第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

~国道8号線親不知海岸 親不知海岸道路~

【バイクで巡るニッポン絶景道】これぞ天下の険! 旧き超酷道に思いを馳せる “親不知海岸道路”[新潟県]#モトツー

  • 2019/7/7

『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第33回は、新潟県の海岸沿いをゆく、歴史ある酷道を紹介しよう。といっても現在の安全性に問題はないが、かつて難所だらけだった時代に思いを馳せながら走り抜けたい1ケタ国道である。

TEXT:Hidetoshi KANDA

これぞ天下の険! 現在も崩れ続ける危険地帯を眺めつつ走る

近年ブームでもある“酷道”。一般的には国道指定を受けている現役の道路ながら、狭く荒れた路面の道をそう呼んでいる。しかし、日本海に面した新潟県の海岸沿いには、“キングオブ酷道”の名残を感じさせる、凄まじい国道があるのだ。

場所は新潟県親不知海岸。別名“ひすい海岸”とも呼ばれており、日本海の荒波が直に打ち付ける荒々しい風景が特徴的な海岸だ。海岸線はまさに断崖絶壁! そんな数十メートルはある切り立った断崖を国道8号線がトラバースしている。

3ケタではなく1ケタ台の一級国道である。そのルーツは古代にまで遡り、その後の江戸期には北国街道として整備されてきた歴史深い国道だ。さらにこの国道8号線は、総延614kmにも及ぶ日本海側の大動脈。決して観光道路ではない。日本の物流に必須の主要道路が、断崖絶壁を縫うようにトラバースしているのである。

この国道8号親不知海岸区間は、古代より崩落の多発する難所として多大な犠牲を重ねてきたルートだ。道は必須。しかし、条件は過酷。自然に対抗すべく、いくつもルートを変更しながら今日に至る踏み跡を築いてきた、血と汗の結晶とも呼べる道なのである。

実は、この場所は大地溝帯フォッサマグナの北端(ちなみに南端は静岡県焼津市大崩海岸)。北アルプスの山塊が日本海に潜り込む、まさにその地なのだ。固く脆い岩盤のため落石が頻発。北端では親不知海岸。南端では大崩海岸。その名称だけ見ても危険度が伝わってくる。単なる狭さや荒れでは、この道の酷さには足元にも及ばない。まさに酷道の王たる危険度だったのである。

現在、高速道路は海上を橋梁で。一般道は危険個所を覆道で抜けるため、万一の落石時でも全く問題はないが、ルート上より眺められる豪快な海岸線は、かつての怖さをジワリと実感させる絶景! 途中には展望台も設けられており、太古の昔より人々が戦ってきた自然の暴威たる風景を一望することも可能だ。

絶景ロードと呼ぶに相応しい風景はもちろんだが、多くの困難の上に築かれた歴史的なルート。日本海側を旅する際、この区間はぜひ下道での通行をおすすめする。豪快な風景と異世界感抜群の覆道。高速では味わえない趣が満載の絶景ロードだ。

人類の英知の粋を尽くした高速道路もこの区間を掘り抜くことはできなかった。現在、高速は橋梁にて海上を。一般道路のみ覆道にて岩盤上をトラバースしている。

覆道は完全2車線。一部は海上を橋梁にて通過しており、展望と解放感は抜群だ。日本海側の大動脈であり、交通量は多いが流れは大変スムーズ。原付でも十分に通行可能だ。

コンクリートの擁壁が続く覆道内は意外と明るく、荒々しい海岸線を望むことも可能。この異世界感抜群の風景が連続で点在する、大変特徴的な国道区間だ。

親不知海岸から富山県側へ向かうと、北国街道市振の関。旧街道は先程とは一変し、近世感抜群の趣が漂う。日本海側の街道は旧跡も多く残されており、旅情抜群の雰囲気だ。

この近辺の名物は何と言ってもタラ汁。もちろん海鮮は当たり前に美味いが、このタラ汁は地域のソウルフードとも呼べるメニュー。旨味たっぷりのタラの肝が、味噌によく合う。そしてネギがまた美味いのだ。高速のSAでも頂けるが、やはりココが美味い。

栄食堂
富山県下新川郡朝日町境647-1 TEL:0765-83-3355
7:00~21:00 第4週月曜日休

日本海側のツーリングでは、荒々しい海岸線が大変印象的だ。風景はもちろん、海鮮も大変美味。冬は雪の為、バイクでの旅は秋までしかチャンスがない。

ロード情報

交通量:日本海側の大動脈であり、大型車両を含め交通量は非常に多い。しかし、観光車両の多くは高速でこの区間をパスしている為、交通量の割に渋滞等は皆無。爽快に走行可能だ。

路面:天下の大国道だけに手入れは行き届いているが、海岸目前の為、潮や風雨による劣化はどうしても免れない。とは言え、ハンドルがブレる程ではなく、特に問題なく走行できるぞ。

~親不知海岸道路~
秘境感★★★
天空感★
潮風感★★★★★
爽快感★★★★
根性感★★★
開放感★★★★

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