~徳島県道183号線 鳴門スカイライン~

【バイクで巡るニッポン絶景道】一瞬の瀬戸内情景~鳴門スカイライン[徳島県]#モトツー

『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第34回は、瀬戸内の定番である大鳴門橋を避け、穴場ともいえる鳴門スカイラインへ。かつては有料道路だったこともあり、走りは爽快かつ快適だ。

TEXT:Hidetoshi KANDA

一瞬ながら抜群の展望! 瀬戸内の情景に感動する

渦潮(うずしお)でおなじみの鳴門といえば、絶景ロードとして大鳴門橋が大変有名だ。しかし、大鳴門橋は自動車専用道であり原付は走行不可という点が一部ライダーには痛いところ。また、言いがかりに近いとは思うが、ニッポンを代表する絶景道ではあるものの少々定番すぎると言えなくもない。そこでこの鳴門スカイラインである。ここは大鳴門橋に匹敵する展望を楽しめるうえ、原付も含めた全てのライダーが楽しめる絶景ロードなのだ。

鳴門スカイラインまでのアクセスロードも含め、総延長は約11km。一気に走り切ってしまえる短めの路線ながら、豪快なタイトコーナーと高速ワインディングの混在バランスが良く、充実感のある走りが楽しめる。複合コーナーの連続する区間もあり、路面の良さも相まって「バイクのための道」と呼んでもいいのではないかという良線形路。現在は無料ながら、1996年までは有料の観光スカイラインだったので、信号皆無のストレスのない走りが堪能できる。

ただし、走り応えは抜群ながら全線にわたり概ね展望は開けない。路線までのアクセス路は1.5車線の狭路部分もあり、“本当にこれがスカイライン?”と疑問に感じる区間もある。この様相で“絶景ロード?”と感じる方もいることだろう。

しかし心配しないでほしい。この鳴門スカイラインが絶景ロードたるゆえんは、ピークである四方見橋からの展望だ。内海のウチノ海を見渡す瀬戸内の情景。点在する牡蠣の筏と風光明媚な海岸線。大鳴門橋も遠望可能なダイナミックな展望が一気に開けるのだ。総延長のほぼ唯一と言ってもよい展望スポットながら、その解放感は抜群! さらに四方見橋は、体感角度がなんと10°にも達する急角度でアップダウンしており、ジェットコースターに近い飛翔感を体感できるのも魅力のひとつだ。

ピークでの風景は感動間違いなしの絶景ながら、全体的に展望感が薄いためか大型バスや観光客を見ることは少なく、自分のペースで走行できるのも鳴門スカイラインの特徴。地元では穴場の走りどころとして知られており、休日には多くの地元ライダーが訪れる。また、四方見橋の架かるピーク部分には駐車場や休憩所も整備されており、瀬戸内の絶景をじっくりと堪能することも可能。鳴門地域の有名観光地ではないながらも、満足度の高い路線。地域的に気候が温暖なため、通年走行可能なことも嬉しいポイントだろう。

鳴門海峡とはまた違う瀬戸内の情景。ぜひ訪れてみていただきたい。

世界有数の潮流で有名な鳴門海峡きっての名物が渦潮。超メジャーなスポットながらその迫力はまさに超弩級! ただし大鳴門橋上からは意外と見えにくく、観光遊覧船で見学するのがオススメだ。
鳴門スカイラインへのアプローチルートもまた絶景ロード。巨大な大鳴門橋を望みつつ、その直下を抜けるダイナミックなルートだ。ちなみに西側からのアプローチルートは狭いので注意しよう。
内海で水路の多い鳴門では、昔より渡船が発達しており、現在も地域の足として現役で活躍している。しかも無料! 小型船のため大型バイクはおすすめできないが、原付旅なら利用してみるのも楽しい。
鳴門スカイラインのハイライトとも言える四方見橋は、写真のようにジェットコースター的な急角度。空中に飛び出すかのような飛翔感が堪能できるぞ。
潮流が渦巻く荒々しい鳴門海峡とは真逆のようなウチノ海。海岸線の複雑な瀬戸内の内海は、風光明媚な穏やかさが特長だ。鳴門スカイライン、四方見橋よりの展望だ。
鳴門地域に古くからある“鳴ちゅるうどん”。うどん大国讃岐に隣接していながら全く様相の異なるうどんだ。麺は柔らかめながら旨味の深い小金色のダシが特長。季節に関わらず、一気に飲み干したくなる逸品。近隣に多くの店舗があり、食べ歩きも楽しい。

ロード情報

交通量:展望ポイントからの景色は素晴らしいながら、観光客はほぼ皆無。土日でも交通量は少な目だ。主に地元ライダーが多く流れも速い為、周囲には十分気を付けよう。

路面:全体的に比較的良好だが、ポイントにより多少の荒れがある為、スピードには十分注意しよう。展望ポイント目前に駐車場があり、絶景撮影がてらの休憩も可能だ。

~鳴門スカイライン~
秘境感★★
天空感★★★★
潮風感★★★★
爽快感★★★
根性感★★
開放感★★★★

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