オフロードライディングにおいて重要度は高いものの、「サスペンション」「セッティング」といったワードにハードルの高さを感じるのでは? そこで今回はサスペンションセッティングの初歩を手ほどき。前号のポジションと合わせて、より乗りやすい愛車に仕上げていこう。
フォーク突き出し変更、リヤアスクル調整も!ワタナベマナブのオフロードライディングスキルアップ・ラボ後編
オフロード総合誌『オフロードマシン ゴー・ライド』(偶数月6日発売)から、世界的ライダー渡辺学選手のメンテナンスコーナー『SKILL UP LAB.』の後編をお届けしよう。今回もサスペンション関連とそのセッティングが中心で、フォークまわり、チェーン、アジャスターなど重要なポイントがいくつもある。
Tips.2フォークの突き出し量を変更してみよう
フォークの突き出し量変更は、バイクの操縦安定性を好みに近づけるのに有効だ。マナブ主任は「突き出し量を増やしてフロントを下げたほうがコーナーで曲がりやすく、取りまわしも軽く感じると思います。スピードレンジが低いエンデューロではコンパクトに曲がりたいシーンが多いので有効でしょう。その反面、重心がフロント寄りになり、細かい振動も受けやすくなります。その場合、リヤのサグを数ミリ増やしてバランスさせる必要もでてきます。好みもありますが、三つ又のボルトをゆるめるだけでできるセッティングなので、試してほしいですね」
Tips.3フォークねじれはサスがちゃんと動かない
転倒などによってフォークがねじれていると、フロントサスペンションは正常に機能しない。修正するにはアクスルのナットをゆるめ、フォークを数回ストロークさせるなどでねじれを正す。再度、適切な締め付けトルクで固定する。シールやブッシュの磨耗を低減させるにも有効なのだ。
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Tips.4フォークのエア抜きも忘れずに
フロントフォーク内の内圧が高くなると、サスを硬く感じることがある。それを防ぐためにモトクロッサーにはブリーディングキャップが装備されている。学主任はモトクロスの時は朝一と昼に。エンデューロではスタート前に開放してフォーク内を大気圧にする。抜いてあげるだけでフォークに落ちつきもでてくる。
Tips.5 リヤアクスル位置でもセッティング
マナブ主任はリヤアクスルを前後させてセッティングすることもある。
「モトクロスレースの時はコンディションごとに調整していました。サスに体を合わせるのが苦手でしたが、後方にするほど挙動がゆるやかに感じられ、滑る路面ではコントロールしやすくなる。ただ後方に引く場合はチェーンのコマ数を増やさないといけないので、面倒なのですけどね。エンデューロ競技では、ほぼ中央に合わせることが多くなりました。モトクロスに比べると速度域が低いし、クイックに動けたほうが、対応できるセクションが多く、楽になる気がします」
チェーン調整も欠かさないこと
チェーンを張り過ぎると抵抗になりロス。サスの動きにも悪影響を与える。そこで、泥がチェーンに噛み込みそうなコンディションでは、ゴミ噛みも想定して、ほんの少し余裕のある張り調整をする。そんな微妙な調整で活躍するのがこのアイテム。たとえば、中央部で30㎜が適正なチェーンのたるみ(遊び)であるなら、マッドな時は35㎜に合わせる、といった具合に細かい測定が可能だ。
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Tips.6 サスのアジャスターはスタンダードがベース
レーサーであればほぼすべての車種。トレール車では一部のモデルで、サスペンションの減衰圧調整ができる。ダンパーの動きを速めたり遅らせたりすることで、自分が乗りやすく感じる仕様に調整するわけだ。
マナブ主任の場合、一度サスが決まったら基本的には1シーズン変えない。「ただし糸魚川やほおのきのようなスピードレンジが高い場合は減衰圧を2 ~ 3ノッチ(クリック)硬めにします。スタンダードの位置をメモっておけば、元に戻せるし、お金もかからないので楽で実のあるメニューだと思いますヨ」。
リヤショックのアジャスター
フロントフォークのアジャスター
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