ヤマハ125ccスクーター「アクシスZ/シグナス グリファス/NMAX」3台を比べてみたらまったく違った!!【比較その1:試乗インプレ編】
フロント2輪のトリシティまで含めれば、ヤマハの125ccスクーターは総勢5台を擁する大所帯。いったいどうしてこんなにラインナップされてるの? と、主力たる3機種をピックアップして比較してみたところ…出てくる出てくるその違い。単なる市街地のアシに留まらない、それぞれの目指すキャラクターがしっかり構築されていたのだッ!!
●文:谷田貝洋暁 ●写真:真弓悟史 ●BRAND POST提供:YAMAHA [Y’S GEAR]
あるのは嬉しいが、ナニがどう違うのか?!
コロナ禍の影響もあって、通勤通学の手段として125ccスクーターを選ぶ人が増えている。乗り換え時間や終電などの時間的制約がなく、移動もスピーディでタイパに優れる。しかもクルマや大型のバイクに比べると維持費も安い。原付二種なので公共の駐輪場なども利用しやすいetc…。とてもバランスの取れた乗り物として選ばれているのが、この125ccクラスのスクーターというわけだ。
それにこのクラスは免許取得のハードルが低いのもポイントのひとつ。125ccクラスのスクーターに乗るために必要な免許は普通自動二輪(小型AT限定)となるが、この免許はなんと最短2日で取得できてしまう教習所もあったりする。
ただラインナップも多く、いざ免許を取って購入する際にどれを選んでいいのか悩んでしまうのも125ccクラスのスクーターの特徴だったりする。ヤマハの公式ホームページを見れば、ジョグ125/アクシスZ/シグナス グリファス/NMAX(エヌマックス)の4台を揃え、前2輪のトリシティ125も加えれば5台もの125cc級スクーターの選択肢がある(2024年5月現在。実証実験で3ヶ月のリースを実施中の電動スクーター・E01を加えればなんと6台!!)。
多少の違いはあれど125ccのスクーターなんて、どれを選んだところで一緒でしょ…なんて思ってしまいがちだが、それは大間違い。僕自身も「乗ってみて違いがなかったらどう原稿を書き分けたらいいのか?」なんて、ちょっと心配しながら試乗に臨んだのだが、それはまったくの杞憂に終わった。
今回、アクシスZ/シグナス グリファス/NMAXの3台を試乗比較し、大きくキャラクターが違うことに驚かされたからだ。実際に乗ってみればどれもが「このモデルはこんなシチュエーションで使うと便利なんです!」なんて感じで、作り手の思いがしっかり伝わってくるとてもいいマシンに仕上がっていた。
3台のキャラの違いはフロントホイール径?!
結論から言ってしまうと、この3台のキャラクターの違いを外見から判断する要素はタイヤのホイール径、つまり車輪の大きさにその傾向が強く表れる。バイクや自転車に乗ったことがあれば、停止時にはふらふらしていた車体が進み出した瞬間に安定しだし、速度を上げるとさらに安定性が増す。直進安定性なんて言ったりするけど、これに大きく影響を与えるのがホイール径なのだ。
タイヤが回ることで、コマが回る時のような姿勢を安定させる効果が発生。この効果を“ジャイロ効果”というけど、タイヤ径が大きくなればなるほど、外径が大きく質量も増すのでジャイロ効果も強くなる。ホイール径が大きくなれば安定感の強い乗り味になり、逆に小さければそれだけ安定しにくくなるというわけ。
なんて書いてしまうと「じゃあ、ホイール径が大きい方がフラフラしなくていいじゃない?」なんて早合点されそうだが、タイヤ径が小さいことの利点があったりするのもバイクの面白いところ。今回紹介する3台はそんな特性をうまく使い分けているというわけだ。
【アクシスZ:インプレッション】通勤通学にもっとも使いやすい!!
今回の3台の中で「もっとも通勤通学などの実用性が高いのは?」と聞かれたら、まずはアクシスZをオススメしたい。第一に30万円を切る価格が魅力的。それにとにかく車体がコンパクト。バイクやスクーターを買う時に多くの人を悩ませるのが置き場所である。4輪駐車場の脇や、家と壁の間のデッドスペースといった狭い場所に置く場合もあるだろうが、車体が小さければそれだけ出し入れがしやすい。アクシスZの場合、自転車+αのスペースがあれば収納可能だ。
また車格が小さいということは、それだけ足着き性に関わるシート高も低くなるということ。アクシスZは今回試乗した3モデルの中でもっともシートが低く、実際に足着き性も一番いい。まぁ、そのぶん居住スペースもコンパクトでフットフロアも他の2台に比べるとやや狭くなるが、通勤通学と割り切ればこのあたりは致し方ないところ。
また実用面で考えると重要なのが、足を置くフロアボードの形状。アクシスZはフロアボードがフラットなことでビジネスバッグにコンビニ袋など、ちょっとした荷物をかけたり、置いたりすることが可能。通勤通学での利用を考えた場合、このあたりの使い勝手はぜひともこだわりたいところだ。
3台を乗り比べてみて分かったアクシスZの長所は、前後10インチの小径ホイール&車格の小ささからくる機動性の高さだ。小さく軽ければければ混雑した道も走りやすいし、駐輪場など狭い場所でも取り回ししやすくなるというわけだが、正直ここまで違いが出るとは思ってなかった。
とくに違いを感じるのは降りて押し引きするような場合。数値で言えばで最小回転半径1.9mで、他の2台に比べて0.1m小さいだけなのだが、少し傾けて取り回すとその差がさらに大きく感じられる。この特性は渋滞路など、混雑する道路環境でもとても役に立つ。
今回紹介する他の2台と比較したとき、仕様上の大きな違いとなるのはエンジンが空冷であることだろう。シグナス グリファスとNMAXは水冷4バルブのエンジンを採用しているのに対し、アクシスZは軽量ではあるもののややスペックの劣る空冷の2バルブ。実際、最高出力では他の2台が12ps/8000rpmであるのに対し、アクシスZは8.3ps/7000rpmとなっている。
ただ一緒に走ってみると、数値で感じるほどの差は感じなかった。他の2台に対しアクシスZが絶対的に遅くて最高速が伸びないなんてことはないのだ。たしかに信号待ちからのスタートでは若干遅れるものの、中間加速からトップスピードに関しては3台ほぼ横並びという感じ。車両重量100kgというアクシスZの軽さアドバンテージは、走行性能にもしっかり表れているようだ。
RIDING POSITION【AXIS Z】
【シグナス グリファス:インプレッション】日常に刺激が欲しいなら
実用性重視のアクシスZに対し、“もう少し遊び心が欲しい”ライダーにはシグナス グリファスがピッタリだ。フルフラットなフロアボード、28Lのシート下スペースといった通勤通学に便利な実用性をしっかり考慮しながらも、よりスポーティで遊び心を感じるデザインを採用。車格も前後10インチのアクシスZに対し、シグナス グリファスは前後12インチホイールとしたことで、ひとまわり大きく迫力もある。
デザインコンセプトは“Glaring Predator”で、ギラギラした捕食者というその意味どおり、見るからに速そうな雰囲気がある。シート高が785mmで、ヤマハの125スクーターの中ではもっとも高いことからも、スポーティーなキャラクターが垣間見える。
走り出してびっくりしたのは出足の良さだ。極低速からトルクが出ており、元気に路面を蹴り進む感覚がある。「でもこの手合いは低速域では力強くても、巡航走行での頭打ち感というか、あんまりトップスピードが伸びないんだよね」なんてスロットルを開けてみると、思いのほか伸びる高速性能に驚かされる。
秘密は水冷4バルブエンジンに搭載されたVVA。いわゆる可変バルブタイミング機構だ。これは低回転域と高回転域で吸気バルブのカム山を切り替える装置で、シグナス グリファスとNMAXの場合、だいたい5000~6000rpmあたりで作動するようで、メーターにはこのあたりの回転数を境にVVAのインジケーターが点灯。耳をそばだてていると「カチッ!」とカム山を切り替えるアクチュエーターが動く音も聞こえる。
そんなVVAの効能もあり、シグナス グリファスで走っているとついついスロットルを開けたくなるから不思議だ。ヤマハらしい“人機官能”を感じるというか、125ccスクーターという移動手段としてだけでなく、スロットルを開けて操る楽しさがシグナス グリファスにはある。
前後12インチホイールの車体も、このスポーティさに拍車をかける。大きめのホイールによる安定感は巡航時の安定感だけでなくコーナリング時の安心感も高く、減速と加速のメリハリを効かせたスポーティーなライディングが楽しめるのだ。
シグナス グリファスの素晴らしさは、これだけのスポーツ性を持ちながらも、実用性の高いフルフラットなフロアボードを採用していることだ。たしかにセンタートンネルを設けてバックボーンフレーム化し、車体剛性をさらに高めれば、もっともっとスポーティーな走りも可能になるだろう。だが、あえて車体剛性的には不利なアンダーボーンフレーム&フルフラットのフロアボードを採用していることを称賛したい。
RIDING POSITION【CYGNUS GRYPHUS】
【NMAX:インプレッション】マックス末弟は装備も充実!
オートマチック・スーパースポーツ「TMAX560(561cc)」を筆頭に「XMAX(249cc)」、「NMAX155(155cc)」、「NMAX(124cc)」の4モデルがラインナップするヤマハのスポーツスクーター“MAX”シリーズ。今回試乗したNMAXは排気量的にはシリーズ末弟に位置付けられており、兄貴分のNMAX155の車体にシグナス グリファスと同じ124ccの水冷エンジンを搭載している。
驚くのは125ccモデルとしては贅を尽くした装備面だろう。エンジンにシグナス グリファス同様にVVAを搭載するのはもちろんだが、さらに多くの先進機能を装備。キーを刺さずにスタート可能なスマートキー、信号待ちでエンジンを停止&スロットル操作で再び始動するアイドリングストップ、雨天など滑りやすい路面で後輪の空転を防ぐトラクションコントロールまで装備する。
ブレーキに関しても他の2台が前後連動ブレーキ(UBS)なのに対し、NMAXはABSを採用するなど、兄貴分であるNMAX155譲りの装備が満載。これでシグナス グリファスとほぼ同じ37万9500円を実現しているのだから、車体を共有し排気量違いのバリエーションモデルを低コストで作るプラットフォーム戦略の恩恵さまさまといったところか。
兄貴譲りの豪華装備もすごいが、車体もなかなか素晴らしい。なにせ兄貴分のNMAX155は、155ccエンジンを搭載した軽二輪クラス。つまり高速道路の走行(しかも二人乗り!)が可能だ。当然、その高負荷な状況に見合うだけの高剛性に車体が作り込まれている。他の“MAX”シリーズ同様、センタートンネルを備えた高剛性な車体構成は伊達ではないというわけだ。
NMAXで走り出して感じるのは、そんな兄貴分譲りの抜群の安定感だ。“MAX”シリーズというと目を吊り上げてコーナリングするスポーティーなイメージが強くはあるが、今回試乗した3台に限って言えば、スポーティーな走りで楽しいのはシグナス グリファスの方。NMAXはスポーティーな走りもできなくはないが、大柄な車格と高速巡航時の安定感にものを言わせたラグジュアリーなクルージングが一番ぴったりハマる。
今回の試乗にあたっては二人乗りのテストも行ってみたが、快適性や居住性に加え、二人乗り時の操縦安定性に関してもNMAXがダントツでいいのだ。125ccスクーターの二人乗り性能というと、どちらかというと緊急用という感じのモデルも存在する中、NMAXに関してはパッセンジャーの快適性に加え、ライダーも運転がしやすい。しかも低速域のトルクと高回転側の伸びを両立させるVVAのおかげで、125ccクラスでタンデムした際にありがちな非力さも感じない。
クラスを超えた豪華な装備といい、二人乗り時の安定感といい、通勤・通学というよりは休日のツーリングでの楽しさに重きを置いたかのようなNMAX。パートナーや家族と二人乗りする機会が少しでもあるなら、このNMAXをお勧めしたい。せっかくのツーリングに連れ出しても、後部座席の居住性が悪ければ、バイクに対する理解は絶対に深められないからだ。
RIDING POSITION【NMAX】
【3台比較・試乗編まとめ】見事にキャラが異なるぞ!
同じ125ccクラスのヤマハ製スクーター3台を乗り比べてきたが、それぞれを一言で表せば…
- 通勤ラッシュで早く目的地に着けるのは? と聞かれたら、混雑路で小回りの効く「アクシスZ」
- 通勤でも操る楽しさを見出したい。そんな“スポーツ性”を加味するなら「シグナス グリファス」
- アフター5のプチツーリングやパートナーとのお出かけを楽しみたいなら「NMAX」
…と、見事なまでに車種ごとのキャラクターが異なっていることが分かった。今回は3車の走行インプレッションを行ったが、次回はシート下スペースなどのユーティリティ面や、メーターなどの各部の比較を見ていくことにしよう。〈比較②(※近日公開)につづく〉
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