世界で活躍するライダー渡辺学選手がアドバイス! サスペンションセッティングにトライ

「プロライダーから学ぼう」オフロードモデルサス調整はこれでOK!渡辺学の『スキルアップ・ラボ』 #ゴー・ライド

  • 2019/11/14

オフロードライディングにおいて重要度は高いものの、「サスペンション」「セッティング」といったワードにハードルの高さを感じるのでは? そこで今回はサスペンションセッティングの初歩を手ほどき。前号のポジションと合わせて、より乗りやすい愛車に仕上げていこう。

フォーク突き出し変更、リヤアスクル調整も!ワタナベマナブのオフロードライディングスキルアップ・ラボ後編

オフロード総合誌『オフロードマシン ゴー・ライド』(偶数月6日発売)から、世界的ライダー渡辺学選手のメンテナンスコーナー『SKILL UP LAB.』の後編をお届けしよう。今回もサスペンション関連とそのセッティングが中心で、フォークまわり、チェーン、アジャスターなど重要なポイントがいくつもある。

ツイスターレーシング 渡辺学:2019年のJNCCシリーズAA1ではランキングトップを独走中。いっぽうで若手モトクロスライダーの育成とチームを運営。さらにヒーローズエンデューロなど、ローカルレースにはアドバイザーとしても参戦!! と、奔走中のマナブ主任。今年はISDEにも参戦。blog.livedoor.jp/manabuda_4

Tips.2フォークの突き出し量を変更してみよう

フォークの突き出し量変更は、バイクの操縦安定性を好みに近づけるのに有効だ。マナブ主任は「突き出し量を増やしてフロントを下げたほうがコーナーで曲がりやすく、取りまわしも軽く感じると思います。スピードレンジが低いエンデューロではコンパクトに曲がりたいシーンが多いので有効でしょう。その反面、重心がフロント寄りになり、細かい振動も受けやすくなります。その場合、リヤのサグを数ミリ増やしてバランスさせる必要もでてきます。好みもありますが、三つ又のボルトをゆるめるだけでできるセッティングなので、試してほしいですね」

バイクをセンタースタンドに載せた状態で作業を行なう。調整するにはトップブリッジとロアクランプのボルトをゆるめるだけ。

今回は突き出し量の変更のみなので、前輪は装着したまま。まずは片側だけ狙った突き出し量に調整。三つ又のネジを仮止めする。

写真上が突き出し量0㎜、写真下が突き出し量10㎜ 突き出し量は、トップキャップがトップブリッジとツライチ~トップキャップがハンドルに干渉するまで、の間で調整できる。

どれくらい突き出したかをチェックし、もういっぽうのフォークの突き出し量と合わせる。マナブ主任のYZは突き出し量10㎜。

フォークのボルトは必ずトルクレンチを使用し、規定トルクを厳守。オーバートルクはサスの動きに悪影響を与えてしまうので厳禁だ。

Tips.3フォークねじれはサスがちゃんと動かない

転倒などによってフォークがねじれていると、フロントサスペンションは正常に機能しない。修正するにはアクスルのナットをゆるめ、フォークを数回ストロークさせるなどでねじれを正す。再度、適切な締め付けトルクで固定する。シールやブッシュの磨耗を低減させるにも有効なのだ。

モーションプロ フォークアライメントツール 価格◎5000円(税抜き)

フロントフォークのアライメントをチェックできるツール。フェンダーが視界に入り診断が難しい項目だが素早く簡単に診断できる。多くのモトクロス・オフロード車に対応。

Tips.4フォークのエア抜きも忘れずに

フロントフォーク内の内圧が高くなると、サスを硬く感じることがある。それを防ぐためにモトクロッサーにはブリーディングキャップが装備されている。学主任はモトクロスの時は朝一と昼に。エンデューロではスタート前に開放してフォーク内を大気圧にする。抜いてあげるだけでフォークに落ちつきもでてくる。

倒立フォークのトップキャップには、圧側アジャスターのほかにエア抜き用バルブもあり、ゆるめてプシュッと空気が出ればOK。作業はモトクロススタンドなど、前後輪を浮かせた状態で行なう。

Tips.5 リヤアクスル位置でもセッティング

マナブ主任はリヤアクスルを前後させてセッティングすることもある。
「モトクロスレースの時はコンディションごとに調整していました。サスに体を合わせるのが苦手でしたが、後方にするほど挙動がゆるやかに感じられ、滑る路面ではコントロールしやすくなる。ただ後方に引く場合はチェーンのコマ数を増やさないといけないので、面倒なのですけどね。エンデューロ競技では、ほぼ中央に合わせることが多くなりました。モトクロスに比べると速度域が低いし、クイックに動けたほうが、対応できるセクションが多く、楽になる気がします」

チェーン調整も欠かさないこと

チェーンを張り過ぎると抵抗になりロス。サスの動きにも悪影響を与える。そこで、泥がチェーンに噛み込みそうなコンディションでは、ゴミ噛みも想定して、ほんの少し余裕のある張り調整をする。そんな微妙な調整で活躍するのがこのアイテム。たとえば、中央部で30㎜が適正なチェーンのたるみ(遊び)であるなら、マッドな時は35㎜に合わせる、といった具合に細かい測定が可能だ。

モーションプロ スラックセッターPRO チェーンテンション・セッティングツール 価格◎3600円

あいまいになりがちなチェーンのたるみを正確かつ迅速に測定できるツール。適切なチェーンのたるみ量と作業手順は、愛車のサービスマニュアルを参照すること。

Tips.6 サスのアジャスターはスタンダードがベース

レーサーであればほぼすべての車種。トレール車では一部のモデルで、サスペンションの減衰圧調整ができる。ダンパーの動きを速めたり遅らせたりすることで、自分が乗りやすく感じる仕様に調整するわけだ。

マナブ主任の場合、一度サスが決まったら基本的には1シーズン変えない。「ただし糸魚川やほおのきのようなスピードレンジが高い場合は減衰圧を2 ~ 3ノッチ(クリック)硬めにします。スタンダードの位置をメモっておけば、元に戻せるし、お金もかからないので楽で実のあるメニューだと思いますヨ」。

リヤショックのアジャスター

写真上が伸側、下が圧側 YZ250Xの場合、リザーバータンクのアジャスターが圧側。低速側(ゆっくりな動きの時の短く入るスピード)はマイナスドライバー。高速側(瞬間的に大きく入るスピード)はスパナで調整する。入ったサスが戻ろうとするスピードの調整は伸側で、アジャスターはショックユニットの下側に装備されている。

フロントフォークのアジャスター

写真上が伸側、下が圧側 YZ250の場合、フォークのトップブリッジ側のトップキャップ中央に圧側、ボトム側に伸側のアジャスターが装備されている。トップキャップ側はエア抜き用ブリードボルトと2つネジがある(ほとんどのモデルで刻印があるため、間違うことはないだろう)。ボトム側は泥など異物を掃除してから調整する。

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ゴー・ライド編集部

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