第1回における0-1000m加速の結果を踏まえ、それをもう少し細かく分析した内容が今回、第2回で示した数値だ。ピュアにパワーを追求したMC22(4気筒 CBR250RR・1992年モデル)に対し、MC51(2気筒 CBR250RR・2019年モデル)はリッターあたり10km以上も省燃費という少ないエネルギーでそれを追う!!
●まとめ:伊丹孝裕 ●写真:真弓悟史
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出力&トルク:数値の差は歴然と存在
シャシーダイナモで最高出力と最大トルクを計測した結果はグラフの通り。MC22は45psというカタログスペックに対して、41.6ps(後軸出力)を発揮。その差は少なく、新車当時は公称されていた数値以上に出ていた可能性もある。ただし、回転数に関して軽く見栄を張っていたかも!?
0-1000m加速:出力の差がタイムに現れる
上記のパワーチェックの通り、MC22とMC51の間には8.7psという最高出力の差があった。250ccクラスでこの差は大きいものの、裏を返せばMC51はMC22によく喰らいついているとも言える。2気筒少ないにもかかわらず、パワーとトルクを効率よく引き出しているところに現代の技術がうかがえる。
40-80km/h加速:データは4気筒完勝だが……
燃費:なんと10km/L以上の差!
スロットル全開は多少の罪悪感とともに!?
0-1000m加速で、MC22はMC51に大差を付けた。各ギヤでの到達スピードがまったく異なったわけだが、パワーにどれほどの違いがあり、それがどれほどタイムに反映されたのか? その結果は上記の通りである。
端的に言って、すべては最高出力の違いに起因する。MC22がシャシーダイナモ上で記録した41.6psという数値は、MC51を8.7psも上回るものだったからだ。
100psと108.7psでもそれなりの差が生まれることを思えば、わずか30ps強の領域でついたこの差は致命的。両モデルとの間に27年の時間差があろうとも、パワーに勝る方がより加速し、より速いタイムを刻むのは当たり前だ。その意味で極めて順当な結果だと言える。
ただ、MC51の肩を持つなら、今回の車両に個体差と思われる部分があったことだろう。過去にも同様の計測を行ったことがあるが、その時のデータを当てはめれば、1000m通過時のタイム差はMC22の1秒以内に収まり、次頁で紹介するFZR250Rに対しては、何と上まわるものだった。実際、最高出力のデータもカタログスペックとの間に開きがあることが否めず、駆動ロスを差し引いても後輪で34psはゆうに超えてよさそうだ。
とはいえ、2気筒少ないことを思えば充分健闘している。1000m進んでも1秒~2.5秒しか差がないとも言え、スペックにとらわれないユーザーにしてみれば、それほどネガティブに要素にはならないだろう。
“無駄”があるからソソられる!
「単純に勝ったとか、速かったというよりもそのスペックのためにどれだけコストが掛けられて開発されたかってことだと思う。必要かどうかで言えば、17000rpmも回さなくても充分だし、気筒数が少なければパーツ点数も減らせる。それは分かっているんだけど、単純にニーゴー4気筒は気持ちいいよね。自分でパワーを引き出している感覚が強くて、スロットルを開けるのがクセになる。趣味性って効率とか実用にとらわれないから楽しいっていう部分があるでしょ? MC22のエンジンはまさにそれだと思う」
そう語る丸山に「その通りですね。企画上、タイムやスピードを計測していますが、大事なのは楽しいかどうか。MC22にはそれが凝縮されていて、小さなエンジンの中で精巧に作動しているピストンやバルブはその象徴でしょう。“かつてのレーシングマシンってこんな感じだったのかも”という疑似感覚が最大の魅力じゃないでしょうか」と伊丹も同調した。
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