
2019年4月に三ない運動から“乗せて教える”教育へと方針転換した埼玉県では、4年目の講習会「令和4年度高校生の自動二輪車等の交通安全講習」が行われた。講習内容や指導方針に大きな変更はないが、現況に対応した細かな変更やアップデートがなされていたので、その点についても紹介する。
●文:ヤングマシン編集部(田中淳麿)
- 1 4年目の講習会では細かなアップデートが目立った
- 2 危険予測と認知を養う講習内容
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4年目の講習会では細かなアップデートが目立った
今年度の講習会は例年より少し早めにスタートし、6月から9月にかけて行われた。ここでは、8月22日(月)に大宮自動車教習所で開催された県南部講習会の模様をお届けする。なお、今年度の細かな対応としては次の事柄が挙げられる。
- 参加人数の偏りを防ぐため、学校ごとに受講地区を設定
- モニタリング委員会の議事反映
- 令和3年度の自動二輪車等乗車中の交通事故では特に3年生が多かったため、3年生の免許取得者数が多い秩父地区では、3年生だけを対象とした講習会を早期に開催した
- 県警察本部による講義では、夜間の事故防止対策について加えた
- 実技講習では、右直事故について特に重点を置いた
- 参加生徒へのアンケートの設問/選択肢を細かくした
- 講習会場内での事故に備え、普通傷害保険に加入できるようになった(加入料200円)
危険予測と認知を養う講習内容
変更点について説明する。秩父地区は県内でも唯一、昔からバイク通学が許可されてきた地域であり、バイクに乗る高校生が多い。これまでは秩父地域のみ2つの教習所を借りて毎年計2回開催されてきたが、今年度は地域で分けるのではなく、秩父全域から3年生のみを集めて、6月の今年度最初の講習会に設定した。
また、高校生(16〜18歳)の昼夜別死傷事故データによると、夜間においては2輪車乗車中の割合がぐっと高まる(29%)ことから、県警本部による講義において夜間乗車中の危険性について教えるとともに、危険予測トレーニング(KYT)の中でも夜間を想定した危険認知のためのシミュレーションを実施した。
埼玉県での昼夜別死傷人数のグラフを見せながら夜間走行の危険性を知ってもらう。夜間は死傷者数の数は減るものの、2輪車の割合が29%と激増してしまう。
埼玉県での昼夜別死傷人数のグラフを見せながら夜間走行の危険性を知ってもらう。夜間は死傷者数の数は減るものの、2輪車の割合が29%と激増してしまう。
右直事故においては高校生に限ったことではなく、バイク乗車中における対4輪車事故の中でも出会い頭に次いで多いことが知られている。右折中の4輪車が直進してくるバイクの速度を見誤り衝突、ライダーが第2当事者となるケースが2輪対4輪の右直事故の91%を占めているのだ(交易財団法人交通事故総合分析センター研究発表論文より)。埼玉県の高校生講習でも、教習所内の交差点に四輪車や歩行者を配置し右直事故を想定したシーンを作り、白バイ隊員による右直事故のデモンストレーションを行なったり、横断中の歩行者や右折4輪車などの危険を体感させ、公道走行時の危険予測や素早い認知に役立つように工夫している。
白バイ隊員による右直事故のデモンストレーション。右折の4輪ドライバーは、直進してくるバイクの速度を正しく認識しにくいのだ。
白バイ隊員による右直事故のデモンストレーション。右折の4輪ドライバーは、直進してくるバイクの速度を正しく認識しにくいのだ。
4年目を迎えた埼玉県の高校生講習だが、新型コロナ禍でも粘り強く続け、現況を踏まえたアップデートを行なっている。こうした取組みが他県/他地域でも展開されていくことを、2輪業界も目指している。
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