
2024年3月の東京モーターサイクルショーで国内初披露となった『KYT HELMET』が、いよいよデリバリー開始となる。まずは6月よりオンロードフルフェイス2種、オフロードフルフェイス1種が販売される。アジア発のメーカーながら、MotoGPやWSBKなど最高峰レースのライダーもサポートする実績を持つKYTは、今もっとも注目したいヘルメットブランドだ。
●文:ヤングマシン編集部(山下剛) ●外部リンク:KYT JAPAN
MotoGPライダーも愛用する信頼性を獲得したインドネシア発のヘルメット
KYTヘルメットは、1980年にインドネシアで誕生したメーカーで、創業者のエディ・テジャクスマ氏は、『レーシング・アイデア・プロジェクト』として今日までにインドネシアではおよそ70%のシェアを持つほどの巨大メーカーに育て上げた。2014年からはイタリアのヘルメットメーカー『スオーミー(SUOMY)』と提携し、技術開発や生産、ブランディングで相乗効果をもたらしている。
MotoGPではエネア・バスティアニーニ選手(ドゥカティ レノボチーム)、アウグスト・フェルナンデス選手(レッドブルGASGASテック3)がKYTを着用してレースに臨んでいる。また、兄弟ブランドともいえるスオーミーは、2年連続チャンピオンのフランチェスコ・バニャイア選手、マン島TTやBSB(スーパーバイクイギリス選手権)で活躍中のピーター・ヒックマン選手も着用している。
そんなKYTが正式に日本に上陸し、KYTジャパンよりレーシングモデル3種が販売される。現在はWebikeでのネット通販での取り扱いとなっているが、全国16の正規店での販売も近日中にスタートする予定だ。インドネシアをはじめとするアセアン諸国、欧米では、ほかにスポーツツーリングやオープンフェイスの4種もラインナップするが、これらもいずれ国内でラインナップされていくことだろう。
では、KYTヘルメットの国内販売モデルをひとつずつ見ていこう。
KX-1 RACE GP
『KX-1 RACE GP』は、MotoGPやWSBKなど最高峰レースでの勝利を目指して開発されたレーシングヘルメットだ。そのため安全規格はFIMを取得し、日本のMFJも現在認可申請中。もちろんSG規格もパスしているので公道での着用もできる。
設計・開発はイタリアで行われ、3年以上にわたる風洞実験およびサーキットでの実走テストを経て完成した。ドゥカティ・コルセ・ファクトリーライダーであるバスティアニーニ選手をはじめとするGPライダーもその性能を認めており、300km/hを超えるストレートでの空力性能はもちろん、コーナリングでライディングフォームが変化したときでも優れた空力性能を発揮する帽体形状、エアロパーツを装備している。
周辺視野は垂直方向92度、水平方向210度を確保し、広範囲の視野を確保することで安全性を高めている。バイザーはピンロック・マックスビジョン120に対応するほか、傷づきにくいアンチスクラッチ加工と紫外線をカットするUV380加工が施されている。また、バイザーの可動部やセンターロック機構には合金を採用し、たしかな作動性と耐久性を確保している。
チークパッドの赤いベルトを引くことで緊急時の取り外しが容易に。
万が一の際に第三者がヘルメットを容易に外せるエマージェンシーチークパッド、吸汗速乾性に優れる内装システム、ヘルメット内部の熱気を効率的に排出するベンチレーションシステム、Dリングを採用したチンストラップなど、レーシングフルフェイスヘルメットに求められる機能を高次元で実現している。
カラーリングはカーボンの織目を生かした『カーボングロス』のほか、プレーングレー、バスティアニーニ選手のレプリカモデル2種(バスティアニーニ・レプリカ・ウィズ・スポンサー、バスティアニーニ・レプリカ・ウィズ・スポンサー・インドネシアGP)がラインナップされる。
【KYT KX-1 RACE GP】●価格:11万1000円~13万2000円 ●サイズ:XS(53-54cm)、S(55-56cm)、M(57-58cm)、L(59-60cm)、XL(61-62cm) ●色:カーボングロス、灰、白×赤、金×青 ●規格:ECE 22-06、SG、FIM(※MFJ認可申請中) ●構造:トライコンポジット(カーボン、グラスファイバー、ケブラー繊維の複合素材) ●重量:1400g±50g(Mサイズ)
KX1 RACE GP BASRIANINI BASRIANINI REPLICA with Sponsor
●価格:13万2000円(without Sponcer=12万1000円)
KX1 RACE GP BASRIANINI REPLICA with Sponsor Indonesia GP
●2024年9月発売 ●価格:13万2000円(without Sponcer=12万1000円)
KX1 RACE GP CARBON / MONO
●価格:CARBON=13万2000円/MONO=11万円
KX1 RACE GP PLAIN WHITE ●価格:11万円
レプリカモデルは2023年シーズンにバスティアニーニ選手が着用していたモデルがモチーフになっている。
NZ RACE
『NZ RACE』は、レースで培ったノウハウをフィードバックしたストリート用フルフェイスだ。帽体の素材はトライコンポジット、流体力学解析を駆使した形状は、風洞実験およびKYTサポートライダーの実走テストの繰り返しで完成させたものだ。その結果、安全性、空力特性、通気性、快適性とヘルメットに求められる性能をハイレベルで実現した。
また、エアロパーツによる空力特性向上はもちろんのこと、帽体形状のスタイリッシュさもKYTのアイデンティティを強く主張する。
周辺視野はKX-1 RACE GPとほぼ同等となる垂直方向90度、水平方向210度を確保。ピンロック・マックスビジョン70に対応するシールドは、アンチスクラッチ加工も施される。
1350gという軽量な仕上がりだから、街乗りからツーリング、そしてサーキット走行会とマルチに使えるフルフェイスヘルメットとなっている。カラーリングは、カーボングロスのほか、バスティアニーニ・レプリカ(青)など全4色がラインナップする。
【KYT NZ RACE】●価格:7万2600円~7万7000円 ●サイズ:XS(53-54cm)、S(55-56cm)、M(57-58cm)、L(59-60cm)、XL(61-62cm) ●色:カーボングロス、青、緑、黒×白 ●規格:SG ●構造:トライファイバーコンポジット ●付属品:ノーズガード、エアチンカーテン ●重量:1350g±50g(Mサイズ)
NZ RACE BASTIANINI REPLICA
●価格:7万4800円
NZ RACE CARBON
●価格:7万7000円
NZ RACE CARBON GLOSS ●価格:7万7000円
NZ RACE MONO
こちらも同じくレプリカのモチーフとなった2023年のバスティアニーニ選手。
SKY HAWK
『SKY HAWK』はオフロード用フルフェイスヘルメットで、SG規格のほかにMFJ認可も取得しているので、国内のモトクロスやエンデューロレースでも安心して使える。ハードエンデューロで数々のチャンピオンを獲得しているグラハム・ジャービス選手が愛用しており、彼のシグネチャーモデルもラインナップされている。
帽体素材はトライコンポジットを採用し、剛性と軽さを両立。ヨーロッパの安全基準ECE 22-06をクリアする安全性を特徴としている。
運動量の多いオフロードライディングを安全かつ快適に、そして果敢にチャレンジするための安全性、通気性、軽量化を実現。モトクロス世界選手権からフィードバックしたノウハウを惜しみなく投入したモデルだ。
ジャービス選手シグネチャーモデルのほか、赤×白、黄×灰、青×橙の全4色が揃っている。
【KYT SKY HAWK】●価格:5万2800円~5万8300円 ●サイズ:XS(53-54cm)、S(55-56cm)、M(57-58cm)、L(59-60cm)、XL(61-62cm) ●色:黒×白、白×赤、黄×灰、青×橙 ●規格:SG、MFJ、ECE 22-06 ●構造:トライコンポジット(カーボン、グラスファイバー、ケブラー繊維とアラミド樹脂の複合素材) ●重量:1100g±50g
SKY HAWK JARVIS Signature Edition
●価格:5万8300円
SKY HAWK GRAPHIC / MONO
●価格:GRAPHIC=5万5000円/MONO=5万2800円
KYT JAPAN
静岡県磐田市鳥之瀬174-2
TEL:0538-30-7920
https://kytjapan.com/
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ヘルメット)
月内発売:SHOEI 「GT-Air 3 AGILITY」 優れた空力特性とインナーバイザーを兼ね備えたSHOEIのフルフェイスヘルメット「GT-Air3(ジーティーエア スリー)」に、新たなグラフィ[…]
とにかく目立つサイケデリックなカラーを使った新たなグラフィック 新しいグラフィックは、風の流れあるいはゼブラ模様にも見える流線の組み合わせをカラフルに仕上げたモデルだ。アライヘルメットによれば「オフロ[…]
バイクファッションブランド『ロアーズオリジナル』とのコラボレーションモデル第2弾が登場 このたび発売される『TX-STRADA ROARS』は、2020年に発売された『RAPIDE-NEO ROARS[…]
ヨーロッパの伝統建築や美術をモチーフとした新グラフィック かなり込み入ったグラフィックが描かれた新製品オルロイは、チェコの首都プラハの旧市庁舎の塔にある天文時計をモチーフとしている。時間を表示するだけ[…]
念願のWYVERNシリーズ最新作の登場だ! ついに復活を遂げて、新発売となったSHOEI「ワイバーンØ」。歴代ワイバーンシリーズを愛用してきた筆者としては、どんな進化を遂げたのが期待しかない。そこで、[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
生活圏に牙を剥く「熊」から命を守れ!! 年、都市近郊や住宅地にまで出没し、甚大な被害をもたらしている**「人里の熊」。もはや登山家や釣り人だけの話ではない。愛車を駆る週末ライダーも、通勤・通学の一般市[…]
激白!プレゼントは「自分の欲しいもの」が圧勝! 「日頃の感謝を込めて…」なんて殊勝なことを考えてる男性も女性もいるだろうが、甘い! そのプレゼント、本当に喜ばれているのか? パナソニックが行った調査結[…]
津軽の32温泉をすべて利用可能 2日間パス:2000円 3日間パス:2500円 たとえば、単体で利用すれば入浴料1000円の「黄金崎不老ふ死温泉」や、入浴料700円の「花禅の庄」、観光施設では入場料6[…]
新型モデルの実際の使い心地をチェックできる 2025年11月5日、スズキより、新型「DR-Z4S」および「DR-Z4SM」を「スズキワールドバイクレンタル」のラインナップに追加したとの発表があった。こ[…]
2024年11月:V3エンジンコンセプトが世界初公開 ホンダが、約40年ぶりとなるV型3気筒エンジンを搭載した「new ICE concept」を世界初公開したのはEICMA 2024でのこと。このコ[…]
人気記事ランキング(全体)
距離もブランドも関係なし!50人同時通話を実現 EVA Rモデルは、EVANGELION RACINGをモチーフとした特別デザイン(初号機A/B、2号機A/Bの全4モデル)をまとい、ナイトランでも存在[…]
最新の安心感と46worksテイストを両立した「究極のコンプリートモデル」 この『#02』は、2024年に限定販売された初代モデルに続くコンプリートカスタムモデル。今まで46worksが得意としてきた[…]
未塗装樹脂の白ボケ原因とツヤを復活させる方法 黒かったものが白っぽくなってくると古臭く見えてしまいます。…いいえ、「白髪」ではなくて「黒樹脂(未塗装樹脂)パーツ」のオハナシです。 新車の頃は真っ黒だっ[…]
APトライク250って高速道路で通用するの? チョイ乗り系トライクとして知られるAPトライク125は、125ccという排気量ながら「側車付き軽二輪」という区分のおかげで高速道路を走れます。しかしながら[…]
防寒着に求められる3要素を網羅 真冬のバイク乗りにとって、防寒は死活問題だ。アウターで風を遮断しても、その内側、つまりミドルレイヤーやインナーの選択次第で、ツーリングの快適度は天と地ほど変わってしまう[…]
最新の投稿記事(全体)
2023年からV4エンジンの開発は始まっていた CFMOTOは、すでに2023年のEICMAでスーパースポーツ向けV4エンジンのプロポーザルを行っており、昨年はV4搭載マシンのモックアップモデルを展示[…]
勝利の哲学を纏った限定モデル 世界最大級のモーターサイクル展示会であるEICMAにて初披露されたこの限定エディションは、Insta360が誇る最先端の技術と、9度の世界チャンピオンであるマルケスの不屈[…]
生活圏に牙を剥く「熊」から命を守れ!! 年、都市近郊や住宅地にまで出没し、甚大な被害をもたらしている**「人里の熊」。もはや登山家や釣り人だけの話ではない。愛車を駆る週末ライダーも、通勤・通学の一般市[…]
激白!プレゼントは「自分の欲しいもの」が圧勝! 「日頃の感謝を込めて…」なんて殊勝なことを考えてる男性も女性もいるだろうが、甘い! そのプレゼント、本当に喜ばれているのか? パナソニックが行った調査結[…]
愛知の熱きモビリティ企業、プロトが名古屋をジャック! JAIA(日本自動車輸入組合)会員としてベネリモーターサイクルの正規輸入元を務め、さらに愛知モノづくり企業「愛知ブランド」の認定も受けるプロト。オ[…]
- 1
- 2


































































