
トライアンフのミドルロードスター、ストリートトリプルシリーズがモデルチェンジ! 今回試乗したベーシックグレードのRは、前作ではローダウン仕様の「Rロー」が日本に入荷していたが、’23年モデルは標準のシート高に。最高出力は2psアップの120psとなった。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:トライアンフ
トライアンフ ストリートトリプル765R 概要
【Triumph Street Triple 765R】■全高1047 シート高826(各mm) 車重189kg ■水冷4スト並列3気筒DOHC4バルブ 765cc 120ps/11500rpm 8.16kg-m/9500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量15L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17R=180/55ZR17 ●色:銀 白 ●価格:119万5000円~122万1000円
【ライディングポジション】シート高は先代RSより1mm高い826mm。車体がスリムなので足着き性は良好。フロントに荷重をかけやすいライディングポジションだ。[175cm/68kg]
[◯] 先代のRSに並ぶほどエンジンがスムーズに
’19年よりモトGPのモト2クラスに供給されているのが、このストリートトリプルの765cc水冷並列3気筒エンジンだ。’20年型でユーロ5に適合した際、当時最上位グレードのRSのみ社内のモト2エンジン開発スタッフが、機械加工精度を上げるなど改良を実施。結果、パワーアップしただけでなく、低回転域から驚くほどスムーズになったのだ。
今回試乗したのはベーシックグレードのRだが、エンジンに関してはこのRSを彷彿させるほど滑らかなことに感心した。圧縮比を上げたりバルブリフトを増やすなど、新型はごく正攻法なメカニカルチューンによって最高出力が2ps高められている。よって、トルクが薄くなるなど低回転域が犠牲になっているかと思いきや、そうしたネガは皆無だ。トリプルの個性とも言える粒立った脈動感が全域で抑えられ、回転上昇は極めてスムーズに。そして、トップ6速50km/h、2500rpmからでも何ごともなかったかのように加速する。スロットルを大きく開ければ、レッドゾーンの始まる1万2000rpmにめがけて強烈に伸び上がり、改良された6段ミッションとクイックシフターにより、心ゆくまでスポーツ走行が楽しめるのだ。
ハンドリングは、サーキットも視野に入れたジオメトリーと車重の軽さにより、優れた旋回力を有している。そして、それは決してマシン任せのものではなく、ライダーの操縦に対して常に従順であり、腕に覚えのある人ほどポテンシャルを引き出すことに快感を覚えるはずだ。こう書くと難しいハンドリングのように思われそうだが、一般道での挙動は極めて素直であり、大型免許ビギナーでも臆せず扱えるはずだ。
なお、サスペンションは前後ともショーワで、ダンピングの設定が強めなのか、路面が荒れたワインディングロードや高速道路では車体が落ち着かないような挙動を見せた。これはライダーの体重でも印象が変わるので、前後ともフルアジャスタブルという利点を生かし、もし乗り心地が気になるようであれば気軽にセッティングを変えてみてほしい。
[△] ブレーキ初期タッチにやや甘い印象あり
フロントブレーキはブレンボのモノブロックキャリパーに、ニッシンのマスターシリンダーというセットで、レバー入力初期のタッチがやや甘いように感じた。先代RSのレシオ可変マスターの絶品フィールを知るだけに、そこだけ気になった。
[こんな人におすすめ] モト2由来の秀作エンジンを公道で楽しむ
エンジン形式/最高出力/価格から考えて、直接のライバルはヤマハのMT-09とXSR900だろう。それぞれ個性的であり甲乙付けがたいが「小椋藍選手はこんなエンジンを全開にしているのか!」と喜びに浸れるのはストリートトリプルだけだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
日本限定カラーの「アイボリー」のスタイング&主要諸元 新型2025年モデルXSR900のトピックスはなんといっても、日本市場だけの限定カラー「アイボリー(正式名称:セラミックアイボリー)」である。往年[…]
最新ボクサーのパワフルな走り 2023年のR1300GSに続き、R1300RT/R1300R/R1300RSもついに最新ボクサーを搭載。今回ドイツで行われた試乗会ではRTとRに試乗した。 RTはGS同[…]
本格派に大変身! これはガチンコのオフロードバイクだ 従来のアーバンG/Sは往年の雰囲気を楽しむ色合いが強く、オフ走行にはあまり向かなかったが、新しい「R12G/S」は、ホイールトラベル前210/後2[…]
ライディングポジション変更のおかげで操縦性も大幅アップ! 私が参戦する全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスは、5月下旬にシーズン初戦を迎え、私自身も今季のさらなる走りの進化に期待しているのですが[…]
125ccスクーターよりも力強い発進加速、街中で光る静けさ ホンダがパーソナルユース向けに国内リリースした電動スクーターの第2弾「CUV e:」は、第1段の「EM1 e:」が50cc相当の原付一種だっ[…]
最新の関連記事(トライアンフ)
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
アドベンチャー仕様としてオフロード性能を強化 新型モデル「スクランブラー400XC」は、トライアンフが誇る400ccモダンクラシックシリーズの新顔だ。既存のスクランブラー400Xをベースに、さらなるオ[…]
ニューカラーをまとった2026年最新トラをチェック プレミアム志向の輸入ブランドとしても、国内でも地位を確立した感のあるトライアンフ。その2026年モデルが、ニューカラーをまとって出そろった。 話題の[…]
MOTONE × PLOT トライアンフ ボンネビルシリーズのパーツをリリースする英国ブランド「モートーン」のカスタムコンプリート車両。ダイキャスト/射出成形/CNC削り出しなど可能なかぎりの高等技術[…]
ジェントルマンズライド(Distinguished Gentleman’s Ride)とは? 「ジェントルマンズライド(Distinguished Gentleman’s Ride、以下DGR)」は、[…]
人気記事ランキング(全体)
フリーズテック史上最高の冷感「氷撃α」シリーズ フリーズテックから登場した「氷撃α」長袖クルーネック冷感シャツは、シリーズ史上最高の冷感性能を誇る最新モデルです。生地表面に特殊な冷感プリント加工を施す[…]
ヘルメット装着で手軽に使えるバイク専用ドラレコ 「MiVue MP30Gps」は、バイクヘルメットに直接取り付けられるドライブレコーダー。これまでの車体取り付け型と違い、視界や操作性を損なわずに取り付[…]
ホンダCB1000F SE コンセプトの姿はこれだ! 7月11日、ホンダは鈴鹿8耐会場内のホンダブースにて、CB1000F SE コンセプトを世界初披露すると突如宣言した。 同リリースでは真横からのシ[…]
空冷四発の最終形態……CB-F最後の1年を飾る1100F[1983年] 多くのライダーが憧れる究極のフラッグシップであるCB1100Rの技術をフィードバックした、CB-Fシリーズの最終形態。 エンジン[…]
4つの冷却プレート&ペルチェ素子で最強の冷却力を実現 「ペルチェベスト」は、業界最先端の半導体冷却技術を採用し、前後4か所に冷却プレートを搭載した新発想の冷却ウェアです。小型冷蔵庫にも使われるペルチェ[…]
最新の投稿記事(全体)
スタートは自転車用のチェーン製造だった エンジンのシリンダーの中でピストンが上下して発生した力を、クランクを介してリヤタイヤに伝える。その要のパーツがドライブチェーンである。エンジンがどれだけ大きなパ[…]
ドラマの熱を受けて6年ぶりの精進湖涼湖祭を8月4日(月)に開催 脚本のバカリズム&主要キャストからも特別応援メッセージが!! 涼湖祭の復活を祝して、脚本のバカリズムさん、主演の市川実日子さん、[…]
※写真はSHOEI Gallery FUKUOKA SHOEIは2025年9月12日、同社のヘルメットをフルラインナップ展示する公式ショールーム「SHOEI Gallery SAPPORO」を北海道札[…]
トップライダーの底力で逆境を跳ねのけるか Honda HRCが急きょ2人体制で2025年の鈴鹿8時間耐久ロードレースに挑むことが7月31日(木)に発表されました。 7月26日(土)に行われたスーパーバ[…]
2025モデル「GB350/S」が華やかになって新発売! 原点的なスタイルとそれにふさわしい味わい深い走りによって、年齢や性別を問わず、幅広いライダーに支持されている大人気バイク「GB350」シリーズ[…]