ホンダGB350の生まれ故郷・インドでは、ロイヤルエンフィールドの「クラシック」が直接のライバルとしてしのぎを削っている。本国版では同じ350ccが展開されているが、現在日本に入荷されているのは500ccのみ。排気量に違いはあるものの、今回のGB350試乗特集企画の一環として、このライバル車の試乗も行なってみた。テスターは引き続き丸山浩氏が務める。
●まとめ: 田宮徹 ●写真: 真弓悟史 ●テスター:丸山浩 ●取材協力:ホンダ ロイヤルエンフィールド[ピーシーアイ]
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ロイヤルエンフィールドに感じる究極のレトロな味
英国発祥ながら、現在はインドメーカーのロイヤルエンフィールド(以下RE)。現在は「クラシック」「バレット」の2タイプで展開されるレトロ系は、本国だと350ccのみが販売されている。つまり、GB350の開発ベースとなったハイネスCB350と、インドでは真っ向勝負するライバルだ。
ただし、いま日本に輸入されているのは500ccのみ。そこで、GB350とクラシック500を比べてみた……のだが、そこにはあまりに大きな乗り味の違いがあった!
クラシックの500ccエンジンは、それまで84×90mmというボア×ストロークを維持しながら、’08年にトランスミッション一体化やアルミシリンダー採用や燃料供給のFI化などで大きくバージョンアップされているのだが、それでもなおかなり古風。振動の多さは、現代としては衝撃的なレベルで、とくに80〜100km/hの領域では手が痺れるほどだ。この点において、GB350とクラシック500は真逆というほど違う。もしかしたら、今のバイクしか知らない若い人がこのバイクに乗ったら面食らう部分があるのかも …。でも、それがクラシック500であり、半世紀前くらいのバイクが持っていた乗り味を新車で楽しめるというのが、GB350にない魅力だと言える。
これは、コーナリングに関しても同様。車体は基本設計が’55年型から受け継がれているのだから、昔ながらで当然。GB350も意外と古風なハンドリングだが、クラシック500はさらにその上を行くクラシカルな手応えで、バイクなりに曲がるという印象だ。
ちなみに、GB350と同じくフロント19インチホイールを履くクラシック500も、直進安定性に優れている。タイヤサイズは、フロントが90/90-19でリヤが110/80‐18。とくにリヤの細さが際立つが、これはダートでの走行性能も考慮したものと思われる。タイヤが太くなると、どうしても路面の影響を受けやすくなるのだ。本国では350cc仕様のみとはいえ、この状態で車体が生き残ってきたのは、いまだに郊外を中心に未舗装路が多いインドの道路事情とも関係があるのだろう。
ただし、クラシック500は’18年型でリヤブレーキをディスク化してABSも搭載するなど、現代技術との融合を拒絶しているわけではない。そのABS制御はだいぶベーシックで、信頼性ではGB350に大きく譲るが、クラシック500のブレーキも制動力そのものは十分にあり、さすがに安全面は考えられている。
振動はともかくとして、クラシックは500ccということで350ccのGBより力強い。ライディングポジションにはちょっとした違和感もあるが乗り心地はよく、トータルして考えると、操ることを楽しむためのバイクというより、旅や移動をするための相棒という立ち位置が見えてくる。これはきっと、長年にわたり市場が受け入れてきた結果なのだ。
いずれにせよ、GB350とクラシック500は同じ時代に違う時間軸を歩んでいるようだ。
REの基本設計は1950年代のもの
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