
普通二輪免許を取ったばかりの人でも、これから乗ってみたいと思っている人でもオシャレでクールな世界観へ気軽に誘い込んでくれる400クルーザーがカワサキから新登場。このカテゴリーでは圧倒的支持を得ているレブル250&500の兄弟たちとどんなところが違っているのか。本記事ではまず、待ちわびた新型エリミそのものの走りを体感する。
●まとめ:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:長谷川徹 ●外部リンク:カワサキ
【テスター:丸山浩】レブル人気で若い世代のライダーが増えたことには大喜びのヤングマシンメインテスター。普通二輪免許で楽しめるエリミネーターがさらなる呼び水となって、バイク界が一層盛り上がっていくことを願っている。
カワサキ エリミネーター/SE 概要
カワサキの”エリミネーター”と言ったら、僕ら世代の記憶にあるのは、やっぱり’86〜’90年代にかけて活躍した第一世代のモデルたち。当時”アメリカン”と言われているなかでも、ドラッグレーサー風のスタイルと400〜900では直列4気筒エンジンを採用し、加速感の凄さを前面に押し出して他とは一線を画す独特のポジションを固めていたマシンだった。
その後、エリミネーターはクルーザーらしいスタイルとなった250Vや125といった第2世代を経た後、今回約20年ぶりに第3世代として復活したわけだが、いかなる”エリミネーター像”を提示してくれるのか。やはり独特のキャラクターを見せてくれるのか、そこを最大の興味ポイントとして今回の試乗に臨むこととなった。
新型エリミネーターは、いわばクルーザーの標準的なスタイルと言える車体にZ400ゆずりの並列2気筒エンジンを変更せずに搭載。第1世代のようなワルっぽさをあまり感じさせないその雰囲気は、幅広い人々に受け入れられそうなものとなっている。
今回テストしたのはビキニカウルやフォークブーツを装備し車体色も細部までブラックアウトした上級版のSE。それでもやはり不良っぽさは薄く、むしろ優等生的な雰囲気まで感じさせるスタンダードなまとまり具合が印象的だ。
【KAWASAKI ELIMINATOR SE】■水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ 398cc 48ps/10000rpm 3.8kg-m/8000rpm ■車重176kg[178kg] シート高735mm 12L ■タイヤサイズF=130/70-18 R=150/80-16 ●価格:75万9000円[85万8000円] ※[]はSE
ライディングポジションの面でも、両かかとまで余裕でベタベタとなる足着きはもちろん、キャスター角が付いてフロントフォークが寝たロー&ロングな乗車感が「これぞクルーザー」と言えるお手本のような雰囲気を味わわせてくれる。このあたりはホンダ・レブル250&500が持つカスタムチョッパー的かつコンパクトな雰囲気とは第一印象から異なってくる部分だ。[身長160cm/体重61kg]
クルーザーらしい安定性/らしからぬ扱いやすさ
ハンドリングについても、やっぱりクルーザーらしい。ロー&ロングな車体は直進安定性に優れ、高速道路は快適にクルージング。シートの乗り心地も申し分ない。そしてその安定性から、ワインディングもレブル兄弟より優雅に流しながら楽しむのにベストなものとなっていた。
キャスター角の大きさやホイールベースが長いために旋回力そのものは高くないが、車重が軽いので車体を寝かしやすく、寝た状態からはビターッと安定。大きな弧を描きながらキレイにコーナーをクリアしていくのがすこぶる得意ときている。ただ、あまりにも寝かすのが簡単なだけに、気がつくとステップがガリガリと接地する領域まで走らせがちになってしまうので、そこはやりすぎに注意だ。あくまでクルーザーらしくまったり走るのが似合うね。
もっとも新エリミはクルーザーの標準形とは言っても車重に関しては別だ。昔ながらの”重い!”というのは一切なく、取りまわしも400クラスらしい感じで比較的容易に扱える。思いのほかUターンも小回りできるのは嬉しい発見。乗車したままでエンジンを吹かすと車体がすぐに起きやすくて、回転半径が大きくなる傾向があるものの、足が着きやすいのでゆっくりとUターンすれば峠のあまり広くない道でも問題なく方向転換できる。
やっぱり”他とは違う”これが新エリミネーターの姿
と、ライディングポジションやハンドリングまでは本当にクルーザーらしい側面を見せてくれた新エリミ。しかし、やっぱりコイツは一味違っていた。クルーザーと言えばドコドコ感という既存のイメージとは裏腹に、エンジンフィーリングはまったく異なっているのだ。
その並列2気筒はZ400ゆずりなだけに、新エリミもほんの気持ち吹け上がりが鋭いかなと思える感じで、スポーツバイクそのものな雰囲気。低回転域でこそパルス感があるものの、すぐに軽さとスムーズさ、そして静粛性が際立ちシューンと回転は上昇。演出的な部分では物足りなさ感もあるにはあるが、こと振動が少ない分、快適さの部分では優秀で、レブル兄弟と比べたら長距離を走れば走るほどその有利性を感じられるはずだ。
パワーもあるし高回転も使えるから高速道路をハイペースで走りたいときにも大いに応えてくれる。またワインディングもそのスムーズな回転特性が一役買って気持ちいい走りに輪をかけてくれる。このキレイに回るエンジンに安定感・安心感のある車体&ハンドリングが融合したことで、エリミネーターには”クルーザーの新しい優等生”という言葉を送りたいと思った。
このマシンを買う人の多くはクルーザー経験をあまり持っていない若い普通免許ライダーだと思うので、先入観を持っていない彼らほどすんなりこのキャラクターが受け入れられるのではないだろうか。とにかく新エリミはクルーザーの世界にスッと誘ってくれる。獰猛さで魅せた第1世代とはまったく違っていたけれど、”他とは違う”という点でやっぱりエリミネーターはエリミネーターだった。
そうそう、SE専用装備のドライブレコーダーは安全装備なので、録画ファイルは数十秒ごとに分かれてしまうが、動画配信にも使えそうな鮮明画像で記録するのには驚かされたよ。
寝かしこんだあとの安定感はピカイチ。これにスポーツエンジンのスムーズな回転とパワーで峠もラクラク。
同一エンジンのZ400との違いは?
高回転で回せば回すほど本領を発揮するスポーツエンジンは本来Z400&ニンジャ400用のもの。ワインディングでのZはエンジン特性がマッチしてアクセルON/OFFで簡単に向きを変えやすい。
スポーツネイキッドらしく、マシンを寝かせたところからステアリングがグッとインに入ってくるので旋回力は高く、前傾姿勢でフロント荷重もかけやすくなっている。同じエンジンながらキビキビしたZのハンドリングは新エリミと見事なまでに対照的だ。
【KAWASAKI Z400】Z250と車体を共有する軽量スポーツモデル。エリミとは2次減速比以外のギヤレシオやセッティングを含めエンジンは共通だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(エリミネーターシリーズ)
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc 400ccクラスは、普通二輪免許を取ってから間もないビギナーも選ぶことができる排気量帯で、16歳から乗ることができる。 そんな400cc[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc 400ccクラスは、普通二輪免許を取ってから間もないビギナーも選ぶことができる排気量帯で、16歳から乗ることができる。 そんな400cc[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
様々な使い方や乗り方に応える懐の深さが魅力 2024年上半期、400ccクラスの販売台数でGB350をしのぎトップに躍り出たのがエリミネーターだ。それどころか、大型バイクを含めた車検付クラスでもZ90[…]
基本構成は日本仕様のエリミネーター/SEと変わらないが、排気量は異なる カワサキは北米でエリミネーター/SEの2025年モデルを発表した。すでに日本仕様でもファントムブルーおよびブラックのSEとカーキ[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
車格は250ccクラスと同等 CB125Rは250ccクラスと同等の車格を持つMTの125ccです。言われなければ125ccには見えず、大きなバイクと一緒に走っても遜色のない迫力を持っています。 エン[…]
街限定ではもったいない、意外なほどのツアラー性 10月下旬に鈴鹿サーキットで開催された全日本ロードレース選手権の2024年最終戦で、初めて表彰台に立つことができました。トップ争いが最終ラップに混乱して[…]
“スキニープロポーション”が際立つスリムなデザイン YZF-R7を前にして改めて驚かされるのは、そのスリムなプロポーションだ。同じエンジンとメインフレーム(フレームの違いについては後述)を共用するMT[…]
SC77のエンジンを搭載しながら134万2000円、オーリンズ&ブレンボのSPでも158万4000円 エンジンが抜群に気持ちいい! ホンダが2025年1月23日に発売した新型モデル「CB1000ホーネ[…]
人気モデル『400X』の“モデル名称”を変更して再登場したバイク 普通二輪免許で乗れる400ccクラスの中では珍しいアドベンチャースタイルのクロスオーバーモデル/ツーリングバイクとして人気を博していた[…]
人気記事ランキング(全体)
いざという時に役に立つ小ネタ「結束バンドの外し方」 こんにちは! DIY道楽テツです。今回はすっごい「小ネタ」ですが、知っていれば間違いなくアナタの人生で救いをもたらす(大げさ?)な豆知識でございます[…]
V3の全開サウンドを鈴鹿で聞きたいっ! ここ数年で最も興奮した。少なくともヤングマシン編集部はそうだった。ホンダが昨秋のミラノショーで発表した「電動過給機付きV型3気筒エンジン」である。 V3だけでも[…]
1978 ホンダCBX 誕生の背景 多気筒化によるエンジンの高出力化は、1960年代の世界GPでホンダが実証していた。多気筒化によりエンジンストロークをショートストトークにでき、さらに1気筒当たりの動[…]
ファイナルエディションは初代風カラーでSP=白×赤、STD=黒を展開 「新しい時代にふさわしいホンダのロードスポーツ」を具現化し、本当に自分たちが乗りたいバイクをつくる――。そんな思いから発足した「プ[…]
ガソリン価格が過去最高値に迫るのに補助金は…… ガソリン代の高騰が止まりません。 全国平均ガソリン価格が1Lあたり170円以上になった場合に、1Lあたり5円を上限にして燃料元売り業者に補助金が支給され[…]
最新の投稿記事(全体)
オートレース宇部 Racing Teamの2025参戦体制 2月19日(水)、東京都のお台場にあるBMW Tokyo Bayにて、James Racing株式会社(本社:山口県宇部市/代表取締役社長:[…]
Schwabing(シュヴァービング)ジャケット クラシックなフォルムと先進的なデザインを合わせた、Heritageスタイルのジャケットです。袖にはインパクトのある伝統的なツインストライプ。肩と肘には[…]
新レプリカヘルメット「アライRX-7X NAKASUGA 4」が発売! 今シーズンもヤマハファクトリーから全日本ロードレース最高峰・JSBクラスより参戦し、通算12回の年間チャンピオンを獲得している絶[…]
小椋&チャントラの若手が昇格したアライヘルメット まずは国内メーカーということで、アライヘルメットから。 KTM陣営に加入、スズキ、ヤマハ、アプリリアに続く異なる4メーカーでの勝利を目指すマー[…]
王道ネイキッドは相変わらず人気! スズキにも参入を熱望したい 共通の775cc並列2気筒を用い、ストリートファイターのGSX-8S、フルカウルのGSX-8R、アドベンチャーのVストローム800系を展開[…]
- 1
- 2