二輪車利用環境改善部会レポート#23

緊急事態宣言直後から東京都心エリアの通勤通学バイク需要急増【予約制駐車場拡大が鍵】

前回のレポートに引き続き、予約制時間貸し駐車場を運営するakippa(アキッパ)株式会社が行ったアンケート調査結果を元に、新型コロナ禍における通勤通学目的のバイク利用について考察する。

筆者は四輪・二輪駐車場を運営する事業者11社に新型コロナ禍(2〜5月)における利用状況を確認した。すると、駅前や繁華街、路上に至るまで、月極め契約は維持されていたが、時間貸しに関しては利用者数や売上が多くの事業者で減少していた。特に5月は、緊急事態宣言下で自粛が要請され、デパートから個人商店までが店を閉め、多くの会社がテレワークを推奨していたのだから、当然と言えは当然だ。

こうしたネガティブな状況にあって唯一のポジティブと言えたのが、前回でも紹介したakippaによるアンケート調査結果だ(表参照)。宣言解除後の5月下旬からは、新型コロナウィルス流行前の2月に比べて「通勤通学」目的の利用(予約数)が全体で2倍以上に増加した。特に、東京全体では約4倍、都心エリア(千代田区・中央区・港区)に限って言えば約5倍にも増えていた。大阪市北区、福岡市、名古屋市など東京以外の都市部においても増加している地域が多くあった。他の駐車場事業者の状況とakippaによる2・4・5月の通勤通学目的での予約数推移から考えれば、緊急事態宣言下ではテレワークの推奨や店舗休業の影響もあり、「全体の駐車場利用者数は減少していたが、通勤通学目的の利用に関してはむしろ増えていた」ということになる。

駐車場予約時の利用目的アンケート ※akippa株式会社調べ ●エリア:全国 ●対象:利用目的が「通勤通学」と回答したakippaユーザー ●期間:2020年2月4日(火)~6月1日(月)のうちの対象期間の予約

この調査結果についてakippaはこう分析(推測)する。

意識変容と行動変容

  • 感染拡大時に続き、新しい生活様式でも公共交通機関を避けて安全に移動したいと考える人が一定数いた
  • 企業によっては「専用駐車場がない」等の理由から、以前は原則公共交通機関の利用となっていたが、車両による通勤が急遽認められた

予約制のメリット

  • 都心部のビジネス街では駐車場の数が足りていないため、「予約ができる」駐車場需要が増えている
  • 駐車場が事前に予約できるため、出勤時に職場周辺のコインパーキングを探したり、満車を心配することなくスムーズに出社できる
  • コインパーキングに比べ料金が約2割ほど安く、利用しやすい
  • 駐車場利用後に領収書の発行も可能なため、企業で経費精算しやすい

アンケートの回答には「会社から車通勤するように言われた」「在宅勤務が終わったが不安なため車通勤をしている」といった声もあった。また、akippaは、やむを得ない移動やWithコロナでも使える駐車場クーポンを6度に渡り配布し、利用者も一定数いたということだ。

通勤・通学などやむを得ない移動に感染対策が必要な現在、上のような利用者アンケートを取れることも含め、予約制駐車場の価値が高まっていると言えるだろう。


●文:田中淳磨(輪) ●取材協力:akippa ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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