歴代アウトドア系カブで振り返るホンダ CT125ハンターカブの由来と魅力【実は57年ぶりの登場だった!?】

  • [CREATOR POST]てんちょー

ハンターカブという通り名

赤い彗星に青い巨星、そんで黒い三連星! 伝説には通り名がつきものだよね!バイクにも変わった通り名っていろいろあるけど、ある意味驚きなのが「ハンターカブ」だね。

CT125・ハンターカブは、ホンダのスーパーカブシリーズの一員で、オフロード性能を高めたアドベンチャーなカブだね! 見た目にもアウトドアテイスト溢れていて、気になってる人も多いんじゃないかな? 今回は、ハンターカブの辿ってきた歴史とともに、なぜ通り名なのかを探っていこう!

趣味の乗り物として生まれたハンターカブ

そもそもの初代スーパーカブC100は、1958年登場。昭和33年、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」で描かれた、高度経済成長期に発売されて、大人気車になります!

翌1959年にC100は、アメリカにも「HONDA50」の名前で登場します。現地法人「アメリカホンダ」も設立され、本格的にアメリカ市場へ挑戦を試みましたが、アメリカは今も昔も車社会。日常の足としての小型バイクの需要は少なく、苦戦をしいられました。

そこでアメリカホンダが目をつけたのは、釣りや狩猟など用品を扱うアウトドアスポーツショップへの売り込み。アメリカの人たちに合わせた小型バイクの打ち出し方を模索しました。

そんな中、流れを変えたのは、西部のあるディーラーでした。現地の険しい山脈を走破できる、トレイル仕様に改造したHONDA50の販売を始めたところ、これがオフロード初心者でも扱いやすいということで、大ヒット!

その反響にヒントを得たアメリカホンダは、1961年に同様の仕様としたC100T、CA100T TRAIL50というモデルを発売します。翌1962年には、54㏄のエンジンを搭載したC105T TRAIL55に、モデルチェンジ。リアブレーキが右のペダルでも、ハンドルの左レバーでも操作できるという、便利な仕様になります。

1963年にはCA105T TRAIL55へ進化して、大小ダブルスプロケット仕様でチェーンをかけ替えることで、普段使いにも対応、特徴的なヒートガード付きのアップマフラーも備えていました。この段階ですでに、ハンターカブの特徴的なスタイルがほとんど完成しているってワケだね。

さて、同じころの日本。1961年の全日本自動車ショーで、狩猟用のカブとして、ハンター・カブが展示されます。この後、1961年末に1962年型として、54㏄のC105Hハンターカブ55が、1963年には、エンジンが49㏄となった、ハンターカブC100Hが登場しました。

この二つのモデルは当初、レッグシールドがついていたんだけど、そのスタイルが不人気だったので、CA105Tのようなレッグシールドを取り外したスタイリングで、再登場したという経緯があります。

CTシリーズの誕生

ここから基本、海外向けとして本格的に、こうしたスタイルのオフロードカブシリーズが、登場していきます。まず、1964年に登場したのがCT200 TRAIL90です。

前年登場の新型87㏄エンジンを搭載した、自動遠心クラッチ4速、ダブルスプロケット仕様。フロントのアップフェンダーに可倒式ステップ、エンジンガードを兼ねたアンダーボーンフレームを追加するなど、よりヘビーデューティー具合に磨きをかけた初代CTです!

CT200は1966年に、CT90 TRAIL90にモデルチェンジした際、エンジンをOHC化し、排気量を86.7㏄から89.5㏄へスープアップしました。翌1967年にはダブルスプロケットの代わりに、レバー操作でハイとローを切り替えられる、副変速機という便利機が搭載されました。スプロケットにチェーンをかけ替えなくてもいいなんて、革命的だぜ!

この後、CT90は1969年のモデルチェンジで、フロントフォークがボトムリンク式からテレスコピック式に、アップデートされます。このときキャブレターの向きが変更され、ハイマウントされた車体サイドから、吸気するという浸水対策まで考えられた仕様になります。

日本でも販売されたCTシリーズ

日本では1968年に唯一の原付一種仕様のCT50が登場! 国内向け二輪車では初めての装備として副変速機「スーパートルク」を備えていて、3速ロータリーミッションをハイとローに切り替えて、走行可能でした。1980年には北米やオーストラリア市場向けに、CT110 TRAIL110が登場します。

ほぼ専用設計のエンジンとなり、105㏄という、カブ系最大排気量になりました。CT110が特に人気だったのは、オーストラリアとニュージーランドで、オーストラリアでは郵政公社に採用されたため、郵便配達のバイクとしても活躍したくらい。オーストラリアの郵便屋さんもカブに乗ってるなんて、親近感湧くね。

CT110は、1981年に国内でも発売されました。残念ながら、2年しか売っていなかったレア車です。しかし絶版になった後の1990年代に、じわじわ人気が上昇。アメリカ向けのCT110は1986年まで、オーストラリア郵政向けは2012年まで生産されていました。そのため、逆輸入車として手に入ったからか、愛好家が増えていくという面白い状況に!

新世代アウトドア系カブの誕生

2012年にCT110がついに生産終了となり、入れ替わるようにJA10のスーパーカブをベースにした、オーストラリア郵政向けの車両が、登場します。そして、2013年に登場するのが、そのオーストラリア郵政仕様をベースにストリート向けの仕様とした、クロスカブでした。

ハンターカブではないけれど、かつてのCTのようなアウトドアテイストを纏ったカブです。クロスカブは、2018年のモデルチェンジでスタイリングを一新し、110㏄版に加え50㏄版も仲間に加わります。

さて、2代目のクロスカブが発表された、2017年の第45回東京モーターショーでは、スーパーカブC125、モンキー125がコンセプトモデルとして発表され、この2車は翌2018年モデルとして、発売されることになります。

ホンダの125㏄クラスが盛り上がるなか、2020年に満を持して登場したのがCT125・ハンターカブです! 北米ではTRAIL125という名前で登場しました。

ワイドなバーハンドルとレッグシールドのないスタイリングや、大型キャリアとハイマウントな吸気ダクトなど、一目見てCTシリーズだと分かるね!

開発は、日本のホンダとタイのホンダの共同で行われ、コンセプトは「自然を楽しむ、トレッキングCub」。CT110の全てを超えることが、目標とされました。2020年の初期モデルは、空冷4ストローク単気筒SOHC124㏄のエンジンを搭載しており、8.8ps/7000rpmという出力でした。ミッションは、停止時のみニュートラルに入るという、お馴染みのロータリー式です。

2022年末登場の2023年モデルからは、ロングストロークになった123㏄エンジンを搭載しており、9.1 ps/6250rpmと、出力特性も変更。合わせてダウンチューブ風のガードパイプに、補強のバーが追加されたり、新エンジンに合わせた外装のデザイン変更などが、施されました。

ハンターカブにドラマあり

さて、ここまで来てお気づきの方もいるんじゃないでしょうか。CT125という名前はCT110以来のCTシリーズ名だとしても、ハンターカブという名前は…あれ? CTシリーズって正式名称に「ハンターカブ」って名前がついている車両って1台も無いんじゃ?

そうなんです。実は世界中で「ハンターカブ」と名前が付いているのは、日本で登場した1962年のC105Hハンターカブ55と、1963年のハンターカブC100Hのみなんです!

通称である「ハンターカブ」という呼び名で、このスタイリングをみんなが共有出来ている状態って、凄いよね。それだけハンターカブというスタイルが、ユーザーに与えた衝撃は、大きかったんだね。

つまりCT125・ハンターカブは、1963年以来57年ぶりに「ハンターカブ」という名称が、正式に復活したモデルということになります! こう見ると、ドラマチックなバイクだね~

今日に続く、バーハンドルにアップマフラー、取り外されたレッグシールドに大型キャリアという、独特のスタイルもカッコいい。「カブでアウトドアを、楽しみたい!」「自然と触れ合う、トレッキングバイクを探している!」って人は、要チェックなバイクだぜ!

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