10年ぶりにSMT復活! KTM 890SMT海外試乗インプレッション〈ツアラーの名を冠したコーナリングマシン!〉

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KTMのSMTブランドが復活する! そんな噂を聞きつけてイタリアはサルディーニャ島で行われた国際試乗会に参加。現地で発表されたモデル”890SMT”は、890アドベンチャーをベースとした異色のツーリングモデルだった!?

●まとめ:ヤングマシン編集部(谷田貝洋暁) ●BRAND POST提供:KTM

【テスター:谷田貝洋暁】「読者はそこが知りたい!」というキラーワードを振りかざし編集部に無理を強いるライター。タンデムスタイル他、いくつかの編集長を歴任後、フリーランス化。

ベースは890アドベンチャーだが…?〈KTM 890SMT〉

新作の890SMTは、890アドベンチャー系のフレーム&スイングアーム、エンジンをそのまま使い、前後17インチホイール化。単なるアドベンチャーモデルをツーリング仕様にしただけかと思いきや、まったく違った! スライドコントロールに使用するIMU連動のトラクションコントロールシステム「スリップアジャスター(オプション)」もそのままSMTに引き継がれていたのだ。

【KTM 890SMT】主要諸元■軸距1502±15 シート高860(各mm) 車重194kg(燃料除く) ■水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ 889cc 105ps/8000rpm 10.2kg-m/6500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量15.8L ブレーキF=Wディスク R=ディスク タイヤサイズF=120/70ZR17R=180/55ZR17  ●価格:179万9000円 ●色:黒×白 ●発売予定:’23年8月 ※写真はオプション装着車

単にアドベンチャーをツアラー化したモデルではない!

何の事前情報もなく渡欧することになった今回の試乗会。乗ってみれば成分の99%は”SM(スーパーモト)”で、T(ツーリング)要素はオプションにパニアやクルーズコントロールがある程度。890SMTは純然たるスポーツバイクなのだ。試乗会では、右へ左へ折れ曲がるクネクネ道をかなりのペースで先導ライダーが引っ張るのだが、確かに目を吊り上げるような走りが楽しいマシンに仕上がっていた。

そんな試乗ペースに慣れてくると、このバイクの要点はサスペンションにあることが分かってきた。コーナーでフルブレーキングしてもストロークを使い切ることもなければ、脱出で全開加速しても不安がない。

通常ロードモデルのストロークは130mm以下。この中であらゆる路面に対応し、乗り心地を良くしようとするとどこかにほころびが出るものだ。

ところが890SMTのストロークは、アドベンチャー由来で前後とも180mmもある。この潤沢なストロークをすべて使って、乗り心地を犠牲にしていないのに峠をガンガンに攻め込めるという、”チートな(ズルイくらいによく出来た)脚”を作り上げたというわけだ。ストロークが大きいからこそ反力が急激に強まるようなこともなければ、少々ライディングが荒くても、急にタイヤのグリップが失われることもない。いつでもどこでもタイヤがどれだけ路面を捉えているかがよく分かる。

さらに890SMTには先がある。「テックパック」というオプションを選択すると、スリップアジャスターと呼ばれるリヤホイールのスピン具合を9段階に調整できる機能まで使えるようになるのだ。

エンジンも890アドベンチャーの889ccパラツインを転用しているが、このエンジンの選択理由もクランクマスが重めでバックトルクを使った進入スライドがしやすいから…らしいのだが、舗装路でテールスライドを試す度胸は僕にはない(笑)。せいぜい砂利の上でスリップアジャスターの作動を試した程度だが、僕レベルなら介入を高めてグリップ走行した方がよっぽど速い。

エンジンフィーリングは75度(=285度)クランクと重めのクランクマスがあいまったドロドロしたフィーリングだが、3つある走行モードの「スポーツ」を選べばガッツリレスポンスが高まり、対して「レイン」ではしっかりダルになる幅広さを持つ。それにしてもさすがKTM、アドベンチャーバイクをベースにしながら、よくここまでのコーナリングマシンを作り上げたものだ!

KTM 890SMT 概要

スタイリング

車体もエンジンも基本は890アドベンチャーベースだが、着座部からタンクにかけてはしっかりと絞り込まれている。ニーグリップがしやすく、リーンイン/ハングオンはもちろん、オフロード風のリーンアウトスタイルでも操りやすい。

ライディングポジション

シート高は860mm。890デューク系が820~834mmで、890アドベンチャー系が840/860~880mmであることを考えるとちょうど中間。車幅があり、両足を着こうとすると母指球は着くものの踵が5cmほど浮く。[身長172cm/体重75kg]

シャーシ

890SMTのフレーム。ステムの角度も890アドベンチャーと同じで、フロントアクスル位置によるトレール量を変更でバランスをとっている。

足まわり

前後17インチタイヤを装備し、タイヤはミシュランのパワーGPを履く。ストロークは前後とも180mmとロードモデルとしては多めだが、味付けは完全にロード向けのセッティング。

倒立フォークは伸/圧減衰力調整機構付きのφ43mmのオープンカートリッジタイプ。潤沢なストロークを100%ワインディングのために使っている印象で、旋回時の接地感が半端ない。

リヤショックは伸び側の減衰力調整機構に加え、手動ダイヤル式のプリロードアジャスターも装備。突き詰めたセッティングを行うKTM車両で、積載したり二人乗りするには必須の装備。

主要装備

フロントマスクは同社のアドベンチャー系と同じ雰囲気で、890アドベンチャーRのようにアップフェンダー仕様となっている。スクリーンは防風性よりスポーティ性優先といった感じ。

アドベンチャーとストリートモデルの中間キャラクターとのことでハンドル幅は広め。オフロード系のモデルによく見られる前後にハンドルポジションが変えられる機能もそのまま継承。

5インチTFTのフルカラーディスプレイ。モードはレイン/ストリート/スポーツに加えてオプションのトラックを用意。890SMTの能力をすべて引き出すにはこのトラックモードが必要だ。

トラックモード(オプションのテックパックが必要)では9段階にスライド量を調整できるスリップアジャスターが使用可に。リヤABSやウイリー/バックトルク制御などの電制オフも可能。

オプションとして、クルーズコントロールやクイックシフター、グリップヒーターなども装備可能。SMTのスーパーモト(SM)の部分ばかりが目立つが、ツーリング(T)要素も多少ある。

アドベンチャー同様、左右に覆い被さる形状の燃料タンクは15.8Lを確保。シュラウドにかけてのラインを絞ったことで、左右へ切り返すような場合にもバイクの上で動きやすい。

【KTM 890DUKE GP】ネイキッドモデルの890デュークシリーズには、890デュークGP(148万円)と890デュークR(159万円)がラインナップ。

【KTM 890DUKE ADVENTURE】アドベンチャーバイクの890アドベンチャー系には、スタンダード(179万9000円)とよりオフロード性能の高いR(182万9000円)がある。

国際試乗会での様子はコチラ


※本記事はKTMが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。