イタルジェット ドラッグスター200 ディテール解説【注目のインディペンデントステアリングシステムとは?】

イタルジェット ドラッグスター200

イタルジェットのドラッグスターシリーズが現代に復活! ’95年の発売当時から独自メカニズムを搭載してきた同シリーズだが、やはり目を引くのは、ビックリドッキリメカの「インディペンデントステアリングシステム(I.S.S.)」。本記事では注目のI.S.S.を中心に、ドラッグスターの詳細を解説する。


●まとめ:ヤングマシン編集部(谷田貝洋暁) ●撮影:長谷川徹 ●取材協力:金城IVY Racing ●外部リンク:MVアグスタ

イタルジェット ドラッグスター 詳細解説

スタイリング

【’21 ITALJET DRAGSTER 200 FIRST EDITION】■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 181cc 17.7ps/8000rpm 1.58kg-m/7750rpm ■124kg(乾燥) シート高770mm 9L ■タイヤサイズF=120-70-12 R=140-60-13 ●色:アンスラサイト×ホワイト×レッド アンスラサイト×イエロー ブラック×グレー ブラック×マグネシウム(FIRST EDITION限定カラー) ●価格:75万9000円

国内への輸入はMVアグスタジャパンが行う。ファーストエディションのマットブラック×ブロンズは完売したが、赤×白×黒/黄×黒/赤×黒などが順次登場する。

ライディングポジション

小径ホイールのおかげで770mmとシートが低く、シートもスリム化されているおかげで足着き性はいい。両足の踵までべったりついて、なおかつ膝にも余裕がある。上半身はややコンパクトだ。[身長168cm/体重61kg]

インディペンデントステアリングシステム(I.S.S.)

ブレーキをかけた際、大きくノーズダイブしてキャスター角やトレール量が変わり、それがコーナリング時の挙動変化となって現れるのが、一般的なテレスコピックフォーク。この弱点を克服するために、ステアリングとサスペンションの機構を分割する、というのがハブステアリングの根幹の考え方。イタルジェットのI.S.S.も、もちろんハブステアリングの一種であり、走行時のフロントノーズダイブをはじめとするピッチングモーションが極端に少ない。ドラッグスターシリーズの歴代モデルには、このI.S.S.が搭載されている。

上部から伸びるリンクがステアリングを司り、車体左側の片持ちスイングアーム状のパーツが懸架及びショック吸収を担当。

【狙いはステアリングとサスペンションを切り離すこと】ハンドルを操作すると、スイングアーム状のパーツは動かず、タイヤだけが左右に動く。たくさんのリンクを介すからだろう、一般的なテレスコピックのように”カツン”という切りきった感はない。

フロント12インチの小径ホイールながら、17インチホイールのような高いコーナリングフィールを生み出すI.S.S.。タイヤのグリップに頼るため扁平率を低くし、接地面を稼いでいるようだ。

シャーシ&足まわり

メインフレームには、先代と同様にトレリスフレームを採用。カバー類がないからだろう、跨いでみるとセンタートンネル部分は意外と低めに感じる。

ユニットスイング式だが、リヤショックはモノサスペンション仕様。右上の左右で貫通している円柱はデザイン的なもので、やや後方にタンデムステップがある。

ショックユニットはセンタートンネル部に格納。プログレッシブ効果が使えるので初期で柔らかく、奥で踏ん張るキャラクターも作りやすい。

レギュレートレクチファイヤ/ECU/フューエルポンプなどをあえて見せるデザインが新鮮。2ピストンのリヤキャリパーはブレンボのいわゆる”カニ”。

主要装備

先代ドラッグスターとはデザインがまったく異なるものの、スリットが入れられたグリルは踏襲。ヘッドライトなどの灯火類はフルLED仕様だ。

セパレートハンドルを採用するスポーティなハンドル。ゴールド風カラーが目を引く、ブラック×マグネシウムカラーはファーストエディションのみの仕様。

小ぶりなメーターは、デザイン優先といった感じで、文字も小さめ。表示内容は速度/時計/燃料計/トリップA/Bなど、機能的には必要にして十分。

ウインカーは、前後ともに流れる4灯のシーケンシャルタイプ。フロントはレバーガード内蔵式となっている。ブレーキホースはステンレスメッシュ。

収納式のキーハウジングもトラスデザイン。イグニッション上部にはUSBソケットを備え、左側の丸いビレットパーツは冷却水のキャップになっている。

硬質でスポーティにまとめ上げられたシートは、ステッチもマグネシウムカラーで統一。パッセンジャーシートは、見た目に反して意外に居住性が良い。

デザイン優先でシート下スペースはほぼ皆無。ETC車載器とウエスくらいは入るが雨具は入らないといった程度。赤いキャップは診断プラグ。


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