カワサキに新型トレールモデルが待望のデビュー。ゴー・ライド編集長がテストライド

取りまわしやすいコンパクトボディ!! 10年ぶりのデュアルパーパスとなるKLX230が登場 #ゴー・ライド

  • 2019/11/12

KLX125以来、10年ぶりのデュアルパーパスとなるKLX230が登場した。水冷250ではなく、空冷エンジン、230という中間排気量を採用しているのはなぜか? その真意を探るべく、一般公道、林道、オフロードコースでKLX230を、本誌編集長小川がテストライドしてみた。

闘う4ストから楽しむ4ストへ!令和のKLXはだれにも扱いやすい!!

KLX230の諸元表を初めて見た時に、空冷というエンジン冷却方式と885mmというシート高を二度見した。排ガス規制が厳しくなったというのに、空冷エンジンで対応できるということ、さらに排気量が230ccという中間排気量であるにも関わらず、シート高はフルサイズ250と変わらない高さになっていることに疑問を感じたからだ。そこで、試乗前にKLX230のエンジン開発者・城﨑孝浩さんに聞いてみると、

「すごく余裕があるわけではないですが、完全新設計のエンジンなので、空冷でもユーロ4に対応できます。また、空冷SOHC2バルブは構造がシンプルなので、軽量でメンテナンス性にすぐれるというメリットもあるんです」という。230ccという排気量を採用した理由については、開発責任者の和田浩行さんが説明してくれた。

ストリートモデルはライムグリーンとエボニーの2カラー

「東南アジアでKLX150というデュアルパーパスが大人気なのですが、よりオフロード性能を高めたモデルを求める声が大きくなっています。ただ、250だと現地価格が高くなってしまうのです。その一方でアメリカでは、ナンバーなしモデルでのオフロードライディングが人気です。しかし、モトクロッサーKX250では性能が高すぎるという声が寄せられるようになってきました。そうした意見をまとめて、だれもがオフロードライディングを楽しめるモデルを作る、というのが、KLX230の開発スタートになりました。

シンプルな空冷エンジン、しなやかな乗り味の正立フロントフォークを採用して、コスト面とオフロード性能のバランスを追求していった結果、排気量は230㏄になったのです。開発テストではだれもが扱いやすいオフロード性能にこだわり、それはナンバーなしのKLX230Rとして完成しました。そしてそのオフロード性能を損なうことなく、各種規制をクリアさせたのがKLX230なのです」という。

足着き性チェック シート高885mmは、セロー250の830mm、CRF250Lの875mmよりも高くなっている。ライダーは身長172cm体重63㎏で、片足を着くとカカトが軽く浮き、フルサイズ250に近い感じとなる。しかし、シート、ハンドル、ステップの位置がよく、ヒジやヒザに窮屈さのないリラックスしたライディングポジションが自然と決まるのだ。

230ccという排気量から、セローのライバルと思っていたが、どうやらそれはこちらの勝手な想像だったようだ。

「セロー250と直接比較した開発はしていないのと、セロー250を所有したことがないので、私のイメージになりますが、セローはトコトコ走るトレッキングが大得意。KLX230もゆっくり走れますが、もう少し速いスピード域で、オフロード初中級者がオフロードライディングを楽しめるマシンとして開発しました」と和田氏はいう。

KAWASAKI KLX230 価格:45万円(税抜き) 発売中

オンオフで扱いやすく、「走る」!

その話しを聞いてからKLX230に試乗してみると、885㎜のシート高もすぐに納得できた。足着き性のカコミにも書いたが、ライディングポジションに窮屈さがないのだ。それでいて車体はコンパクトだから、マシンとの一体感もすごく感じられる。

さらにアクセル開け始めから太いトルクが立ち上がるので、アクセルを全閉にしなければ荒れた林道でもトコトコと走破していけた。そこからアクセルを開けていけば、トルクはさらに太さを増していき、車体をしっかりと加速させる。しかし、この時のトルクの立ち上がりが急すぎないので、林道やオフロードコースといった滑りやすい路面でもマシンが振られにくく、マシン挙動の予想がしやすいから怖さを感じにくいのだ。試乗会場のオフロードコースでは、すこしペースを上げて走ってみたけれど、前後サスは路面からの衝撃をしっかりと吸収し、リヤタイヤのグリップ状態も体感しやすかった。純正タイヤはオンオフのトレールタイヤだったので、浮き石やマディ路面では車体が振られることもあったが、フレームの剛性としなりのバランスがいいおかげで、アクセルを開ければマシンは直進性を発揮し、バランス修正がしやすかった。

230ccのエンジンは19psと控えめな最高出力だが、試乗会場のオフロードコースや付近の林道、さらには一般道でもパワー不足は感じなかった。それよりも扱いやすいトルク特性と、低速域からしなやかにストロークする正立フォークのおかげで、ダートでも舗装路でも軽快な走りが変わらないのが好印象だった。むしろコンパクトな車体のおかげで、250クラスに引けを取らない走りを、より少ない排気量で実現していることに驚かされた。

カワサキ初の「デュアルパーパスABS」 ボッシュ社と共同開発したABSは、オンロードとオフロードどちらの路面でも安全に停止できるように制御されたカワサキ初の「デュアルパーパスABS」。試乗では、オンオフどちらの路面でもリヤブレーキをロックさせてみたが、ABSの介入は遅めで、キックバックも穏やか。ABSカット機能はないが、オフでも扱いにくさを感じにくい設定になっている。

高速道路では、排気量の少なさによる巡航性能の余裕のなさを感じるかもしれないが、幹線道路の速い流れに乗るくらいのパワーは充分発揮していたし、林道やダートでは極低速から立ち上がる太いトルクがエンストのしにくさになり、乗りやすさにもなっていた。そして、そこからペースを上げても、路面からの衝撃を車体がしっかりと受け止めてくれる。KLX230は、オンもオフも、だれもが楽しめる令和時代のデュアルパーパスマシンとして完成していた。

エンジンとフレームの同時開発でコンパクトさを実現  KLX230 DETAILS

ヘッドライトが目立つフロントビュー。リヤビューではシュラウドの張り出しが少なく、車体のスリムさが分かる。

空冷は水冷よりも部品点数が少なく、軽量コンパクトというメリットがある。φ32mmのスロットルボディを持つフューエルインジェクションは緻密に制御され、低速域での扱いやすいトルク特性を実現。安定した燃料供給が可能となり排ガスの清浄化にも貢献している。バランサーシャフトを装備し、エンジンからの振動を低減している。明るさを第一に設計されたヘッドライトは60/55W。アジアでの部品価格の安さ、入手しやすさも考慮してハロゲン球を採用している。

液晶デジタルメーターは速度、オド、デュアルトリップ、ガソリン残量、時計を表示。メーター横は各種インジケーターランプを設置。シートは、KLX230Rからウレタン密度を変え、幅と厚みを増やして快適性を重視。キーロック付きのサイドカバー内には、バッテリーとその下に車載工具を収納。

サイレンサーはKXイメージの楕円断面形状のテーパータイプ。純正オプションのETC車載器。取り付けには写真のリヤキャリアも必要になる。ホイールはアルミ製だが、スイングアームは鉄製となる。ホイールベースは1380mmと短めに設定。

φ37mmテレスコピックフォークはストローク長220mm。13 窒素ガス封入式リヤショックのユニトラックリヤサス。ストローク長は223mmを実現している。

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ゴー・ライド編集部

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