ディスプレイや通信システムを内蔵し、情報を視界に映し出す「スマートヘルメット」。海外では徐々に市販され始めているが、いま最も実用的で、国内販売が間近に迫っている製品が日本のベンチャー企業による「X-1」 だ。クラウドファンディングで大きな話題を集めたのは既報の通り。さっそく実物を体験してみた。
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スマートフォンとワイヤレスで繋がり、ライダーの視界に情報や映像を映し出したり、音声で情報を届けたりしてくれるスマートヘルメット。さまざまな製品が試作されつつも、なかなか日本国内では実用化に至っていない[…]
19万円を切るプライスでスマートヘルメットが手に入る
「自分が思い描くヘルメットをつくりたかったんです」と話すのは、X-1を開発/販売するボーダレス社のCEO・大野新氏だ。ヤマハ車などのデザインを手掛けるGKダイナミクスの元デザイナーで、自らツーリングを楽しむ中、「バイクに対してヘルメットの進化は遅れている」「自分が被りたいデザインのヘルメットがない」と常々感じていた。その後に起業し、理想のヘルメット開発をスタートした。これが’14年の出来事。試行錯誤を重ね、ついに’19年末から北米でX-1の市販に漕ぎ着け、日本でも現在クラウドファンディングで注文受付中だ。
X-1はリヤカメラを搭載し、中央のHUD(ヘッドアップディスプレイ)に後方の映像やナビなど情報を投影する、まさに未来のヘルメット。特徴は、帽体と電子デバイスをパッケージとして開発した点だ。ほぼすべての現行スマートメットは、既存の帽体にHUDを後付けしたものだが、X-1はデザインをはじめ、調整やメンテナンス性も考慮した統合設計となっている。
実走は叶わなかったが、ほぼ市販版を体験してみた。後方カメラの映像が感覚的には横幅6~7cmで上方に浮かんで見える。視界をジャマせず、情報を得たい時だけ見ることが可能なので、クルマのルームミラーに近い印象だ。起動から20分程して画面にノイズが出たのが気になったが、これは停止状態でCPUに熱がこもるのが原因。走行して空冷すれば解消されるという。価格は19万円を切り、現実的。「未来」を体験できる日はもうすぐだ。
X-1を実際に体験!
まずはスイッチをON
帽体下の電源スイッチを押すと、シールドベースに内蔵されたLEDが光る。帽体の重さは一般的なシステムメットと同様で違和感なし。耳を包み込むスピーカーと一体化した頬パッドの着用感が特徴的だ。
スクリーン角度を調整
20秒もするとHUDにリヤカメラの映像が映し出される。ユニット(黒い箱状の部分)を動かして、見えやすい角度に調整可能。映像は非常に鮮明だ。
スマホアプリとコネクト
無料の専用アプリを使って、スマホとX-1 を連動(iOS とアンドロイドに対応)。ナビとグループトーク機能などを備える。
シールドベースをタッチして操作する
左側シールドベースはタッチパネル! 。音楽などをタップで再生&停止でき、上下のスワイプでボリュームをコントロールできる。統合開発ならではの機能だ。
矢印や分岐までの距離も表示
後方映像のほか、スマホと連動したナビ情報を表示。矢印&分岐点までの距離、天気、バッテリー状態などを示す。デモ動画では、トンネル内や夜間でも後方カメラの映像がしっかり映し出されていた。
新宿のボーダレス社には、出荷待ちのX-1 がズラリ。3月の東京MCショーでは、体験ブースを出展し、限定で即売も行う予定だったが、あえなく開催中止になった経緯がある。
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