2019年4月に三ない運動から“乗せて教える”教育へと方針転換した埼玉県では、4年目の講習会「令和4年度高校生の自動二輪車等の交通安全講習」が行われた。講習内容や指導方針に大きな変更はないが、現況に対応した細かな変更やアップデートがなされていたので、その点についても紹介する。
●文:ヤングマシン編集部(田中淳麿)
- 1 4年目の講習会では細かなアップデートが目立った
- 2 危険予測と認知を養う講習内容
- 3 二輪車利用環境改善部会に関連する記事
- 4 [高校生のバイク問題] 日本二普協のシンポジウムで紹介:バイク通学実施高校“秩父農工”の取り組み
- 5 [バイク駐車場問題] 神戸市に見る、”道路上”を活用した先進的な駐車場の例
- 6 [高校生のバイク問題] 静岡県飛龍高校にOBらがカブを寄贈〈背景には整備士資格検定の改正〉
- 7 [バイク駐車場問題] アキッパが調査結果を報告〈8割以上が駐車場不足を実感〉
- 8 [バイク駐車場問題] 駅近の駐輪/駐車場事情:小田急電鉄編〈高架下や法面脇に駐車場を設置〉
- 9 [高校生のバイク問題] 埼玉県は“特定原付”の周知/啓発に自転車講習会の場を活用
- 10 [バイク駐車場問題] 北海道ツーリングの拠点・札幌の、雪国ならではの課題と対応
- 11 [高校生のバイク問題] 三ない運動を廃止し、交通安全講習会を始めて6年。埼玉県の目的と思いとは?
- 12 人気記事ランキング(全体)
- 13 最新の記事
4年目の講習会では細かなアップデートが目立った
今年度の講習会は例年より少し早めにスタートし、6月から9月にかけて行われた。ここでは、8月22日(月)に大宮自動車教習所で開催された県南部講習会の模様をお届けする。なお、今年度の細かな対応としては次の事柄が挙げられる。
- 参加人数の偏りを防ぐため、学校ごとに受講地区を設定
- モニタリング委員会の議事反映
- 令和3年度の自動二輪車等乗車中の交通事故では特に3年生が多かったため、3年生の免許取得者数が多い秩父地区では、3年生だけを対象とした講習会を早期に開催した
- 県警察本部による講義では、夜間の事故防止対策について加えた
- 実技講習では、右直事故について特に重点を置いた
- 参加生徒へのアンケートの設問/選択肢を細かくした
- 講習会場内での事故に備え、普通傷害保険に加入できるようになった(加入料200円)
危険予測と認知を養う講習内容
変更点について説明する。秩父地区は県内でも唯一、昔からバイク通学が許可されてきた地域であり、バイクに乗る高校生が多い。これまでは秩父地域のみ2つの教習所を借りて毎年計2回開催されてきたが、今年度は地域で分けるのではなく、秩父全域から3年生のみを集めて、6月の今年度最初の講習会に設定した。
また、高校生(16〜18歳)の昼夜別死傷事故データによると、夜間においては2輪車乗車中の割合がぐっと高まる(29%)ことから、県警本部による講義において夜間乗車中の危険性について教えるとともに、危険予測トレーニング(KYT)の中でも夜間を想定した危険認知のためのシミュレーションを実施した。
右直事故においては高校生に限ったことではなく、バイク乗車中における対4輪車事故の中でも出会い頭に次いで多いことが知られている。右折中の4輪車が直進してくるバイクの速度を見誤り衝突、ライダーが第2当事者となるケースが2輪対4輪の右直事故の91%を占めているのだ(交易財団法人交通事故総合分析センター研究発表論文より)。埼玉県の高校生講習でも、教習所内の交差点に四輪車や歩行者を配置し右直事故を想定したシーンを作り、白バイ隊員による右直事故のデモンストレーションを行なったり、横断中の歩行者や右折4輪車などの危険を体感させ、公道走行時の危険予測や素早い認知に役立つように工夫している。
4年目を迎えた埼玉県の高校生講習だが、新型コロナ禍でも粘り強く続け、現況を踏まえたアップデートを行なっている。こうした取組みが他県/他地域でも展開されていくことを、2輪業界も目指している。
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
二輪車利用環境改善部会に関連する記事
人気記事ランキング(全体)
私は冬用グローブを使うときにインナーグローブを併用しています。防寒目的もありますし、冬用グローブを清潔に保つ目的もあります。最近、長年使い続けたインナーグローブが破れてしまったこともあり、新品にしよう[…]
TRIJYA(トライジャ):カフェレーサースタイルのX500 パンアメリカやナイトスターなど水冷ハーレーのカスタムにも力を入れているトライジャ。以前の記事では同社のX350カスタム車を掲載したが、今回[…]
高回転のバルブ往復にスプリングが追従できないとバルブがピストンに衝突してエンジンを壊すので、赤いゾーンまで回すのは絶対に厳禁! 回転計(タコメーター)の高回転域に表示されるレッドゾーン、赤くなっている[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
2018 カワサキ ニンジャ400:250と共通設計としたことでツアラーから変貌(2018年8月30日公開記事より) 2018年型でフルモデルチェンジを敢行した際、従来の650共通ではなく250共通設[…]
最新の記事
- 「新型にも欲しい」650版 KATANA(カタナ)となるSV650/X 短刀(Tanto)が魅力的すぎる
- ヤマハ新型「MT-25」登場! 一部デザイン変更のほかアシスト&スリッパークラッチやスマホ連携を獲得
- ヤマハ新型「YZF-R25」登場! YZF-R9と並ぶ最新デザインの“アーバンスーパースポーツ”【海外】
- 「デカすぎ」「試作車、見たかった」〈幻名車〉2リッター「音魂(OTODAMA)」またの名をV-MAX2000
- 「キミ、暴走族なの?」昭和〜平成前期に〈警察官〉が取り締まりで言いがちだったセリフ5選!──そんな時代もありました
- 1
- 2