
2024年10月15日、熊本県立矢部高等学校にて”電動二輪車技術&安全運転講習会”をホンダが主催した。二輪業界や自治体のカーボンニュートラル(CN)へ向けた取り組みを含め、EVについて高校生に知ってもらうきっかけとなることを目指したものだ。今回はレポートの後編として、免許を持たない生徒たちの様子をお伝えしよう。
●文:田中淳麿(ヤングマシン編集部)
講習で学ぶカーボンニュートラルと電動モビリティの関係
今回の電動二輪車技術・安全運転講習会は、バイク通学の実施や「二輪車競技部」の部活動で知られる熊本県立矢部高等学校の生徒を対象に行われた。
循環型社会への取り組みを知ってもらい、電動バイクに触れることで、カーボンニュートラル(CN)と電動モビリティについて考えてもらうことを目指したものだ。
後編では、免許を持っていない生徒がEM1 e:の取扱いなどを体験した。交換式バッテリーの脱着と家庭用コンセントでの充電、加えて車両にまたがって起動し、スロットルをひねって後輪(インホイールモーター)を回すといった内容だ。
生徒たちは「音が静か! 」「振動がない! 」と普段目にするガソリン車との違いに驚きつつも、とても楽しそうな笑顔が見られた。
その後は、デモ走行、ガソリン車との比較走行なども見学して静粛性や加速などについてそれぞれの特性を学んだのち、班ごとにグループワークを行った。
ディスカッションのテーマはガソリン車がEVに代わることのメリットやデメリット。インストラクターからは身近な家電製品である“石油ストーブと電気ヒーター”といった論点のヒントも教えてもらった。
最後はホワイトボードを使って参加者を前にプレゼンテーション。各班からはメリットとして「静か/加速が良い/自然に優しい/燃料代が安い」、デメリットとして「車両が高い/バッテリーが重い/歩行者がバイクに気づきにくく危険」といった意見が挙げられた。
免許を持っていない生徒も含めて全校生徒を対象にした本イベントは、これまでにない学びの場だった。電動スクーターと高校生との親和性については、メーカーや業界が今後も検証すべきテーマだ。
後ろを向いて並んだ生徒にガソリン車とEVで順々に近づき、音が聞こえた時点で手を挙げてもらうという検証が行われた。生徒たちはEVの静粛性を体感した。
バッテリーの脱着を体験、安全運転動画も視聴
EM1 e:が搭載する交換式バッテリー、”ホンダ モバイルパワーパック e:”の脱着も体験。
さらに安全運転講習では、「梅本まどかと宮城光のセーフティライディング! (自工会)」「はじめての電動スクーター! (HondaGO)」の映像を視聴した。
EVとガソリン車の違いを見学
EVとガソリン車の競争を見学。
スタート直後の加速はEVのほうが速く、大きな差がついた。しかも静かで排気ガスが出ない。
EVとガソリン車の競争を見学。
グループワークでEVのメリット/デメリットを考察
ガソリン車との比較をとおしてEVの特性について学んだのち、グループワークを行った。
EVのメリットとデメリットなど、意見を出し合って発表した。
グループワークの様子。
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