ワタナベマナブのオフロードライディング『SKILL UP LAB.スキルアップ・ラボ』

【サスセッティング編】ワタナベマナブのオフロードライディング 『SKILL UP LAB.』スキルアップ・ラボ #ゴー・ライド

オフロード総合誌『オフロードマシン ゴー・ライド』(偶数月6日発売)から世界的ライダー渡辺学選手のメンテナンスコーナー『SKILL UP LAB.』の登場だ。今回は重要度の高いサスペンション関連とそのセッティングを2回にわたりお届けする。オフロードライディングにおいて重要度は高いものの、「サスペンション」「セッティング」といったワードにハードルの高さを感じるのでは? そこで今回はサスペンションセッティングの初歩を手ほどき。前号のポジションと合わせて、より乗りやすい愛車に仕上げていこう。

サスのセッティングにトライ! ワタナベマナブのオフロードライディング 『SKILL UP LAB.』スキルアップ・ラボ

【渡辺学】2019年のJNCCシリーズAA1ではランキングトップを独走中。いっぽうで若手モトクロスライダーの育成とチームを運営。さらにヒーローズエンデューロなど、ローカルレースにはアドバイザーとしても参戦!! と、奔走中のマナブ主任。今年はISDEにも参戦。blog.livedoor.jp/manabuda_4

乗りやすい足まわりへセットアップする方法

ポジションセッティングをさらに一歩進めて“サスペンションセッティング”へ。愛車とのシンクロ率を高めれば、安全でスムーズ、いっそう楽しくライディングができる。マナブ主任にセットアップ手順を聞く。
「たとえば新車ならば、リヤサスのサグを合わせるところからはじめます。車種や年式で異なると思いますが、僕の場合、ずっとYZに乗ってきているので、リヤサスのサグは約100㎜。フォークの突き出し量は10㎜。前後サスのダンパーはスタンダードのまま(テクニクスでモディファイ済み)。と経験から数値を合わせます。この状態で乗りこんで、チェーン引きやサグ、ダンパーを微調整。決まれば1年とおして変更することはありません。

経験がない人でも、サスはイジって好みを探っていったほうがいいと思います。⒈リヤサスのサグの調整。⒉フロントフォークの突き出し量。⒊前後サスのダンパー調整。⒋リヤアクスルの前後調整。の4つはコストもかからずセッティングできます。突き出し量の調整は、1㎜単位ではなく、0㎜、5㎜、10㎜の3つから好みを探し、必要に応じて煮詰めていく。ダンパーの調整も1クリックの微妙な変更ではなく、3クリックずつ動かして探っていく。変化を分かりやすくさせたほうが、セッティングも出しやすいと思います」。

セッティングビギナーはドツボにハマりそう……と敬遠されるかもしれないが、スタンダードのスペックさえメモっておけば、いつでもノーマル(デフォルト)に戻せる。変更した毎にフィーリングを記録し、データを蓄積してくことがベストセッティングにつながる。

Tips.1リヤサスのサグを出す

車体のセットアップの第一歩がリヤサスのサグ出し。この作業でサスペンションを自分の体重に合わせることができる。サグは乗車時の沈み込み量を空車時と比較し、規定値に合わせる(100㎜前後になる場合が多いが、詳細は愛車のマニュアルを参照)。合わせる方法はリヤショックのスプリングで行なう。マナブ主任は「シーズン前に一度決めたら、あとは変更しません。シーズン中はスプリングにヘタりがないかの確認で、サグを再測定します。体重に合わせることが基本ですが、サスをたくさん動かしたいならサグを多め、ジャンプが得意な人ならサグを少なめにセットすることもあります。標準のサグで好みの仕様にならない場合は、検討してもいいでしょう」

モーションプロ ショックスパナ パンチ 価格◎3400円(税抜き)

リヤショックのロックリング・プリロードリングを回すためのツール。グリップ部はハンマーで叩ける仕様。先端は真鍮製となっており打撃による本体破損を防ぐ。●ヤザワ ☎03-5763-0281 www.yazawainc.com

モーションプロ サグスケールⅡ 価格◎6300円(税抜き)

サスペンションのサグ出しをするツール。20㎜までの中空アクスルに固定できる下端形状で、あいまいになりがちな測定値の精度を向上。折りたたみ式のため収納も便利だ。
サグの調整はリヤショックのスプリングにて。まずはロックリングをゆるめる。フックレンチが入りにくいことが多いが、ショックスパナレンチを使うとナットを傷めず回すことが可能。
ロックリングがゆるんだら、スプリングを握って回転させ調整する。その都度、サグを測定し、適正なサグになるまでスプリングを回してセッティングする。
マジックなどでマーキングし、回した回数を分かりやすくする。「スプリングを1回転締めれば2.5㎜縮まる」。といった数値が分かれば作業も容易。1. 25㎜縮めるには半回転でいい。

手順1 まずは空車時で測定

まずはバイクをモトクロススタンドに載せ、前後タイヤを地面から浮かせる。この状態で空車時(0G)の数値を測定。アクスル軸~サイドゼッケン先端の長さを計る。

手順2 乗車時との差が100㎜になるように

スタンドからバイクを降ろす。ヘルメットやブーツなど、装備重量を含めた状態で乗車し、サスが沈んだ量を測定(1G)。その数値が規定値になるまで、スプリングを回して調整していく。

いっぽう、アッパー側はボルトの中心やパーツの凸部分など、分かりやすい位置で測定する。今回はサイドゼッケンの先端で測定した。
サグスケールのアクスル側は円錐状のピンになっており、ズレることはまずない。簡単に正確な数値を測定できるのだ。

いつでもどこでも動きが分かるサスのほうが乗りやすい。エンデューロやトレールマシンでは、はじめてのセクションやルートでも予測しやすいサス・車体が理想だ。納得できるまでセットアップしていこう。

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