ハーレーダビッドソン埼玉花園に依頼

ハーレーチューニング:インジェクション調整とカム交換を同時に行うススメ

  • 2019/12/10
インジェクションチューニングも得意なハーレーダビッドソン埼玉花園

現代のハーレーダビッドソンは、すべてのモデルがインジェクション仕様だ。以前のキャブレターはアナログ式だったが、インジェクションはデジタル方式で、その制御はコンピューターが担っている。今回、ミルウォーキーエイトの4バルブ化された最新エンジンのインジェクションチューニングを行うと同時に、カムも交換することにより中〜高速域のパワーアップを図る。作業はハーレーダビッドソン埼玉花園に依頼した。

ミルウォーキーエイトエンジンの潜在能力を引き出すチューニング

最新のエンジンであるミルウォーキーエイトは、スタンダードが107キュービックインチ。つまりノーマルでも1745ccもの排気量がある。その性格は、発進時から大きくフラットなトルクフィーリングで、古いハーレーのイメージも表現しながら現代的な走りが楽しめるという評価だ。しかし、実はこのエンジンにはもっと潜在的な能力がある。

今回使用した最新型ブレイクアウトと工場長の根岸さん
(上・下左)今回チューニングを施したのは、最新型のブレイクアウト。新車からしばらくはエンジンの慣らしをかねた走行をして、その後にカム交換とインジェクションチューニングを施した。
(右下)ハーレーダビッドソン埼玉花園・工場長の根岸文隆さん。経験豊富なメカニックでユーザーからも信頼されている。温厚な性格で、仕事は正確。チューニングも得意分野だ。

最新の4バルブ化されたエンジン構成は、本来なら中速域から高速域のパワーアップに有効な手段なのである。しかしノーマルエンジンに採用されているカムシャフトは、いわゆるローカムと言われる低速域のスムーズさを強調したもの。それはそれで乗りやすいイメージではあるものの、ツインカム時代に比べると、追い越し加速のフィーリング等に不満の声も寄せられるというのが現状なのだ。

では、チューニングにカム交換という作業を組み込むことで、さらに魅力的なエンジンになるのではないだろうか。その答えはイエスである。ハーレーでは純正のチューニングパーツとして、様々な性格のカムシャフトを用意しているのだ。それは、トルク重視のものから、ピークパワーの増大を目的にしたものまで、ユーザーが選べるように何本もラインナップされている。

ハーレーダビッドソン埼玉花園では、「IPF(イチカワ・パフォーマンス・ファクトリー)」として多くのチューニングを長年手掛けているので、その積み重ねたデーターは膨大。チューニングは、ユーザーとのディスカッションを経て、求められている性格に忠実なエンジンフィーリングを追求することに情熱が注がれる。

チューニング前と後のグラフ
チューニング以前が赤、チューニング後は青い罫線で描かれたグラフ。右肩上がりなのがパワーカーブでもう一つはトルクカーブである。元々、乗りやすい性格のエンジン特性に、力強さを大きくプラスしたことが視覚でも判断できるのがこのグラフだ。パワーは95馬力に到達しているがトルクやパワーに谷の部分はなく、最高の仕上がりと言える。

カム交換作業の全工程

チューニングとは、単なるパワーアップではなく、究極の調整でもある。カム交換は「ステージ2」と呼ばれる作業。今回はその作業工程の全てを、つぶさにレポートする。

カム交換でセットされているパーツの全て
カム交換でセットされているパーツのすべて。カムシャフトとプッシュロッドが4本。そしてプッシュロッドカバーも用意されている。カンバーはブラックの一色のみ。
カムとプッシュロッド
(左)左がノーマルカムシャフトで、右がトルク重視用のチューニングカムシャフト。カムの形状を見ると、右のほうが長くバルブに作用していることがよく分かる。
(右)交換するプッシュロッドは、長さを調整するタイプ。短い状態で挿入する。このパーツに交換することで、ロッカーアームボックスを取り外すことなく、カム交換ができるのだ。
作業の手始めにマフラーなどの取り外し
(左)作業の手始めは、マフラーやエアークリーナー等の取り外し。エンジン単体が完全に露出する状態にしてから、次の作業へと移行する。エンジンは冷えている状態なのが鉄則だ。
(右)エンジンオイルを抜いてから、エンジン左下のカムカバーを取り外す。ここにもエンジンオイルは溜まっているので、外れた際には少量のエンジンオイルが流れ出る。
ノーマルプッシュロッドをカットする
(左)カムを取り外すには、カム自体が完全にフリーな状態であることが重要なので。ここでノーマルのプッシュロッドはカットしてしまう。このプッシュロッドは使用しないのだ。
(右)カッターで切断されたノーマルプッシュロッド。中は中空でオイルが取る通路になっている。調整式ではないので、カム交換後は使用しない。廃棄処分となるパーツだ。
カムホルダーとカムシャフトの取り外し
(左)プッシュロッドを4本共に切断し、取り出した後は、カムホルダーを取り外す。もうカムシャッフトにテンションがかかっていない状態なので、外すことができるのだ。
(右)いよいよカムシャフトを取り外す。そのまま引き抜けば簡単に外れるが、次に挿入するカムシャフトも同じ回転位置に挿入しなくてはいけないので、合わせマークを記録しておく。
新しいカムシャフトとプッシュロッドを入れる
(左)新しいカムシャフトを同じ回転位置に挿入したら、カムホルダーで固定。取り付けボルトは、マニュアルに明記されているトルク値を守って締め込む。
(右)使用するプッシュロッドは、一番短くした状態で挿入。各々が完全にバルブフリー(閉まっている状態)の位置で、適正値の長さに調整。メカニックの勘が冴える作業だ。
プッシュロッドの長さ調整〜作業終了
(左)プッシュロッドの長さ調整は、アジャストスクリューとロックナットで行う。基本的には、一度調整してしまえば、ずっとそのままでまったく問題無い。
(右)カム交換作業が終了したら、カムカバーを取り付ける。もちろんガスケットは新品に取り替えて、ボルトは規定トルクで締め付ける。

※取材協力:ハーレーダビッドソン埼玉花園

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ウィズ ハーレー編集部

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編集者とユーザーが“一緒に”ハーレーという乗り物を楽しむために誕生した、ハーレーダビッドソン専門誌が「WITH HARLEY(ウィズ・ハーレー)」だ。誌名を公募および投票で決定するという新しい試みに挑んだ結果、ウィズ・ハーレーに決定した。