【安定感抜群で高速道路もラクラクのオートマ リーニング・マルチ・ホイール】ヤマハ トリシティ300 2025モデル試乗レポート

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【安定感抜群で高速道路もラクラクのオートマ リーニング・マルチ・ホイール】ヤマハ トリシティ300 2025モデル試乗レポート

LMWとは、Leaning Multi Wheel(リーニング・マルチ・ホイール)の略。その意味は名前のとおりバイクと同じように“リーン(lean/傾斜)”して旋回する“多輪(Multi Wheel/3輪以上)”のモビリティのことをヤマハはLMWと呼んでいる。これまでにヤマハとしては、「トリシティ125」、「トリシティ155」、「ナイケンシリーズ」、「トリシティ300」の4つのLMWモデルをリリース。今回ピックアップするのはLMWシリーズ第4弾として2020年に登場し、今年新色の“ホワイトメタリック6”と“パステルダークグレー”が登場したトリシティ300だ。

●文:谷田貝 洋暁 ●写真:富樫 秀明 ●BRAND POST提供:YAMAHA [Y’S GEAR]

スタビリティの高いLMWシリーズの中でも特に安定感抜群のトリシティ300

左右2つの前輪が路面を捉えているからフロントからのスリップダウンの可能性がものすごく少ないトリシティ300。

前2輪という、車体構成を持つトリシティ300。そのLMW由来の特性はいくつもあるが、第1番目のメリットとして取り上げたいのは兎にも角にも路面状況の変化に強いということである。なにしろ前輪が左右に2つもあるのだから、そもそもとして路面を捉える接地面の面積が一般的なバイクの2倍。しかも、その接地面が左右に離れているわけだから、左右どちらかのタイヤが浮砂や濡れたマンホールなどスリップしやすい物の上を通過したとしても、もう片方のタイヤさえ路面にグリップしていればスリップダウン転倒を効果的に防ぐことができる。このため、トリシティ300をはじめとするLMWモデルとなら、滑りやすい雨の日はもちろん、浮ジャリや落ち葉が溜まっているような路面でも安心して走ることができるのだ。

“パラレログラムリンク”と呼ばれる、左右のフロントフォークを連結している平行なパーツ“がミソ。車体の傾きや路面からの突き上げに合わせて、この“パラレログラムリンク”の角度が変わって力をいなし、路面にタイヤを追従させ続ける。

LMW、第2のメリットは路面の凸凹などの外乱の受けにくさ。幹線道路の停止線周辺などは、舗装が車両の重みでうねっていたり、ひどいと轍のような大きく長い窪みができていることがある。フロントホイール径の小さなスクーターだと、そんな路面の凹凸にフロントタイヤを取られてバランスを崩しやすい。…のだが、LMWのトリシティ300ならそんな路面の凹凸も平気の平左。左右の車輪が連動して動くことで、うまく凹凸による突き上げをいなして安定して走り続けてくれる。

LMWなら、写真のような車道と歩道の堺にある段差を踏んだところで車輪が弾かれることが少なく、片輪ずつなんなく段差を乗り越えていく。LMWは物理的な走破性も高い。

第3のメリットは前後輪の荷重バランスのよさだ。重量物であるエンジンがスイングアームを兼ねるユニットスイングアームで後輪荷重が大きくなりがちなスクーター属は、そもそもフロント荷重が少なくなりやすい。一方、LMWは前輪やブレーキシステムといったパーツが2組あり、フロントフォークに至っては左右で4本もある。タイヤが左右二つになったことで接地圧は分散されるものの、フロント足まわりが重たいためフロント荷重が稼ぎやすいのだ。トリシティ300も前後分担荷重は50:50と、スーパースポーツ並みの配分となっており、スクーター属としては驚くほどスポーティなコーナリングが行える。

LMWは高速走行時に安定するだけでなく、横風といった外乱要素の影響を受けにくい。

第4のメリットは高速走行時の安定性の高さ。LMWのモデルは前述の通り外乱を受けにくいうえに、フロントタイヤという大きな回転物が2つもある。速度を上げればそのジャイロ効果でさらに横風や並走車両などからのタービュランスの影響を受けにくくなる。特に車重237kgの車重を持つトリシティ300はこの特性が顕著で、一般的なバイクではフラついてしまうような横風を受けたとしても車体はまっすぐ安定し続ける。

おかげで高速走行時の安定感が高いトリシティ300とならば長距離移動がとてもラク。クルーズコントロールシステムこそ搭載していないが、遠くへ走りに行くようなロングツーリングもトリシティ300は得意なのだ。

フロント荷重が高く、そもそも車重が237kgもあるので、パッセンジャーが乗ったところで荷重バランスが影響を受けにくい。しかもLMW由来の安定感で二人乗りがラクなのだ。

前輪荷重が多めでジャイロ効果も高いLMWは、パッセンジャーによる重さの変化に振り回されることが少ない。特にトリシティ300は、LMWシリーズの中でも特に二人乗りがしやすく、パッセンジャーを乗せてもほぼソロで運転しているのと同じ感覚でマシンを扱える。それにパッセンジャーシートも広くとても居住性が高くリラックスして乗っていられる。ライダーはもちろん、パートナーもラクに高速移動できるのがトリシティ300というわけだ。

2025年7月に新色の“ホワイトメタリック6(左)”と“パステルダークグレー(右)”が登場したトリシティ300。今回の試乗モデルは2023年登場の“マットベージュ”だ。

今回の試乗モデルであるトリシティ300“マットベージュ”。2023年モデルと2025年モデルはカラーリングだけで機能的な違いはない。

トリシティ300はLMWシリーズの中で唯一のスタンディングアシストを装備

左右のフロントフォークを繋いでいる銀色のパーツ(写真では隠れて見えないが上部にさらにもう一本ある)“パラレログラムリンク”とテレスコピックフォークの組み合わせがLMW技術の根幹となっている。

ステアリング操作時には、LMWアッカーマンジオメトリが左右の内輪差を補正。コーナリング時にステアリングが重くなるなんてことが起きない。それが他社の前2輪系バイクとは異なるところであり、LMWシリーズの特徴だ。

さて前2輪のLMWの特性がわかったところで、LMWシリーズの中でもトリシティ300しか搭載していないスタンディングアシストについて見ていくことにしよう。この機能は、停車時に車体のロール方向の動き、…つまりは左右にリーンする動きを固定するための機能。他メーカーの3輪モデルにも、フロントフォーク内のオイルの流動をロックするなど似たような機構を持つモデルもあるが、トリシティ300は“パラレログラムリンク”の動きを固定することで車体の傾きをロックしている。

“パラレログラムリンク”の上側に取り付けられている板状のパーツをブレーキキャリパーのようなパーツがロックし、“パラレログラムリンク”の動きを固定する。これがスタンディングアシスト機能の構造的な仕組み。なので、車体を垂直に立たせた状態でのロックはもちろん、やや傾いた状態でのロックも可能。

速度が10km/h以下、スロットル全閉といった諸条件を満たすと、メーター内のインジケーターが点灯。その状況で左スイッチボックスのスイッチを1回押すとスタンディングアシストが作動。またロック状態で2回スイッチを押したり、スロットルを開けて発進したりすると機能が解除される。

停止時にスタンディングアシスト機能を使うと、センタースタンドを使わなくても車体が直立。取り回しの際は、車体を支えることなく押し歩くことが可能になったり、信号待ちの停止時などに車体の重さを支える必要がなくなったりする。

スタンディングアシスト機能はイグニッションオフにしてもオフにならないため、車両の取り回し時などにも使える。

車両に跨り、車体を直立させた状態でスタンディングアシストを使えば、写真のようにステップボードに両足を乗せてしまうようなことも可能。信号待ちでの足つき時の補助としてスタンディングアシストが使えるのだ。

……こうなると気になるのが、“信号待ち時にスタンディングアシストを使って地面に足を付けることなく停止&発進ができたりするのか?”ということだろう。……だが、これがなかなかに難しい。というのもスタンディングアシストはサスペンションの動きまでロックする機能はないので、スタンディングアシストを使用したとしても若干の左右へのフラつきが起こる。このため停止時にはどうしても左右どちらかの足を出したくなる感じなのだ。

また発進に関しても、うまく車体が垂直を保った状態でスロットルオンできればスパッと足をつくことなく発進できるものの、少しでも傾いた状態でスロットルオンすると、スタンディングアシストが解除になった瞬間に傾いた方へフッと倒れ込むようなモーメントが発生するのでやはり足を出したくなる。

筆者は試乗の度にスタンディングアシストを使った“足を出さない停止&発進”に挑戦してきたが、成功率は50%という感じ。トライアルライダーのようなバランス感覚と操作技術を身につけると成功率が上がりそうな雰囲気だ。

トリシティ300のディテール

前2輪という特殊なスタイルのため、フロントマスクも一般的なスクーターとはボリューム感が異なる。スクリーンに調整機構はない。

速度、エンジン回転数、時計、燃料ゲージに加え、メーター下部にはマルチファンクションディスプレイをレイアウト。オド、トリップ×2、フューエルトリップメーター、エンジンオイルトリップメーター、Vベルト交換表示、Vベルトトリップメーター、瞬間燃費、平均燃費、トラクションコントロールシステム状況、気温、バッテリー電圧といった内容が表示可能だ。

全幅815mmと数値的な幅に関しては一般的なスクーターと変わらないが、前2輪という車体構造のため、駐輪スペースにはやや幅広さが必要になる。

スマートキーを採用しており、イグニッションON/OFF、シート下オープン、フューエルリッドオープンといった作業をキーレスで行える。画面左下のレバーはパーキングブレーキ。

フロアボードはステップスルー構造ではなく高めのセンタートンネルがあり、内部に燃料タンクやフレームが収まっている。

リヤはディスクブレーキだが、パーキングブレーキにはホイール内部のドラムブレーキを使用する。

45Lの容量を確保したシートしたトランクは、普段使いはもちろんツーリングでも便利。写真のアライヘルメット・TXストラーダ(サイズ:57-58)は横倒しにしてなんとかシートが閉められた。内部にはLEDライト付き。

シートヒンジ部にはヘルメットホルダーがあり、専用のワイヤーも付属している。

光源はヘッドライトまわり&ブレーキ&テールランプがLEDで、ウインカーと番号灯はバルブタイプ。リヤショックは5段階のプリロード調整機構付き。

水冷4スト単気筒SOHC4バルブの292ccエンジンはトラクションコントロールシステムを搭載しており、スロットルの開けすぎによるスリップダウンを抑制してくれる。

特徴的なのは左レバーで操作するユニファイドブレーキシステム(前後連動ブレーキ)。前2輪は制動時も驚異的な安定感を発揮するおかげで、巨人に掴まれたような強烈なブレーキングが可能。咄嗟の場合もトリシティ300なら止まれるのだ。

トリシティ300の足つき&取り回し

795mmのシート高はスクーター属としてはやや高め。また車体が幅広のため両足をつこうとすると踵が4、5cm浮く。ただしスタンディングアシストを使えば、片足で支えながらの停止&発進がものすごくラクになる。シートポジションは広めで、ソロでも2人乗りでもゆったり快適に乗ることができる。純正アクセサリーパーツには40mmほどシート高が下がるローダウンシート(3万5200円)もある。

237kgの車体はそれなりに重く、最小回転半径も3.2mと小回りが効くとは言えない。ただLMWのおかげで段差などが乗り越えやすく、スタンディングアシストを使って直立状態での取り回しも可能。

【トリシティ300】主要諸元■全長2250 全幅815 全高1470 軸距1595 シート高795(各mm) 車重237kg(装備)■水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 292cc 29ps/2750rpm 3.0kg-m/5750rpm 変速機形式CVTオートマチック 燃料タンク容量13L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70-14 R=140/70-14 ●価格:104万5000円

前2輪という車体構成のおかげで独特な存在感を放つトリシティ300。

【TESTER:谷田貝 洋暁】
『初心者向けバイク雑誌の編集長を経てフリーランス化したライターで二輪各媒体に寄稿したバイク試乗記事は1500稿を超えている。無理/無茶/無謀の3ない運動を信条としており、「読者はソコが知りたい!」をキラーワードに際どい企画をYM編集部に迫る。LMWの安定感には心底惚れており、チェーンを装着しての雪道走行をNIKENとトリシティ155で成功させた他、トリシティ125ではブロックタイヤに換装してのモトクロスコース走行もしたことがある。


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