
ヤマハは、クロスプレーンコンセプトの並列3気筒を搭載するスポーツヘリテイジ「XSR900 ABS」にマイナーチェンジを施すとともに、受注期間2025年9月30日までの日本限定カラーを追加して4月14日に発売すると発表した。 ※記事末に動画あります
●文/写真:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ヤマハ
XSR900 GPの登場によりカジュアル寄りに回帰したXSR900
ヤマハは、クロスプレーンコンセプトの888cc並列3気筒を搭載するスポーツヘリテイジ「XSR900」をマイナーチェンジ。ライディングポジションまわりの見直しやメーター画面拡大&機能追加、電子制御の拡充などを施したほか、日本限定カラーの“アイボリー”を受注期間2025年9月30日までとして追加した。
日本限定カラーとして登場したセラミックアイボリー。
現行モデルのXSR900は、初代モデルに対し“レーシングヘリテイジ”を標ぼうすることで1980年代のレーシングマシンカラーをまとい、走りもスポーツ性を高めたものとしていたが、カウル&セパレートハンドル付きのXSR900 GPが登場したことにより、ややカジュアルな路線に回帰。マイナーチェンジ内容も快適性とデザイン性を向上する内容が多い。
主な変更点は、スマートフォンにインストールしたアプリと連携することでナビゲーション機能も使用可能な5インチ(従来型は3.5インチ)TFTディスプレイ、出力特性・各種電子デバイスの介入度を選択できる「YRC(ヤマハライドコントロール)」、機能追加されたウインカーなど走行を支援するテクノロジーの搭載、またXSR900 GPと同じフルアジャスタブルにグレードアップしたリヤサスペンションと最適化したフロントブレーキサスペンション、ライディングポジションまわりの見直しなど。
この新型の登場にともない、都内で発表会が行われ、カスタムイメージを膨らませるコンセプトマシン2台も公開された。
スマートフォンとつながる新TFTディスプレイ
従来はあえて小型の3.5インチTFTディスプレイを採用していたが、新型では利便性を向上するべく5インチTFTに大型化。表示モードはXSR900 GPと共通の4つだ。スマートフォンにヤマハ純正アプリ「Y-Connect」をインストールして車両とペアリングすることで、ディスプレイに電話の着信やメール受信、音楽、ボリューム操作、天気予報などの情報を表示可能になる。
スマートフォンにはオイル交換などメンテナンスのお知らせ、自車の最終駐車位置、車両エラー通知機能などを表示するほか、スマートフォンの画面を「ダッシュボード」としても利用でき、エンジン回転数/スロットル開度/加速度/エコ運転状況/瞬間燃費などの表示も可能だ。
バイクライフを記録する「ライディングログ」も搭載。1ライディングサイクル毎に、そのログがY-Connect内に自動生成され、移動した軌跡をマップ上に記録。その間の周辺情報も保存される。
さらに、専用アプリ「Garmin StreetCross」をインストールしたスマートフォンと車両をペアリングするとナビゲーション機能が利用可能になる。目的地セットをスマートフォン上で行えば、TFTディスプレイに表示される地図の拡大/縮小はハンドルスイッチで行うことも可能だ。
シート高は5mmアップしたが足着き性は向上
ライディングポジションまわりでは、まずハンドルバーが新形状のものになり、グリップ位置は10mm程度アップ/数mm手前に。シートはクッション厚を増すとともにウレタンを硬度を20%下げたことで乗車時の沈み込みを増したことにより、シート高は5mmアップしたものの足着き性は従来と同等あるいはむしろ良くなっているという。これには、シート自体の形状を見直したことによる脚の下ろしやすさや、ややソフトなセッティングになり初期の沈み込み量が増加した前後サスペンションも貢献している。
このほか、前後シートの段差を従来よりも少なくしたことで居住性を向上(タンデムシート高は20mm下げられている)。ステップラバーも変更され、グリップと快適性が向上したという。クラッチレバーはアジャスター機構付きになり、左右レバーは珍しいブラック仕上げに。ハンドルスイッチは、最新MT-09などで先行デビューした最新世代のものに変更された。
メーターやスイッチボックス、ハンドルバーが更新されたコックピットまわり。
電子制御や足まわりも最新世代に
出力特性などを選択可能とするYRC(Yamaha Ride Control)は、走行モードがSPORT/STREET/RAINの3種から選べるほか、ユーザーが設定可能なCUSTOM1/CUSTOM2も備え、PWR(パワーデリバリーモード)/TCS(トラクションコントロールシステム)/SCS(スライドコントロールシステム)/LIF(リフトコントロールシステム)/QSS(クイックシフトシフトシステム)/BC(ブレーキコントロール)/BSR(バックスリップレギュレータ)の各項目が任意に設定可能だ。
このうち、新たに設定項目として加わったのはBSR(バックスリップレギュレータ)。また、市街地などで意図しない速度超過を防ぐことができるYVSL(ヤマハバリアブルスピードリミッター)も新採用。クルーズコントロールシステムは従来型から継承する。
前後サスペンションは、リヤショックアブソーバーをXSR900 GPと同じ構成のKYB製フルアジャスタブルに換装(セッティングは異なる)。リンク比もGPを踏襲したという。φ41mm倒立フロントフォークはフルアジャスタブルを継承し、リヤとともにやや快適性に寄ったセッティングに改められた。
タイヤはブリヂストンの最新バトラックスハイパースポーツS23を新採用。このほか軽量スピンフォージドホイール、アルミ製スイングアーム、軽量高剛性のCFアルミダイキャストフレームといった優れた素性はそのまま受け継ぐ。
デザインは凝りまくりだが車両価格上昇は最小限
メーターブラケットのカラー(スペーサー)などはアルミ削り出しを思わせるものになり、ブラックアウトして高級感を醸し出す。前述したようにブレーキ&クラッチレバーもブラックアウトされたほか、燃料タンクキャップはYZF-R1と同形状のものを採用するなど、各所にこだわりを見せる。
レギュラーカラーのシルキーホワイトおよびブラックメタリックXは、従来モデルからベースカラーを継承しつつグラフィックが改められ、ホイール色も明るいゴールドで統一。フロントフォークのアウターチューブは各車体色で異なっている。
そして日本限定カラーのセラミックアイボリーだ。こちらは専用色をわざわさ作ったというブラウンのシートや、少しくすんだ調子の色味が落ち着き感を与えるフロントフォークのブロンズカラーなどが特徴的だが、フォークのアウターはこの色味を実現するためだけにカシマコートを採用(実際はわずかにフリクションが低減しているという)。燃料タンクのグラフィックも専用のラインが引かれるなど、レギュラーカラーとの価格差3万3000円で収まっているのが不思議なほど。
スポーツイメージを高めるレギュラーカラーと、日本の道で落ち着いた雰囲気を味わえる限定カラーという棲み分けがユーザーの選択肢を広げてくれるに違いない。
このほか、バーエンドミラーやブレンボ製の純ラジアルマスターシリンダーといった装備、3つの吸気ダクトによる音圧チューニングやトルク感のある排気音が特徴の左右シンメトリーのテールパイプなど、ヤマハらしいこだわりは従来通りだ。なお、エンジンの変更点は明記されていないが、WMTCモード燃費は20.4km/L→20.9km/Lとわずかに改善されている。
YAMAHA XSR900[2025 model]
車名 | XSR900 |
認定型式 | 8BL-RN96J |
原動機打刻型式 | N722E |
全長×全幅×全高 | 2155×790mm×1160mm |
軸距 | 1495mm |
最低地上高 | 140mm |
シート高 | 815mm |
キャスター/トレール | 25°00′/108mm |
装備重量 | 196kg |
エンジン型式 | 水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ |
総排気量 | 888cc |
内径×行程 | 78.0×62.0mm |
圧縮比 | 11.5:1 |
最高出力 | 120ps/10000rpm |
最大トルク | 9.5kg-m/7000rpm |
始動方式 | セルフスターター |
変速機 | 常時噛合式6段リターン |
燃料タンク容量 | 14L(無鉛プレミアムガソリン指定) |
WMTCモード燃費 | 20.9km/L(クラス3、サブクラス3-2、1名乗車時) |
タイヤサイズ前 | 120/70ZR17 |
タイヤサイズ後 | 180/55ZR17 |
ブレーキ前 | 油圧式ダブルディスク |
ブレーキ後 | 油圧式ディスク |
色&価格 | 白、黒=132万円/アイボリー=135万3000円 |
発売日 | 2025年4月14日(アイボリーの受注は2025年9月30日まで) |
日本限定カラー“セラミックアイボリー”
日本限定カラー“セラミックアイボリー”
日本限定カラー“セラミックアイボリー”
カスタムコンセプト×2車
XSR900 GPの純正セパレートをトップブリッジ下にマウントし、ヘッドライト位置をやや下げたカフェレーサーイメージの1台。フェンダーレス化し、シートは表皮を張り替えてある(シートジョイ製)。
こちらはヘビーデューティなツーリング仕様をイメージ。革製カバンやブロックタイヤがイカス!
【動画】丸山浩の速攻レポート!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA] | 新型ヘリテイジ/ネオクラシック)
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
渋系のダークカラーにメタリックの輝きも 人気のフルサイズ125ccスポーツヘリテイジ「XSR125」にニューカラーが登場した。従来のライトブルーとレッド、ホワイトメタリックが廃止され、代わりにブラウン[…]
燃料タンクには昭和のヤマハ車を彷彿とさせるライン ヤマハはインドネシアで、日本でいう軽二輪クラス(126~250cc)にあたるネオクラシックネイキッド「XSR155」に新色のメタリックブラウンオーセン[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
外装を変えただけの着せ替えモデルじゃないぞ! なんて感じで仰々しく書き始めてみたが、僕自身がXSR900GP(以下GP)はXSR900のバーハンドルをセパレート化し、ハーフカウルの外装を装着した着せ替[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA] | 新型大型二輪 [751〜1000cc])
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
GT+にはY-AMTを標準装備 ヤマハは、今夏発売と予告していた新型「TRACER9 GT+ Y-AMT」を2025年5月28日に発売すると正式発表。今世代のトレーサー9 GTシリーズでモーターサイク[…]
YZF-R1シリーズ直系の4気筒エンジンを搭載するスーパースポーツネイキッド ヤマハは、同社の最高峰スーパースポーツ「YZF-R1」のエンジンを低中速寄りに仕立て直して搭載した『MTシリーズ』のフラッ[…]
2024年にモデルチェンジ&Y-AMT仕様追加、最新カラーは1色のみ入れ替えで登場 ヤマハは、2024年4月・9月に発売した新型「MT-09」「MT-09 Y-AMT」に新色のマットライトグレーを追加[…]
R1とR1Mで変更内容は異なる ファイナルエディションが登場しそうとか、スーパーバイク世界選手権でのパフォーマンス向上のためモデルチェンジするのではないかなどさまざまな情報(憶測?)が飛び交っていた「[…]
人気記事ランキング(全体)
カワサキの新世代モビリティが大阪万博で公開 2025年日本国際博覧会、通称「大阪万博」のカワサキブースで、未来のオフロードビークル「CORLEO(コルレオ)」が注目を集めている。バイクのように乗車する[…]
バイクキャビン:小型エアコンを装備すれば抜群の環境に! 難しく考えることなく、手っ取り早く購入できるガレージとして高い人気を得ているのが、デイトナが取り扱う各種シリーズ製品だ。 全モデルに共通している[…]
“2スト最強”と呼ばれた栄光のレプリカ ヤマハのRZV500Rと並び立つ不世出の500レプリカが、このRG500ガンマである。 1976〜1982年までスズキはWGP500でメーカータイトルを7年連続[…]
〈WEBIKE FESTIVAL〉2024.10.19 SAT. ロングウッドステーション(千葉県長柄町) 【X500 ヒデヨリさん】「見た目など、あえてハーレーらしさを捨てたチャレンジ精神の塊のよう[…]
アルミスリーブは圧倒的な放熱性を誇る iB井上ボーリング(以下iB)が取り扱う内燃機加工修理の中で、とくに、大きなシェアを占めているのが“空冷エンジン”のシリンダー。 減らないアルミシリンダー「ICB[…]
最新の投稿記事(全体)
「その時、スペンサーになれた気がした」 MVX250Fの上位モデルとして400版の発売が検討されていたが、250の販売不振を受け計画はストップ。この心臓部を受け継ぎ、NS250Rの技術を融合したモデル[…]
創業60年以上の老舗メーカーの強力アルカリクリーナーに注目 モータリゼーションの先進国・アメリカでは早くから洗車やディテーリング産業が確立しており、より短時間で効率よく愛車を輝かせるためのケミカル製品[…]
日本でもっとも人気の高いジャンル=ネオクラシック プロポーションの枷を覆す【カワサキ Z900RS】 まず、現代のバイクと昔のバイクではプロポーションがまったく違うんです。昔のバイクはフロントタイヤが[…]
ソケットセット:ツールキャビネットの引き出しにそのまま収まるトレイ付きZ-EALセット ラチェットハンドルもソケットも、専門メーカーのノウハウを注入して開発されたZ-EAL。その代表的アイテムをセット[…]
コーポレートアイデンティティとユニフォームを39年ぶり刷新へ スズキ株式会社は、2025年4月1日よりコーポレートアイデンティティ(CI)とユニフォームを39年ぶりに一新すると発表した 。 従来のCI[…]
- 1
- 2