BMWは、R18のエンジンを排気量拡大し、新開発フレームに搭載したネオクラシックネイキッドのコンセプトモデル「R20コンセプト」を発表した。R12ナインTの兄貴分として市販車も登場する……のか……?
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
ビッグボクサーにホイールとハンドルが付いたかのような……
BMWが欧州でとんでもないコンセプトモデルを発表した。ビッグサイズのクルーザー「R18」が搭載する空油冷1801ccの水平対向2気筒エンジンを2000ccまで拡大し、ロードスター仕立ての車体に積み込んでしまったのだ。
その名も「R20コンセプト」。巨大なエンジンが完全に主役となり、そのに車体部品が取って付けられたかのような印象で、誰がこれを乗りこなせるのかと思わずにはいられない。まあBMWのことだから、きっちり走りを楽しめるマシンに仕上げてくるのだろうが……。
左右に張り出した一対のシリンダーが、まるで両手を構えたボクサーのように見えることから“ボクサーエンジン”とも称される水平対向2気筒だが、かつてない大排気量化とロードスターの組み合わせだ。存在感のある燃料タンクにショートすぎるテールまわり、シンプルなラインを描く新設計フレーム、剥き出しのドライブシャフトに目を奪われる。
フレームはクロームモリブデン鋼のダブルループ式で、タイヤサイズは前120/70ZR17・後200/55ZR17。フロントホイールはワイヤースポーク式だが、リヤにはディッシュタイプを思わせるキャストホイールを採用している。スイングアームは新たに設計されたパラレバー式で、シャフトドライブゆえの駆動トルクリアクションを打ち消す。リヤの軸受け部分はアルミ削り出しだ。
R18と同様に露出したドライブシャフトは、ロードスターの車格に合わせて短縮。ホイールベース1550mmを実現し、キャスター角は27.5度とした。前後ブレーキキャリパーはラジアルマウント式で、フロントに6ピストン、リヤに4ピストンを奢る。マフラーは左右2本出しとし、ボクサーらしいサウンドを奏でるという。
また、2000ccの排気量に対応するべく新型オイルクーラーを採用したほか、シリンダーヘッドカバーやベルトカバーも新作とされた。視覚的なアピールも強烈な吸気ファンネルとメガホンマフラーは、吸気~排気の流れをデザインに取り込んでいる。
エンジンに負けない存在感の燃料タンクはアルミ製とされ、光の当たり方や見る角度で色味が変化するプログレッシブカラーの「hotter than pink」は1970年代をオマージュしたもの。強い色味を持たせたのはタンクのみで、アルミ製のヘッドカバー、ベルトカバー、吸気ファンネルはポリッシュおよびアルマイト処理に。パラレバーストラット、フットレスト、ISRブレーキキャリパーはガンメタとしている。
テールランプはシングルシートと融合しており、3Dプリントのアルミ製リングが光るDRLとその中央に浮かび上がるかのようなLEDヘッドライトと調和したデザインだ。
この巨大なネイキッド、市販されればヤマハMT-01以来のインパクト?
R18が市販される以前にも、R18の登場を予感させるコンセプトモデルが発表されており、その前例に倣うならば今回もコンセプトモデルに近い姿の市販車の登場が予想できる。
1000ccを大きく超えるロードスターといえば、ヤマハがかつて販売していたMT-01(1670cc空冷V型2気筒)が思い浮かぶ。乗り手を揺さぶる鼓動はクルーザータイプよりもダイレクトに身体に響き、大きなインパクトを残した1台だったが、R20が市販されればこれを超えるものになるかもしれない。
R18のボクサーエンジンは、縦置きクランクならではのトルクリアクションがとにかく大きく、スロットルの開閉によって車体が左右に振られるさまはR12あたりとは比較にならない強烈さだ。そんなエンジンを核としたロードスター、クセ強エンジンを好むライダーにとっては、市販を願わずにはいられない1台だろう。BMWさん、ぜひそのままいっちゃってください!
BMW R20 Concept のスタイリング
開発スケッチほか
ディテール
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(BMWモトラッド)
2023年11月OPENから今年で2年目を迎えるモトラッドミツオカ滋賀 開業1周年を迎えたばかりの「モトラッドミツオカ滋賀」は、滋賀県の県庁所在地・大津市の国道1号線沿いに店を構える。最西部で京都に隣[…]
トラベル・エンデューロの最高峰に自動クラッチ制御が装備! BMWモトラッドのロングセラーモデルであるGSシリーズ。その最上位モデルにあたるのがGSアドベンチャーだ。初代モデルの登場は’02年のR115[…]
TOURウインドブレーカーストームフード 冬や季節の変わり目のツーリングにぴったりの防寒アイテムです。3層ラミネートのウインドブレーカーフィルムを採用した高品質ポリエステルのソフトシェルが、首まわりを[…]
「BMW F900XR」3台を先行導入 BMWは、首都高速道路のバイク隊に向け「F900XR」を納入したことを発表。これは「「BMW F900XR POLICE仕様」をベースとしたものだ。 黄色いバイ[…]
チェリーパークラインはピストン路 信州とは長野県のことである。古来より信濃国であった同地は、国を表す州の字を用い信州と呼ばれるようになった(他に甲州や武州などあり)。信州と言うと絶景道のビーナスライン[…]
最新の関連記事(新型ヘリテイジ/ネオクラシック)
深みのあるブルーにゴールドのラインとロゴ ヤマハはタイで、日本でいう軽二輪クラス(126~250cc)にあたるネオクラシックネイキッド「XSR155」に新色のダークネイビーブルーを追加発表。従来のマッ[…]
早くも番外編、2017年の東京モーターショーで同時公開された3台のカスタマイズモデルだ! 2017年10月25日、東京モーターショーでZ900RSが世界初公開されると同時に、Z900RSカスタムプロジ[…]
ホンダは欧州で「GB350S」を発表。欧州では久々に『GB』の名が復活することになる。 標準モデルのGB350に対し、ややスポーティなアレンジがなされたGB350Sは、日本などでGB350S、最初に登[…]
日本でもCL250とともに2025年モデル導入と明言 ホンダは欧州で、エンジンとフレームの主要部分をクルーザーモデル「レブル500」と共有するスクランブラー「CL500」に鮮やかなニューカラーを設定し[…]
全貌が明らかになった2017年10月25日 ヤングマシン誌でそれまでスクープを継続的にお送りしてきたZ900RSが、2017年の東京モーターショーの事前発表会で初お披露目された(一般初公開日は10月2[…]
人気記事ランキング(全体)
ファンバイクは”個性”重視。けっこう選びやすい ホンダの125ccには本格スポーツのCB125Rがあるし、原付二種まで範囲を広げたらクロスカブ110も入ってくるし、スクーターやビジネス車(公道走行、一[…]
いい加減さがいい塩梅!? ダートで遊べるPG‐1 「個人車両なので頼むから無理はしてくれるな…」という編集担当の目を盗んでダートセクションにPG -1を連れ込んでみたら、これが何だか楽しくて仕方ない([…]
ホンダは欧州で「GB350S」を発表。欧州では久々に『GB』の名が復活することになる。 標準モデルのGB350に対し、ややスポーティなアレンジがなされたGB350Sは、日本などでGB350S、最初に登[…]
早くも番外編、2017年の東京モーターショーで同時公開された3台のカスタマイズモデルだ! 2017年10月25日、東京モーターショーでZ900RSが世界初公開されると同時に、Z900RSカスタムプロジ[…]
全ての個体にシリアルナンバー入り カワサキドイツの設立50周年を記念した特別モデルが登場した。1975年にカワサキドイツが設立されてから間もなく50周年を迎えるが、すでに2025年モデルとして登場して[…]
最新の投稿記事(全体)
前輪荷重多めでスポーティーなPG-1 ヤマハPG-1の現地向けプロモーションビデオは、往年のスズキ バンバンやドゥカティ スクランブラーシリーズを連想させる、アクティブ&ポップなテイストで構成されてい[…]
【ドライバー:谷田貝洋暁】本誌ハンターカブ実験担当として渡河性能実験に続き、今回のサイドカーでの高速道路走行実験にも抜擢されたフリーライター。無理/無茶/無謀の3ない運動の旗手。 【パッセンジャー:難[…]
深みのあるブルーにゴールドのラインとロゴ ヤマハはタイで、日本でいう軽二輪クラス(126~250cc)にあたるネオクラシックネイキッド「XSR155」に新色のダークネイビーブルーを追加発表。従来のマッ[…]
様々な使い方や乗り方に応える懐の深さが魅力 2024年上半期、400ccクラスの販売台数でGB350をしのぎトップに躍り出たのがエリミネーターだ。それどころか、大型バイクを含めた車検付クラスでもZ90[…]
Honda & MAAN Motocicli Audaci presentano il “SuperCub 125X” 生産モデルから大幅に逸脱しない設計……だけど雰囲気は一変! 日本でも好評[…]
- 1
- 2