暗闇に遠くから幾多の光芒が射す。あるものは一際強い光を放って過ぎ去り、あるものは留まり今も輝き続ける。――過去半世紀に及ぶ二輪史において、数々の革新的な技術と機構が生み出された。定着せず消えていった技術もあれば、以降の時代を一変させ、現代にまで残る技術もある。しかし、その全てが、エンジニアのひらめきと情熱と努力の結晶であることに疑いはない。二輪車の「初」を切り拓き、偉大なる足跡を残した車両を年代順に紐解いていく。
※本稿で取り挙げる「初」は、“公道走行可能な量産二輪市販車”としての「初」を意味します。また、「初」の定義には諸説ある場合があります。
世界初100ps超/国産初6気筒「超弩級、24バルブのモンスター」HONDA CBX[1978]
1970年代後半になると、リッター4気筒が当然の時代に突入。ホンダはこれに代わる旗艦の模索をしていた。その結論の一つが空冷6気筒1000ccのCBXだ。6気筒は既に先達がいたが、ハイテクのDOHC4バルブはCBXが世界初となる。また、100psの大台を初めて突破した公道モデルとなった。モチーフは、ホンダが1960年代のWGPで連戦連勝を果たした6気筒250ccのRC166。排気量こそ4倍だが、カムシャフトの熱歪みや振動対策など細かい手法までRCに準じた。コムスターホイールや高額なジュラルミン鍛造パーツなども話題を呼んだが、何より6発による美しい外観がライダーを魅了。大ヒットこそしなかったが、歴史に偉大な足跡を残した。
「重厚長大、120psのプレミアムツアラー」KAWASAKI Z1300[1979]
CBXからやや遅れて、同じく直6を搭載するZ1300が世に送り出された。空冷1047ccのCBXに対し、水冷を採用。国産最大の1286ccという大排気量を与え、装備重量300kg超、最高出力は120psを誇る。ただし、スポーツ車のCBXと性格は異なり、シャフトドライブを与えるなど高級ロングツアラーとして開発。短命だったCBXの一方で、10年以上生産される息の長いモデルとなった。
’70年代ビッグバイクは百花繚乱
CB750フォア、Z1の大ヒットを経て、1970年代後半になると次世代機の1000ccモデルが続々投入された。Z1の改良強化型であるZ1000Mk.IIをはじめ、国内最大の1110ccに到達したXS1100らが話題に。中でもDOHC4バルブの先進メカと流麗なスタイルで登場したCB900F/750Fは当時最大のヒット作となった。
「徹底改良したZ1系の集大成」KAWASAKI Z1000Mk.II[1979]
1977年、Z1が全面変更を受け、903→1015ccにスケールアップしたZ1000に進化。これにさらなる改良を加えたのがマークIIだ。動弁系パーツやキャブの変更で馬力をアップしたほか、二重構造のダウンチューブで骨格も強化。Z1の集大成と言える存在だ。角型に一新した硬派なデザインも好評を博した。
「ビキニカウル装着、仮面の騎士」KAWASAKI Z1R[1978]
Z1000をベースに、流行のカフェスタイルを採用。角形基調ながらマークIIとも一線を画す流麗な外装が際立つ。集合マフラーや同社初のキャストホイールも目玉。
「待望のDOHC4バルブ獲得」HONDA CB900F[1979]
CB750フォアを継ぐ次世代スーパースポーツとして1979年、CB-Fが投入された。軽量なシャーシにホンダ初のDOHC4バルブ直4を搭載。さらにコムスターホイールやトリブルディスクブレーキ、可変減衰力のFVQダンパーなど、欧州の耐久選手権で無敵艦隊と呼ばれたRCBのノウハウを随所に反映した。
「衝撃を与えた、ヤマハ初の4気筒」YAMAHA XS1100[1978]
大排気量&多気筒化の時代に、独自路線を歩んでいたヤマハが初の4気筒かつオーバー750モデルとして投入。当時の国産最大となる1101ccで強烈なインパクトを与えた。95psは、CBXが登場するまで世界最強。一方でシャフトドライブを採用し、ツアラー的な性格も有していた。
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