道路にペイントされたひし形のマーク。警視庁の調べでは、およそ6割以上の人がその意味を知らないという実態があります。「ダイヤマーク」と呼ばれるこのマークは、道路交通において重要であり、意味を知らないと交通違反で検挙されるどころか、重大事故につながる可能性もゼロではありません。
●文:ピーコックブルー(ヤングマシン編集部)
ダイヤマークが示すのは「この先、横断歩道あり」
道路にペイントされたダイヤマークは、前方に横断歩道/自転車横断帯があることを意味しており、原則として以下の場所に設置されます。
- 信号機がない横断歩道の手前
- 交通事情等により事前の認識が難しい横断歩道の手前
横断歩道があるということは、渡る歩行者がいるかもしれないということ。ダイヤマークの存在と意味を知っていれば、カーブ/急な上り坂の先などの見通しが悪い場所でも、あらかじめ減速の準備を整えておけます。
つまりダイヤマークは、事前に横断歩道があることを予告してくれるありがたい存在と言えるでしょう。
ただし、路面の指示標示自体に法的拘束力はないため、ダイヤマークが設置されていたとしても横断歩道を渡る歩行者がいなければ減速をする必要はありません。
しかし、歩行者が横断歩道を渡る意思標示をしている場合は、道路交通法第38条に従い、横断歩道の手前で停止できる速度まで減速し、歩行者の横断中はその手前で一時停止をしないと、「横断歩行者等妨害等」の違反で罰せられてしまいます。
横断歩行者等妨害等の反則点数は2点。また反則金は二輪車が7000円、原付は6000円です。
ちなみに、ダイヤマークの寸法は縦5m×横1.5m。原則として車線ごとに設置され、横断歩道から約30m手前に1個、さらに10〜20mの間隔をおいた距離に1個もしくは2個が設置される決まりになっています。
横断歩道の手前30mは追い越し禁止区間となっているため、ダイヤマークが目に入ったら追い越しは待つべきと判断できます。
ただし、すべての横断歩道の手前に設置されているわけではなく、以下の場合はダイヤマークの設置が省略される場合があることも覚えておきましょう。
- 信号機がある横断歩道の場合
- 横断歩道等の手前が一時停止規制となっている場合
ダイヤマークの幅は道幅の半分近くを占めるため、その存在に気づかない人は少ないはず。にもかかわらず、横断歩道を渡ろうとする歩行者を無視して通過する車両が絶えません。そのため、各都道府県警察では広報活動によるダイヤマークの認知度向上に加え、安全向上のためのさまざまな対策を講じています。
たとえば栃木県では、ダイヤマークをより目立つように下地を緑に着色したところ、歩行者妨害抑制に効果があったとのことです。場所によってはダイヤマークに加えて「横断歩道あり」とわかりやすく文字がペイントされている場合もあります。
また、ペイントの隙間あり/なしのダイヤマークも混在しています。隙間があるダイヤマークは比較的新しいペイントであり、隙間を設けることで中心部に雨水が溜まることを防ぎ、スリップの抑制を目的としているようです。地域によって隙間の箇所は異なるものの、いずれもダイヤマークとしての意味は同じです。
このように、道路標示のひとつであるダイヤマークは、歩行者/車両ともに安心安全でいるための役割を果たしています。たとえ急いでいたとしても、ダイヤマークを見逃さず、歩行者に道を譲る心のゆとりを常に意識したいものです。
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