1980年に登場したライトウエイトスポーツのCB250RSです。このバイクは、1983年のモデルチェンジでCBX250RSとなり、SOHCからDOHCとなった新エンジンを搭載しました。
GB250クラブマンの登場
ちょうどこの頃、ホンダのエンジニア達からは「ベテランでも所有感と走りを楽しめるトラディショナルバイクが必要だ」という意見が出ていました。そこで、パフォーマンスのいいCBX250RSをベースに、1960年代英国風カフェレーサースタイルへ仕立てたのが、1983年登場のGB250クラブマンです。
車名の「クラブマン」はイギリスでアマチュアレースを総称する呼び方のひとつ。サンデーカフェレーサーなんてお洒落だぜ! 空冷4ストロークDOHC4バルブ249ccのエンジンは、CBX250RSと同様のハイメカ搭載のため、30ps/9500rpmというシャキッとしたパワーを実現しています。
ライディングスタイルは低くて絞りの少ない一文字ハンドルと、後ろ気味のステップによって、前傾寄りのライディングポジションを演出する等、雰囲気満点です! ノートン マンクスみたいなタンクが、渋いぜ~。
レーサーレプリカが盛り上がりを見せる時代に、突如登場したカフェレーサーは、そのスタイリングのお洒落さに加え、車両重量145kgという軽量な車体の扱いやすさ、そして元気のいい走りで、ベテランから若者まで幅広い層に受け入れられ、ロングヒットとなっていくのです! ライトウエイトスポーツを英国風カフェレーサーという形で、浸透させたのがGB250クラブマンだったんだね。
拡大するカフェレーサーの世界
1985年にはGB400/500TTがGBシリーズに加わります。
TTはツーリスト・トロフィー、そう、かのマン島ツーリスト・トロフィーというレースの名前がついています! ツーリスト・トロフィーといえば初期のホンダが世界に名を上げたレース。ホンダの英国車へのリスペクトが感じられるね。
こちらも、RFVC搭載の空冷単気筒エンジンを採用。やっぱり走りをちゃんと作り込む所に、この時のGBの方向性が現れているよね。GB400TTにはMkIIという、ロケットカウルにシングルシートを装備する、味わい深いモデルもありました!
1987年にGB250クラブマンは大幅なモデルチェンジを受けます。デュアルキャブレターから大口径のシングルキャブレターへ、マフラーも左右二本出しから右側一本出しへ変更。
単気筒エンジンの良さであるシンプル・軽量・コンパクトの原点に立ち返る方向性へ、シフトしたんだね。前モデルは、780mmだったシート高が755mmと25mmもダウンしていて、足つき性がさらに向上してるのがユーザーフレンドリーだね~。
この後は、1989年と1995年におもにスタイリングの変更がされた上で、1997年の最終型まで14年間もの間生産されました。
クラシックでお洒落なスタイリングに、走りの先進性をプラスしたホンダ流カフェレーサーが気になる人は要チェックなバイクだぜ!
88サイクルズ Youtube本店では、今回の記事で取り上げたGBシリーズをてんちょーが自由気ままに語り散らかした動画版「バイク小噺」を公開中です。Youtubeにも遊びに来てね!
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
最新の関連記事(てんちょー)
バイクという乗り物の大きな魅力のひとつが多種多様な構成のエンジンです。みなさんもエンジンが気になって調べたことがあるんじゃないでしょうか。そこでよく出てくるのが「空冷」や「水冷」というワードです。これ[…]
細身のジャケットにワイシャツとネクタイ…ブリティッシュトラッドなコーデって、パリッとした王道スタイルだよね! そういえばバイクでも英国風なトラディショナルバイク、ホンダGB350シリーズが、人気になっ[…]
BIGなCBとBIGな企画 ビッグマック! ビッグサンダー! ビッグカツ!! てんちょーもBIGになってバイクをもっと布教したい! そう、目標はホンダのBIG-1ぐらい大きくなきゃね。え、BIG-1っ[…]
1分でわかる記事ダイジェスト ハンターカブという通り名 ホンダのスーパーカブシリーズの一員「ハンターカブ」。オフロード性能を高めたアドベンチャーなカブで、アウトドアテイスト溢れている。その歴史と由来を[…]
「コスプレとバイク」本編 今回のバイク:Vストローム250とNIKEN Vストローム250はスズキの250㏄クラスのアドベンチャースタイルのバイクです。ガソリンが17L入るタンクやフロントのスクリーン[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
カワサキZ1系:1973~1978 1973 900super4 (Z1) 初期型となる’73年型。北米向けは橙×茶の「火の玉」のみだが、欧州仕様は黄×緑の通称 「イエローボール」も設定。長いリヤフェ[…]
FLHRロードキング[2002年式] ハーレーダビッドソンが1999年に満を持してリリースしたツインカムエンジン。従来(エボリューション)までのワンカム構造を改め、カムシャフトを2本配置。伝統のOHV[…]
Vmaxと同時期にアメリカンカルチャーから発想したマッチョスポーツ! 1985年、ヤマハがアメリカはカリフォルニアの現地でデザインしたVmaxは、アメリカならではのクルーザーやチョッパーのバイクカルチ[…]
ガレージで眠っているマシンを引っ張りだそう! 今後の展開も期待されるポテンシャルの高さが魅力 コンストラクターの手によるオリジナルフレームを用いたシングル&ツインレースが流行した1990年代、オーヴァ[…]
北米市場の要請を受け2スト専業から脱却 ’50年代中盤に4スト単気筒車を手がけたことはあるものの、’52年から2輪事業への参入を開始したスズキは、’70年代初頭までは、基本的に2スト専業メーカーだった[…]
人気記事ランキング(全体)
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
昭和レトロの世界が広がる神奈川県『中古タイヤ市場 相模原店』 昭和の夏休みって、どんなでしたっけ? 朝はラジオ体操に行って、午前10時頃からは仮面ライダーやウルトラマンの再放送。昼は学校や地域のプール[…]
2025年6月16日に83歳になったアゴスティーニのスペシャル仕様 MVアグスタは欧州で、同ブランドが2025年で創立80周年を迎えるとともに、Agoことジャコモ・アゴスティーニ氏が83歳の誕生日を迎[…]
ガレージで眠っているマシンを引っ張りだそう! 今後の展開も期待されるポテンシャルの高さが魅力 コンストラクターの手によるオリジナルフレームを用いたシングル&ツインレースが流行した1990年代、オーヴァ[…]
初心者からベテランまで、老若男女だれもが一日中楽しめる オフロードバイクさえあれば、初心者だろうとベテランだろうと、老若男女だれもが一日中楽しめるフリーライドイベントとして企画されたのがエンジョイライ[…]
最新の投稿記事(全体)
冷たさが最大16時間続く、ピーコックの持ち運べる氷のう 炎天下の休憩で火照った体を一気にクールダウンさせたい。そんな時におすすめしたいのがピーコックの「アイスパックシリーズ」だ。 アイスパックは、創業[…]
初心者向けの溶接機は? 「初心者ですが、溶接機は何を買えばいいでしょうか?」そんな質問をいただくことが、最近増えています。折れたステーの修理から始まり、フレーム補強やスイングアーム自作、極めつけがフレ[…]
8月上旬発売:Kabuto「AEROBLADE-6 ADACT」 軽量コンパクトなフルフェイスヘルメットで、99%の紫外線と74%赤外線を軽減する「UV&IRカットシールド」を装備する。これによってヘ[…]
カワサキZ1系:1973~1978 1973 900super4 (Z1) 初期型となる’73年型。北米向けは橙×茶の「火の玉」のみだが、欧州仕様は黄×緑の通称 「イエローボール」も設定。長いリヤフェ[…]
FLHRロードキング[2002年式] ハーレーダビッドソンが1999年に満を持してリリースしたツインカムエンジン。従来(エボリューション)までのワンカム構造を改め、カムシャフトを2本配置。伝統のOHV[…]