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「カッコいいバイクは最強でなくてはならない」そんな信念から作り上げられた“最強カタナ”が、3月22日に開幕する東京モーターサイクルショーで公開される。熱烈なカタナ愛好家が手掛けたオリジナルのアルミフレームを持つそのマシンは、なんと! カワサキエンジンを搭載する異色のカタナなのだ。
熱烈カタナ愛好家が本気の悪ノリコラボ?!
今回、製作中の姿を捕捉した〝最強カタナ〞は、カワサキZX-10R用エンジンをオリジナルのアルミフレームに積む異色のマシン。製作者は熱烈なカタナ愛好家で、“カッコいいバイク(=カタナ)は最強でなければならない”という信念を持つ兵庫のカスタムビルダー「NOZAKI WORKS」の野崎智一朗さんだ。
とはいえ傍から見れば〝なんでカタナなのにカワサキエンジン?!〞と、ハテナマークがいくつも浮かんでしまうはず。SS系エンジンを積むならGSX-R1000を選べばいいのに…と、普通の人なら考えるだろう。
実はこのプロジェクトのきっかけは、野崎さんと仲のいいショップ「10ファクトリー」のお客さんが、愛車ZX-10Rを事故で廃車にしてしまった際の一言だったという。
「10Rは気に入っていたけど、次はカタナもエエなぁ…」
視線の先には10ファクトリー代表・石井敏敬さんの愛車。実は石井さんも大のカタナ好きで、GSF1200の油冷エンジンを搭載した初代カタナを愛車としている。
「じゃあ、10Rのエンジンでカタナ作っちゃいましょうか !」
石井さんの陽気な提案を受けたお客さん、否定するかと思いきや…「それは面白い、ぜひ作って!!」と俄然ノリノリに。そこでNOZAKI WORKSの野崎さんに打診すると「夢だった最強カタナが実現できる! 」と、当然ながらこちらもノリノリ(笑)。ここに世にも珍しい〝カワサキエンジン搭載のカタナ計画〞が発動したというわけだ。
10FACTORY✕NOZAKI WORKS「KATANA 10R」
NOZAKI WORKSで製作中のカタナ10R(写真撮影は2023年末)。製作者の野崎さんいわく、初代カタナの正常進化形がコンセプトだ。独自理論に基づくフレームや車体のディメンションは10Rを踏襲するが、スイングアーム(これもワンオフ!)は見た目のバランスを優先してやや長めに。
フレームを筆頭として、スイングアームや上下のフォークブラケット、さらに外装類などほとんどのパーツは野崎さんによるワンオフ品か、もしくは既存品を元に加工されたもの。
エンジンに合わせ、外装は93.4%に縮小?!
石井さん、野崎さんという仕掛け人のお二人は「暴走というか、悪ノリですよ」と笑うものの、車両を見ればそれは謙遜もいいところだと分かる。とにかく作り込みがすさまじい。悪ノリなんて言えるレベルをはるかに超越しているのだ。
前述のとおりエンジンは2011年式のZX-10Rなのだが、スチール製のダブルクレードルを採用するカタナとは似ても似つかぬ、さらに言えば世の中に類似品を見つけることが難しい、野崎オリジナルのアルミ製フレームがまずは凄い。
あえて言えば前半はヘッドパイプをボックス状に囲んだモノコック形状、後半はツインチューブ的な構成とされたそれは〝最強らしいフィーリング〞を野崎さんが追求してたどり着いた独特な形態。ヘッドパイプをガッチリ支えつつもフレーム後半を適度にしならせることで、公道で楽しく走れる剛性バランスを意識したものだ。
やはりオリジナルのステアリングステム。特にアンダー側で顕著だが、フォークをガッチリ固定しつつも横方向には積極的にしならせ、バンク中の微小ギャップ吸収性をねらった形態としている。
そして外装類はハンス・ムートデザインの初代カタナを踏襲…と思いきや、なんとエンジンサイズに合わせ、寸法を93.4%にギュッと縮小した新規製作品。アルミから叩き出した燃料タンクをフレームのモノコック部と絶妙に一体化させているのも野崎さんのこだわりだ。
このように、エンジンもフレームもそして外装すらも、オリジナルをそのまま使うパーツは何一つとしてないにも関わらず、漂わせる空気感は誰がどう見ても初代カタナなのが素晴らしい。オリジナルの印象を崩さない絶妙なバランス感は、これも野崎さんと石井さんの〝カタナ愛〞がなせる技なのだろう。
モノコック+ツインチューブの独特フレーム
前半部分はエアクリーナーボックスを内蔵したモノコック形状として剛性を確保しつつ、後半はいかにもしなりを生みそうな(=サーキットではなく公道を意識した)ツインチューブ状としたオリジナルフレーム。リヤサスペンションはZX-10R同様のホリゾンタルバックリンク式を採用。
アルミ板を叩き出して製作されたプレス風スイングアーム。モトGPマシンを意識したという幅の薄さが印象的で、ここも横方向の剛性を下げ、あえてしならせる方向で設計されている。
フレームと繋がる燃料タンクに注目。 サイドカバーのスイッチが実働するのもカタナマニアらしい拘りだ。メーターはKOSOの協力でカタナオリジナルをモチーフとした試作品を装着予定。カウルやスクリーンだけでなく、ヘッドライトも社外LED製品をカットして寸法を縮小。その下にはラムエア用のダクトも配置する。
メーカーも認める”カタナは自由だ!!”
取材後に野崎さんから送られてきた写真。1100カタナでいうと1984年式SE的なツートーンで仕上げられる?
”KATANA 10R”と名付けられたこの車両は、3月22日に開幕する東京モーターサイクルショーと、その2週間後の4月5日から始まる名古屋モーターサイクルショーにて10ファクトリーのブースに展示される予定。取材した2023年末はまだ仕上げ前の仮組みだったが、外装やフレームはすでに美しく塗装を終え、組み立てを待つばかりの状態にあるという。
カタナは熱狂的なファンを持つ名車なだけに、この車両には様々な意見が交わされるはずだ。しかし、かねてより既成概念に囚われず、自分が理想とするカタナを作りたいと考えていた野崎さんはこうも語る。
「2019年に現行のKATANAが発表された時、衝撃を受けたんです。メーカーのスズキですら、ハンス・ムートのオリジナルになんか全く縛られていない。”そうか、カタナは自由なんだ !!”って」
熱烈なカタナ好きの想いを凝縮した、異色かつ自由きわまりない1台。その仕上がりをぜひMCショーで確認して欲しい!
最強カタナはみんなの夢?!
チームカガヤマが2018年のテイストオブ筑波に投入した「刀1000R」は、初代1100のSTDフレームを大改造してGSX-R1000エンジンを搭載。ハンス・ムートデザインと最新SSエンジンの融合は、数多くのカタナファンが抱く夢?!
2人のカタナ好きが鋭意製作中!
NOZAKI WORKSの野崎智一朗さん(左)と、10ファクトリーの代表・石井敏敬さん。同店は海外からも依頼が舞い込むECUチューンの実力派ショップだ。ちなみに手前2台の油冷カタナは右が野崎さん、左が石井さんの愛機。
■10FACTORY 兵庫県加東市貝原319-1 TEL:0795-38-7115 https://10fac.com/
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