2021年7月19日~8月9日のオリンピック期間、そして同8月24日~9月5日のパラリンピック期間を対象に、首都高速道路の料金が変更される。ETC搭載車を対象とした夜間割引と、6時~22時を対象に1000円上乗せする2つのパターンがある。物流を止めずに大会のスムーズな運営を狙ったものなのだろうが、バイク乗りとしては若干の不満もある。
●情報提供:首都高ドライバーズサイト
夜間は全車5割引、昼間は4ナンバー車をはじめ物流に関わる車両は影響を受けない
開催されるのかされないのか、開催するとして観客をどうするのかなど雲行きがハッキリしない東京2020オリンピック・パラリンピックだが、ここでそれについての是非をどうこうするつもりはない。しかし、見逃すことができない話題として、都内を走る首都高速のオリ・パラ期間の1000円上乗せというものがある。
首都高ドライバーズサイトで発表されている内容によれば、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における首都高速道路の料金について、道路整備特別措置法第3条に基づき、2020年2月4日に国土交通大臣の事業許可を受けました。東京2020大会については、2020年3月30日に延期後の新日程の発表があり、同年4月20日に開催された第12回輸送連絡調整会議において、首都高速道路の料金施策の適用期間についても、1年後ろ倒しで実施する方針が示されました」というものだ。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中は、夜間(0時~4時)に首都高速道路の全区間の通行料金を5割引きし、昼間(6時~22時)は首都高速道路の都内区間を利用するマイカー等へ1000円の料金上乗せを実施するという。
夜間の全区間/全車種対応の5割引きは誰も文句を言わないだろうから置いておこう。そして好意的に見るならば、昼間の都内区間の1000円上乗せについても、中型以上の貨物自動車や、普通車以下でも事業用登録車や、小型貨物車扱いになる4ナンバー(および6ナンバー、8ナンバー)車であれば料金上乗せの対象外となることから、物流業界に滞りや余計なコストを強いることはなく、問題はないように思える。
ただし、普通車以下の自家用登録車(貨物車両=4ナンバー等を除く)については料金上乗せの対象となる。これについては賛否あるだろう。緑ナンバー(軽は黒ナンバー)でなければ、社用車であろうが問答無用で1000円が上乗せされることになり、障害者手帳の保有者が運転・同上する車両を除くと、特に用途等によって事前申請すれば回避できるといった措置もない。
まあ、事前申請による回避策などはもっと練ってほしいと思うものの、どこかで区切るとしたらこうした形になるのは、ある程度うなずける話と言っていいだろう。
夜間割引・料金上乗せの条件
料金上乗せの範囲(ETC搭載車両)
料金上乗せの範囲(現金車両[ETC非搭載車両])
バイクの高速道路料金を本気で見直してほしい
スッキリしないのは、バイクも“軽自動車等”の扱いで十把ひとからげに対象車とされることだ。もちろん事業用登録の緑ナンバーであれば対象外なのだが、そもそも通行する台数が多くなく、専有面積も小さくて重量による道路へのダメージも最小のはずのバイクが、こうした特別措置の際にも軽自動車と同じ扱いであることには、今一つ納得感に欠けるものがある。
なかなか増えない都市部の駐輪場問題や、軽自動車と同じ“普通車の0.8倍”という高速道路料金がずっと変わらないなど、ライダーたちが普段から感じている不公平感があるからこそ、こうした料金上乗せ区分の話題が出た時にもスッキリと受け入れる気分になれないのだ。
とはいうものの、数が増えてきて車格も大きくなっている軽自動車を普通車と同じ区分にしたほうがいいのでは、という議論もあり、もし本当にそのような変更があるとすれば、バイクの通行料金を独立したものにするという議論は出て然るべきだろう。
万人が納得するルール作りは難しいだろうが、だからといって存在する不利益について黙っている必要はない。
ついでに言えば、首都高の渋滞は緩和されるかもしれないが、一般道がどうなるのかは別の話だ。都内で仕事をする者たちにとって、東京マラソンのように半日だけ我慢すればいいというものではないので、当該期間の都内の移動はなるべく減らすといった対応をせざるを得ないだろう。だが、それができる職種ばかりではないのだ。
車種区分イメージ(ETC搭載車で料金上乗せの対象外となる車種)
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