レーサーレプリカってなに? スーパースポーツとちょっと違うスポーツバイク達を解説!【バイクQ&A】

●文:[クリエイターチャンネル] 88サイクルズ@てんちょー
1分でわかる記事ダイジェスト
レーサーレプリカとは、1980〜1990年代にかけて盛り上がっていたバイクレース用マシンの走行性能やスタイルに基づき、作られたバイクのこと。スーパースポーツとの違いは歴史を紐解くとわかりやすい。
レーサーレプリカブームの火種
ホンダVT250Fの登場を皮切りに、各メーカーでカウル付きのラインナップが増えていった。当初は、純粋なスポーツバイクではなく、ホンダのCBX400FインテグラやヤマハのXJ750Dといったスポーツツアラーがメイン。
そんな状況の中、レーサーレプリカの先駆けとして1983年に登場したのがスズキのRG250とGSX-Rだ。アンダーカウルとシングルシートはオプションだった。燃え上がるブームの中、ホンダはラインナップを仕切り直す。
ホンダが1984年に送り出したのが、2ストロークレーサーレプリカのNS250R。ちょうど、GPレーサーも、V型3気筒からV4型気筒へ世代交代したタイミングだった。前モデルのMVX250FはV型3気筒を搭載していたのに対し、NS250RはV2型気筒に切り替わった。
カワサキがTT-F1/F3にレーサーZXRシリーズで参戦開始したことで、レーサーレプリカとして、市販車のZXRシリーズが登場することになる。
歯止めの効かない性能競争へ
レプリカ路線を推し進めるヤマハは、1984年にGPレーサー「YZR500」と同時開発したレプリカRZV500Rを発表。原付クラスでもYSR、TZM、TZRなど、とにかくレプリカ路線の多様化に積極的だった。一方、ホンダからは1986年に、乗りやすさを削ってまで攻めまくった、NSR250Rが登場し、メーカー各社の性能競争が激化していった。
スーパースポーツの誕生
その後、バイクジャンルの多様化とともにレーサーレプリカは下火に。そうした中、スポーツバイクに新しい風を吹き込んだのが、1992年登場のホンダCBR900RRだった。大型バイクの常識を打ち破る、乾燥重量180kgという軽さで、400cc並みの軽快なハンドリングを実現。性能一辺倒ではない、操る楽しみを打ち出したこのバイクは、スーパースポーツという新しいジャンルを開拓することになる。
スポーツバイクの未来
スーパーバイク選手権のレギュレーション変更により、2003年には排気量が1000ccに統一され、2012年にmotoGPのレギュレーションも1000ccへ変更。最近では1000ccスーパースポーツの性能の先鋭化、高価格化が起こっている。
こういったレースを取り巻く環境が、いかにスポーツバイクに影響するのか、改めて1980年代のレーサーレプリカたちをチェックしてみると、スポーツバイクのこれからを考えるいいきっかけになるかもしれない。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
最新の関連記事(Q&A)
A:どちらも不具合。後ろはアフター、バックは戻ると覚えるべし 未燃焼ガスがシリンダー外で燃えるという意味では、どちらも同じ”不調”を表している。アフターファイアーはマフラー側に流れた未燃焼ガスが引火す[…]
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
A.慣れたコーナーには先が見えている安心感で、そこそこアベレージ高くコーナリングできる満足感を楽しめます。でも慣れているからこそ潜んでいるリスクも考えましょう。知らない道のほうが楽しいといえる走り方こ[…]
Q.ツーリングへ出かけるとバイクのすぐ前の路面ばかり見てしまいます。そのため先のほうの様子に気づくのが遅れ、カーブの手前で慌てます。「遠くを見ろ」とよく言われますが、先を見ていると手前の路面が心配にな[…]
人気記事ランキング(全体)
脇を冷やすことで全身を効率的にクールダウン 「THERMO-GEAR BELT」の最大の魅力は、なんといっても「冷暖対応デュアルペルチェ搭載」という点だ。一台で夏場の猛暑対策はもちろんのこと、冬場の厳[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
新作GSX-8T/8TTに足並みを揃えて2026年モデルに スズキ独自のクロスバランサーを採用した最新776cc並列2気筒エンジンを搭載するモデルのうち、フルカウルスポーツとスポーツネイキッドとしてシ[…]
脇を冷やすことで全身を効率的にクールダウン 年々暑さが増している夏。冷感シャツやメッシュジャケットなど様々な冷却アイテムが普及して久しいが、半端な対策ではツーリングが快適とはいかなくなってきた。 そこ[…]
原付スクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があ[…]
最新の投稿記事(全体)
零戦と同じサムライ魂が成し遂げた「究極」の直4 時代を決定的に「それ以前」と「以降」に画してしまうエポックメイキングなモデルはいくつか存在する。中でもZ1は紛れもない革命児である。 量産車として世界初[…]
ある日チョークが折れてた エンジン始動でチョークを引っ張ったらいきなり「スポッ」と抜けた。何事かと思ったら・・・折れてたんですよ、チョークケーブルのアウターが。 アクセルやクラッチ、スロットルやチョー[…]
パフォーマンスマシン:レース環境から生まれた究極の操作性 ハイパフォーマンスを追求するのが、ハーレーの最新トレンド。優れた機能性とカスタムルックを高い次元で両立するアルミニウムビレット製のラジアルハン[…]
嬉しい、楽しい、大好きダックス! ちょっとHondaのバイクに詳しい人なら知っていることかもしれませんが、じつは「ダックス」のペットネームを持ったバイクがはじめて誕生したのは、半世紀以上も前の1969[…]
BSAにニッチな2ストロークマシンがあったとは…… BSAモーターサイクルは7月16日(日本時間同日19時過ぎ)にSNSを更新し、『We’re going back to the future on […]